香港 一般ニュース

香港企業の脱・華南とコスト削減

コスト面を中心に厳しくなる中国本土の事業環境。特に華南で工場を運営する日系企業の間で東南アジア諸国連合(ASEAN)への関心が高まり、一部に生産シフトの流れがあるように、同じく華南で生産拠点を展開してきた香港企業にも、同じくASEAN、また南アジアへのシフトを模索する動きがある。一方で華南で生産を続ける香港企業の中には、コスト削減策を積極的に進めて対処しているところもみられる。今回はそうした動きの一端を取り上げる。

生産拠点を華南からASEAN、南アジアに移す動きを最も鮮明にしている香港の業界は、恐らく繊維・アパレル業界だろう。典型例はブラジャーのOEM(相手先ブランドによる生産)の大手で、今年創業 50周年を迎えたトップフォーム・インターナショナル。同社は昨年7月、広東省深セン工場の閉鎖に踏み切った。同省仏山市と江西省に依然、生産拠点があるものの、本土生産体制の縮小は鮮明。代わりにタイとカンボジアの工場で生産力増強を進めている。

トップフォームは8月に発表した 2013 年6月期決算で、本土の労働市場縮小と人民元高の長期的進行などは大きなコスト圧力と説明し、生産拠点を本土以外のコストの安いアジア諸国・地域に移していくことはグループの長期的成長と発展にとって重要だと明言。同期における生産能力の内訳を本土 55%、タイ 40%、カンボジア5%と明らかにしていた。今月6日発表の同年7~9月決算では、「本土の生産能力シェアを50%割れに落とすことについに成功した」と宣言するに至っている。

製帽大手の飛達帽業(メーンランド・ヘッドウェア)も、本土以外のアジアへの生産シフトに積極的に取り組んでいる香港メーカーだ。深センと広州市番禺で生産を手掛けてきた同社は、来年までに生産の半分をバングラデシュに移す計画を明らかにしており、今年3月には同国の制帽工場を買収。拡張も進めている。番禺工場は既に生産規模を縮小した。付加価値の高い製品は本土で、生産工程が比較的単純な低価格製品はバングラデシュでそれぞれ生産するすみ分けが同社の戦略だ。

自動化で対処のメーカーも

一方、生産拠点を華南に引き続き置きつつ、コスト圧縮に努めている香港メーカーのひとつが、コードレス電話生産の世界最大手で、近年は経営多角化に向けて教育用電子機器の製販にも力を入れているVテク・ホールディングス。同社の生産子会社は現在、基幹生産地となっている東莞市に3社、また清遠市に1社と、すべて広東省にある。

人件費の高騰が著しい広東省でVテクが採用しているコスト削減策の柱は、生産の自動化だ。2007 年の段階で 4,000 万人民元(当時のレートで約6億円)を投じて高速表面実装機(マウンター)15 台を導入するなど、先手を打っている。2013 年3月期の設備投資額は 2,990 万米ドル(約 28 億円)。12 年3月期は2,970 万米ドル。11 年3月期は 2,590 万米ドルだった。製品面、工程面からのコスト圧縮も強調している。改革・開放の波に乗って、隣接し言葉も通じやすい広東省に早くから生産拠点を展開し、根を下ろしてきた香港企業。だがコスト上昇の悩みは、あるいは日系企業以上に深刻だろう。最近では、香港のアパレル業界がミャンマーで香港工業団地の建設を模索している。香港企業が華南生産をどう見直していくかは、参考データになる可能性もありそうだ。(NNA香港