ベトナム ベトナム会計・税務 Q&A

[ベトナム 会計・税務] ベトナム会計基準 連結対象

Q.ベトナムの現地法人が資本関係のある関連会社を有しているのですが、連結財務諸表作成の必要性の有無を教えてください。

A.親会社は原則として、その支配下にあるすべての子会社を含め連結財務諸表を作成しなければなりません。連結財務諸表を作成することにより、企業集団としての財政状態及び経営成績が明らかになります。

1. 連結財務諸表

連結財務諸表とは、支配従属関係にある2つ以上の会社からなる企業集団を単一の組織体とみなし、親会社が当該企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を総合的に報告するものです。ベトナム会計基準では、日本で要求されている連結株主資本等変動計算書の作成は求められていません。

2. 連結対象

親会社が発行する連結財務諸表の連結対象は、親会社の子会社への支配権が認められない場合などの例外を除き、原則として全ての子会社を含まなければなりません(国外を含む)。また、親会社の子会社への支配権とは、利益を得ることを目的とし、その子会社の財務及び経営方針を支配することを指します。親会社が直接的にまたは子会社を通して間接的に会社の議決権の半数以上を所有しているときは、例外的な事情を除き支配権の存在が推定されます。

3. 過半数未満所有における支配権の認定

親会社の直接的及び間接的所有がある会社の議決権の過半数未満の場合でも、支配権が認められるケースがあります。(a) 他の投資家との協定により過半数以上の議決権を有する場合、 (b) 法令または協定の下、その会社の財政および経営方針を統治する権限を有する場合、(c) 取締役の大部分を任命または解任する権限を有する場合、 (d) 取締役会の議決権の大部分を支配する場合のケースにつき支配権が認定されます。

4. 連結対象からの除外

原則として、全ての子会社は連結対象となりますが、以下のケースでは、子会社は非連結対象となります。(a) 近い将来 (通常12カ月未満) に持分を手放す予定であり支配が一時的である子会社、 (b) 何らかの長期的な制限により、親会社への配当支払いなどが実質的に不可能な子会社

5. 連結調整

同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、親会社及び子会社が採用する会計処理の原則及び手続は、原則として親会社に合わせ統一しなければなりません。その後、連結対象各社の財務諸表を合算し不要なものを相殺消去していきます。企業集団内では、通常、資本取引や一般取引が発生しますが、企業集団を一つの会社と捉えれば、それらの取引は、内部的な振替にすぎないので、企業集団内で発生した売上・仕入れ、債権・債務などの相殺消去が必要となります。

今月のまとめ

  1. 連結財務諸表:企業集団の財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの総合的報告
  2. 連結対象:原則全ての子会社
  3. 過半数未満所有における支配権の認定及び
  4. 連結対象からの除外:実質的な支配権の有無により認定
  5. 連結調整:企業集団として同一の会計処理の原則及び手続きを採用し、企業集団内の取引を相殺消去

    NAC国際会計グループ ベトナム事務所
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