シンガポール M&A

[M&A] 永亨銀がシンガOCBC傘下へ、TOB提示

シンガポールのOCBC銀行(華僑銀行)は1日、香港の永亨銀行(WHB)の株主と買収交渉で合意したと発表した。永亨銀の株式50.66%の取得に合意し、株式公開買付(TOB)を実施する。株式100%を取得した際の買収額は384億2,800万HKドル(約5,120億円)となる。OCBCは東南アジアと中華圏を重点地域としており、買収で香港と中国本土へ本格的に参入する。

OCBCは永亨銀1株当たり125HKドルでTOBを提示した。昨年末時点の簿価の1.77倍となる。創業者の馮氏一族や米銀BNYインターナショナル・ファイナンシングから株式44.79%を取得することで合意しており、これまでに取得が決まった株式の割合はTOBの条件となる5割を超えたと説明している。

買収後も「永亨」の名称は残しつつ、OCBCブランドも反映させた名称やロゴになると説明している。永亨銀は香港とマカオ、中国本土に70拠点以上を展開し、中小企業が顧客の中心という。中華圏で法人向けサービスに注力しているOCBCの戦略に合致した買収との指摘もある。買収で、昨年末時点の税引き前利益の貢献度が6%だった中華圏の事業が16%に拡大する。一方、自己資本比率(CAR)は16.3%から12.5%に縮小する。

OCBCのサミュエル・チェン最高経営責任者(CEO)は、「買収なしでは、人民元の国際化対応と中華圏事業の拡大は長く困難なものとなるだろう」と述べ、永亨銀とは事業で補完し合えるとの見解を示した。

永享銀は「香港の業界の競争は激しく、OCBCの広いネットワークと永亨銀の中華圏事業ノウハウと安定した顧客は、お互いにとって強みになる」との声明を発表。永亨銀の管理職と行員の雇用も保証するとした。買収完了から少なくとも18カ月は、買収による取引減を原因とする永亨銀の行員の整理は行わないことをOCBCと確認していると明らかにした。(NNA.ASIA