香港 一般ニュース

香港・2014-15年度予算案

2014-15年度予算案で財政司長は、下段の措置を提案した。当該措置の全ては施行前に法律の修正を必要としている。

  • 2013-14年度の法人利得税、給与所得税、及びパーソナル・アセスメントの税額の軽減
  • 父母祖父母扶養控除の増額並びに老人介護施設費用控除上限額の引上げ
  • 上場投資信託(ETF)取引に係る印紙税の免除

法案及び実施内容のハイライトは下段に示されている通りである。よくある質問に対する回答(FAQ)及び当該措置が実施された場合に上記最初の二つの措置が如何に納税義務者の給与所得税及びパーソナル・アセスメントの税額を軽減するかを示す実例も併せて提供されている(ここでは割愛)。

当該措置が実施された場合の給与所得税及びパーソナル・アセスメントの税額を計算したい方は、次の香港税務局のページ(www.gov.hk/etax)において納税額自動計算プログラムを使用することが可能。

2013-14年度の法人利得税、給与所得税、及びパーソナル・アセスメントの税額を軽減

財政司長は、2013-14年度の法人利得税、給与所得税、及びパーソナル・アセスメントの税額に対し、当該期間に限定して、10,000ドルを上限とする75%の減税措置を提案した。当該減税措置は、香港税務条例の修正をもって有効となる予定。

法人利得税に係る税額控除上限額は、事業単位毎に適用可能である。給与所得税に係る控除上限額は、納税義務者毎に適用可能であるが、夫婦で共同申告(ジョイントアセスメント)を行う場合は、夫婦単位毎に適用される。パーソナル・アセスメントを適用する場合は、原則納税義務者毎に適用可能であるが、既婚者の場合は必ず夫婦揃って適用しなければならず夫婦単位で当該減税措置を享受することとなる。

当該減税措置は、資産所得税には適用されない。賃貸収入がある個人は、パーソナル・アセスメントを適用できる場合、パーソナル・アセスメントの下で当該減税措置を享受することができる。

給与所得税及び法人利得税それぞれに課税される納税義務者(パーソナル・アセスメントを適用できない場合)は、それぞれの税金に対して当該減税措置を享受することができる。事業収入や賃料収入のある個人でパーソナル・アセスメントを適用できる場合、パーソナル・アセスメントの下で当該減税措置を享受することができる。当該ケースの場合、パーソナル・アセスメントを選択しなかった場合に享受しうる減税額とは異なる可能性がある。正確な減税額は、ケースごとに判断される。税務当局は、パーソナル・アセスメントの選択が納税額を減額できるかどうかをケース毎に確認し、最も有利な方法で納税義務者を査定する。

パーソナル・アセスメントを適用する場合、納税義務者は2013/14年度給与所得税申告書(BIR60)の項目6に記入しなければならない。事業収入もしくは賃料収入がなく給与所得のみの個人は、パーソナル・アセスメントを選択する必要がない。

当該減税措置は2013/14年度の税額査定における納税義務者の納税債務を軽減する予定。納税義務者は例年同様、翌4月に発行される2013/14年度法人利得税申告書並びに給与所得税申告書を提出しなければならない。関連法案の成立後、香港税務当局は最終査定において当該減税措置を有効とする。当該法案の成立前に発行された2013/14年度の最終税額査定書に関して、香港税務当局は当該法案の成立後に再度査定を実施する予定。税額の超過支払分については2014年7月後半から還付される見込み。納税義務者は特段申告や照会を税務当局に対してする必要はない。

当該減税措置は2013/14年度最終税額に対してのみ適用され、同年の予定納税額に対しては適用されない。従って、当該減税措置を差し置いて、納税義務者は依然として予定納税額を期限通りに支払う必要がある。支払済み予定納税額は2013/14年度最終査定額及び2014/15年度予定納税査定額に対する支払いに対して充当される。万が一、超過残額がある場合は還付されることとなる。

父母祖父母扶養控除の増額並びに老人介護施設費用控除上限額の引上げ

財政司長は、父母祖父母扶養控除の増額を2014/15年度税額査定より有効とすることを提案した。60歳以上の父母祖父母を扶養している納税義務者に対する扶養控除は、一人当たり38,000ドルから40,000ドルへと増額される。父母祖父母と年間を通じて同居している場合の付加父母祖父母扶養に関しても、併せて一人当たり38,000ドルから40,000ドルへと増額される。55歳~59歳の父母祖父母を扶養している納税義務者に対する扶養控除は、一人当たり19,000ドルから20,000ドルへと増額される。付加父母祖父母扶養に関しても同様に、一人当たり19,000ドルから20,000ドルへと増額される。

介護施設へ入居している60歳以上の老人を扶養する納税義務者は老人介護施設費用に係る控除申請をすることが可能。財政司長は、老人介護施設費用控除上限額を年間76,000ドルから80,000ドルに引上げ、2014/15年度税額査定より有効とすることを提案した。

関連法案の成立後、香港税務当局は、新しい父母祖父母扶養控除を2014/15年度予定納税額の計算において自動的に適用していく。2013/14年度の税務申告において父母祖父母扶養控除を申請している納税義務者は、当該控除額の増額に関して別途申請する必要はない。

評価年度 現行(2013-14年度)
香港ドル
暫定案(2014-15年度)
香港ドル
基礎控除(独身) 120,000 120,000
基礎控除(既婚者) 240,000 240,000
寡婦(夫)控除 120,000 120,000
子供扶養控除
 第1子から第9子まで各一人当たり 70,000 70,000
 誕生の年の増額 120,000 120,000
兄弟(姉妹)扶養控除 33,000 33,000
父母祖父母扶養控除
 60歳以上及び60歳未満かつ障害者 38,000 40,000
 55歳~59歳まで 19,000 20,000
付加父母控除祖父母控除
(年間を通じて納税者と同居している)
 60歳以上及び60歳未満かつ障害者 38,000 40,000
 55歳~59歳まで 19,000 20,000
老人介護施設費用控除 76,000 80,000
障害者扶養控除 66,000 66,000
自己学習費用税額控除年間上限額 80,000 80,000
MPF積立額税額控除年間上限額 15,000 17,500

上場投資信託(ETF)取引に係る印紙税の免除

財政司長は、全ての上場投資信託取引に係る印紙税を免除することを提案した。香港税務当局は印紙税条例に対する修正を提案していく。