香港 利得税

香港税務局による2022-23年度税務申告書の発行及び申告に係る取決め(2023年10月更新)

香港税務局(Inland Revenue Department、以下「IRD」もしくは「当局」)は先日(4月3日)、2022/23年度利得税申告書を約220,000通、資産所得税申告書を約120,000通、並びに雇用主支払報酬申告書を約310,000通発行した。当該税査定年度の個人所得税申告書約240万通は、5月2日に発行される(非法人事業の個人事業主の場合、3ヶ月間の猶予期間が認められ、申告期限は8月2日である。eTAX経由で申告する場合は、自動的に1ヶ月間の延長が認められる(なお、一般納税者の場合は7月3日、個人事業主の場合は9月2日が申告期限となる))。納税者及び雇用主は、関連する税務申告書の発行日から1ヶ月以内に、申告手続を完遂する必要がある。税務代理人を選任している場合、2022年4月1日から2023年3月31日の間に決算期を迎える法人の税務申告書の提出期限は、当局のウェブサイトにアップロードされている「全体延長承認通達(Block Extension Letter)」に詳細が記載されている。(※同記事末尾参照)

一般の人々は、税務申告書の記入方法に関する一般的な質問と回答について、当局のウェブサイトにアクセスし閲覧可能である。当局は、税のデジタル化を促進し、税務申告の効率性、信頼性並びに正確性を高めるために、電子税務申告の機能を段階的に強化してきた。納税者は、税務易(eTAX)電子サービスを通じて税務申告書を提出することが奨励されており、詳細はウェブページで閲覧頂ける(注)。雇用主支払報酬の税務申告書の電子提出に関するガイダンスもまた、当局のウェブサイトから入手可能である。税務易(eTAX)電子サービスでは、個人が香港政府の「智方便(iAM Smart)」デジタルサービスを使用し、ログインして税務申告書に署名することが可能である(当該署名手続きは、デジタル署名機能を備えた「智方便(iAM Smart)」アカウントの所有者のみが利用可能である)。「智方便(iAM Smart)」サービスの詳細については、ウェブサイトへアクセスして頂きたい。

今年から、総所得金額や税務申告方法に関係なく、すべての法人及び企業は、すべての添付書類(財務諸表(監査報告書)及び利得税計算書を含む)とともに利得税申告書を提出する必要がある。さらに、関連するすべての別表及び税務申告書に添付する必要があるその他の様式は、eTAXに基づいて電子ファイルで提出する必要がある(総所得金額が200万香港ドルを超えない小規模企業及び事業者は、利得税申告書を提出する際、添付書類の提出の免除規定が廃止されている)。納税者が税務申告書を電子提出することを選択しない場合、納税者は、電子申告された別表及び/またはその他の様式の紙ベースのコントロールリストを印刷して署名し、署名済みのコントロールリストを紙ベースでの税務申告書並びに添付書類と一緒に提出する必要がある。

次の新機能と申告要件が追加され、利得税申告用の強化された電子申告サービスが開始されている:

* すべての法人及び企業は、2022/23年の税査定年度について、eTAXに基づいて利得税申告書を電子提出することができる。必要なのは、オンラインで簡素化された電子申告書に記入し、記入済みの必須フォームとインライン拡張可能事業報告言語(Inline eXtensible Business Reporting Language、以下「iXBRL」)形式で作成された添付書類をアップロードし、電子署名して eTAX を通じて申告書を提出するのみで可能である。当局は、eTAXプラットフォームを経由した自発的な利得税申告書の電子申告への参加を推進しており、この場合、従来の申告期限から1ヶ月間の期限延長を享受できる。

* ハイブリッド電子申告がeTAXで可能である。納税者は、記入済みの必須フォームとiXBRL 形式で作成された添付書類を、eTAXを通じてアップロードし、eTAXによって生成された簡易税務申告書を印刷して署名し、紙ベースで提出することが可能である。

