シンガポール ビザ・就労関連

シンガポール・S PASS(就労ビザ)

※無断転載を禁じます。

シンガポールでの就労ビザには複数の種類がありますが、このうち、検討される代表的なものとして、EPとS Passがあります。

S Passは、中技能外国人向けの労働許可証ともいわれ、高度専門職やマネジメント向けの労働許可証であるEP(Employment Pass)の条件に満たない外国人、一般的には新卒社会人等、一定の学歴のある若い外国人向けの労働許可証といえます。

S Pass保持者の採用枠があり、無制限に雇用できるわけではないため、雇用主は、その制限を考慮しながら、採用計画を立てる必要があります。

1. 申請要件

(1) 下記の全てをみたす外国人

  • 一定レベルの学歴(専門学校や短大など)を保有していること
  • 学歴の申告は任意ですが、候補者の学歴を申告する場合、雇用主は、その学歴が本物であり、申請フォームのドロップダウンリストにある認定機関から授与されたものであることを確認する責任があります。
  • 月額基本給が一定額(※1)以上であること
  • 関連した職歴を備えていること

(2) 複数人のシンガポール人等の雇用実績

S PASSホルダーの人数は全従業員数(※2)の10%または15%まで(業種により異なります)(※3)。

(※1)最低給与額の要件があります(下記は、2025年9月1日以降の新規申請に適用。更新申請には、2026年9月1日以降に失効するパスから適用されます)

  • 一般業種:
    • 基本月給SGD 3,300以上
    • 45歳以上はSGD 4,800以上
  • 金融サービス業:
    • 基本月給SGD 3,800以上
    • 45歳以上はSGD 5,650以上

(注)2026年2月の予算演説において、月給SGD 3,300 → SGD 3,600へ(金融サービス業はSGD 3,800 → SGD 4,000へ)の引き上げが発表されています。新規申請は2027年1月、更新申請は2028年1月以降に失効するパスから適用が予定されています(2026年7月現在)。既存のS Passホルダーも更新時には更新時点の基準が適用されるため(経過措置はありません)、給与改定サイクルの中で計画的な対応が必要です。

(※2)シンガポール人、永住権保有外国人(PR)、S PASSホルダー、Work Permitホルダーの合計人数

(※3)業種別Quota(雇用枠)

CPFのサイト上で、スポンサー企業の過去数カ月間のシンガポール人、永住権保有外国人(PR)の雇用者数をレビューし、雇用枠(Quota)が何人残っているかを計算します。

(1) 業種別の外国人労働者総数の上限(DRC)

  • 建設業:83.3%
  • 石油化学等業:83.3%
  • 造船業:75%
  • 製造業:60.0%
  • サービス業:35.0%

(2) S PASSホルダーの雇用上限

  • サービス業:全従業員の10%まで
  • その他の業種(建設、製造、造船、石油化学等):全従業員の15%まで

(3) Quota計算の重要ポイント

現地従業員のカウント方法:シンガポール人またはPRの従業員は、2026年7月1日以降、以下のとおりカウントされます(LQS=Local Qualifying Salaryは、2026年7月1日にS$1,600からS$1,800に引き上げられました)。

  • 月額S$1,800以上を稼ぐ場合は1.0人としてカウント
  • 月額S$900以上S$1,800未満の場合は0.5人としてカウント
  • 月額S$900未満の場合はカウント対象外
  • パートタイムのローカル従業員は、時給S$10.50以上(従来S$9.00)が必要です
  • 直近3ヶ月間の現地従業員平均数を基に計算
  • 毎週土曜日に更新、翌営業日に確認可能

(注)LQS引き上げにより、月額S$1,600〜1,799のローカル従業員は1.0人から0.5人のカウントに変わるため、昇給等の対応をしない場合、S Pass・Work Permitの雇用枠が減少し、更新に影響する可能性があります。なお、賃上げの負担を緩和するため、PWCS(Progressive Wage Credit Scheme)による政府の賃金共同負担(2026年は30%)が2028年まで延長されています。

(4) 特記事項

  • 新規申請時は事業内容の申告が必要
  • CPF(中央積立基金)の納付遅延は、雇用枠に影響
  • 中国籍のWork Permit保持者には、別途サブQuota制限があります
    • サービス業:全従業員の8%まで
    • 製造業:全従業員の25%まで

    なお、S Passには国籍別のサブQuotaはありません。

2. 申請手続

MyCareersFuture(MCF)での求人広告掲載と公平な候補者選考(EPと同様)。

申請は、雇用主、または、人材紹介業ライセンスを有する業者が行いますが、まずは、雇用主と合意してから申請することとなります。

申請時S$105、発行料S$100。

3. 審査

10営業日程度を要するといわれていますが、長期化(8週間程度)する場合もありますので、ご注意ください。

4. 有効期間

審査を経て当局(MOM)が決定することになります。

  • 初回:最長2年間
  • 更新時:最長3年間

5. 扶養家族の滞在ビザ

月額給与がSGD 6,000以上のS PASSホルダーは、以下の条件で、扶養家族の滞在許可(DPやLTVP)を申請することが可能です。

  • DP:21歳未満の未婚の子供、養子、配偶者
  • LTVP:事実婚の配偶者、ハンディキャップを持つ21歳未満の未婚の子供、21歳未満の未婚の継子

6. EPとの主な差異

  • 雇用主に対して、外国人雇用税(Foreign Worker Levy(FWL))が課せられます。一律S$650/月を、雇用主が負担します(2025年9月以降、一律になりました)。
  • S PASSホルダーの雇用にあたり、一定人数のシンガポール人等の雇用義務があります。EPについては、COMPASS制度下において、民族の多様性が得点事由となっています(※4)。
  • 月額給与SGD 12,000以上のEPホルダーは、両親のLTVP申請が認められていますが、S PASSホルダーには認められていません。
  • 会社はS PASSホルダーに対し、保険金SGD 60,000(年間)以上の医療保険に加入しなければなりません。
  • S PASSホルダーへの給与の支払いは、一定の例外を除いて銀行振込等、記録が残る電子送金によらなければなりません(現金の手渡しは、NGということです)。

(※4)多様性(Diversity):企業内の従業員のPMET(Professionals, Managers, Executives, and Technicians)のうち、同国籍のPMETに占める割合に基づき評価されます。申請者の国籍が企業内で5%未満の場合は20ポイント、5%以上25%未満の場合は10ポイントが付与されます。ただし、企業全体のPMETが25名未満の場合、自動的に10ポイントが付与されます。

注意:上記内容は、出稿当時の最新の規制に基づいていますが、詳細はMOM公式サイトで確認してください。

出典

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