インドネシア 税務

インドネシア ・税制改革の議論について

オムニバス法(雇用創出法)の施行と、新型コロナウィルス感染拡大の影響から財政赤字が拡大しているインドネシアでは、税制改革により歳入増を目指す議論が活発化しています。下記では現在議論となっている税制改革の内容について紹介します。

VAT(付加価値税)

現在、インドネシアにおいては年間売上48億ルピア以下の小規模事業者はVAT(付加価値税)業者登録が任意となっております。現時点では議論の段階となっておりますが、小規模事業者にもVAT登録義務を課しVAT1%を負担させることや、小規模事業者以外の事業者のVATを12%(現在10%)へ引き上げる変更について政府は検討しています。

また、これまでVAT課税対象外とされていた教育サービス、医療、消防・救急、郵便配達、金融、保険、陸・水上公共輸送、労働斡旋サービス、為替送金等々の分野にもVAT対象に含めることを検討しています。

代替ミニマム税(AMT)

決算で赤字となった企業が一定基準の負債が無い場合には最低額の納税を義務付ける代替ミニマム税(AMT)の検討を行っています。現在、インドネシアでは利益課税となり赤字の場合には納税の必要はありません。しかしながら赤字の続き企業が存続し続けている実態や、企業が租税回避措置を行っている可能性を鑑みて、赤字の場合でああっても一定額の最低納税額義務を課す施策を検討しています。アジアの一部の国では既にAMTを施行しており、国際通貨基金(IMF)においても一部の国では有効の施策である旨が公表されており、どのような基準とするか等、政府は検討しています。

個人所得税の税率

現在の個人所得税の税率は、年間課税所得5000万ルピア以下は5%、同5000万ルピアを超えて2億5千万ルピア以下は15%、2億5千万ルピアを超えて5億ルピア以下は25%、5億ルピアを超える場合には30%となっています。

現在、富裕層への課税を強化するため5億ルピアを超える課税所得の者には35%の税率を適用する議論が行われています。この点については、早ければ今年度の税法改正で盛り込まれる可能性もあります。

二酸化炭素排出課税

二酸化炭素排出に対して75,000IDR/kgを法人と二酸化炭素排出商品を購入した個人にも課税する案が検討されています。

たばこ税の再引上げ

2021年度で12.5%となっているたばこ税について22年以降で再引き上げを行う検討がされています。

タックス・アムネスティ

国税通則法の改正で2021年下半期に向けて、過去の税申告の誤りを期間内に申し出ることで追徴課税の支払の軽減・免除を行うタックス・アムネスティを7月以降再導入(2017年-18年以来の再導入)が検討されています。

これまで時点で申告されていない資産の開示について高税率を課す方法と、2019年で申告されていない資産についてはは現行の税率を課す方法の2案が検討されています。

政府は上記の税法・規則の改正と、コロナ禍においても成長する産業からの税収増加により約57兆ルピアの税収のアップを試算しています。