* 利得税申告書の完全電子申告またはハイブリッド電子申告の場合、納税者はiXBRL形式で添付書類(財務諸表(監査報告書)及び利得税計算書を含む)を提出する必要がある。法人及び企業が必要なiXBRLデータファイルを準備しやすくするために、IRDのiXBRLデータ準備ツールが当局のウェブサイトから無料でダウンロード可能である。

2023年税務(修正)(子供扶養控除及び減税措置)条例法案が立法会で可決され、2022/23年度の税査定年度の利得税、給与所得税並びにパーソナルアセスメントによる税額が、1件当たり6,000ドルを上限として100パーセント減額、また、生まれた子ども1人当たりの基本子供扶養控除と追加子供扶養控除を増額し、2023/24年度の税査定年度から始まる給与所得税及びパーソナルアセスメント向けに120,000ドルから130,000ドルになる。納税者は通常通り、2022/23年度の税査定年度の税務申告書を作成するだけでよく、当該減税は査定税額に反映される。当局はまた、納税者の2023/24年度の予定給与所得税の計算にも新たな水準の子供扶養控除を適用する予定である。さらに、2022年税務(改正)(住宅家賃所得控除)条例法案も昨年立法会で可決され、2022/23年当該所得控除を希望する適格な納税者は、税務申告書のパート8(個人)に記入して、支払った住宅家賃に関する情報を提供することが可能である。

IRDは納税者に対し、eTAXを通じて納税申告書を提出することを奨励した。eTAXは、税務申告書を提出するための簡単で安全で環境に優しいオンラインサービスを提供し、税務申告書がタイムリーに当局に提出されることを保証する。納税者が電子的に税務申告書を提出できるようにするために、eTAXで次の新しい機能とサービスが開始された:

* 所得控除項目の事前入力: 納税者はいつでもeTAXアカウントにログオンして、将来の税務申告書作成に備えて、給与所得税及びパーソナルアセスメントに基づく所得控除項目(承認された慈善寄付など)の記録を保存できる。このような記録は、税務申告書の関連部分にシステムによって自動的に事前入力される。

* 書類アップロード容量の拡大: eTAXによる税査定額や予定納税額の修正申告の電子申告において、納税者がアップロードできる添付書類のファイルサイズが合計200MB(最大5ファイル)まで増加する。

* 利得税申告の電子申告サービスの強化: eTAXシステムの強化により、法人及び事業者は、2022/23年度の税査定年度の利得税申告書を、財務諸表(監査済み)や利得税計算書などの添付書類とともにeTAXに基づいて電子申告できるようになった。強化されたサービスの詳細は、当局のウェブサイトでご覧頂ける。さらに、利得税申告に関する新しい申告要件の詳細については、同局のウェブサイトをご覧頂きたい。

納税者は、税務申告書の記入に関して質問がある場合に、当局のウェブサイトにアクセスして「e-セミナー」の資料を閲覧することができる。「Q&Aコーナー」で質問することも可能で、当局は日曜と祝日を除く5月2日から6月2日まで、電話問い合わせホットライン187 8022に応対するスタッフを増員し、営業時間を平日は午後7時まで、土曜日は午前9時から午後1時まで延長する。eTAXサービスに関する問い合わせは、eTAXヘルプデスクホットライン183 2011までお電話頂きたい。IRDのiXBRLデータ準備ツールの使用に関する照会は、ixbrl_reporting@ird.gov.hk までメール頂くか、e-Appointmentにアクセスし、ご希望の時間枠を事前に予約して頂きたい。ご予約頂いた時間帯に折り返し連絡させて頂く。

当局は、納税者及び雇用主に、税務申告書を郵送する際、当該納期を確実に遵守するために、十分な郵便料金を支払うよう改めて注意を喚起している。郵便料金が不十分な郵便物については、当局は受付けない。香港郵便は、2022年9月2 日から郵便料金を調整しており、重さ30グラム以下の市内郵便物の郵便料金は、2ドルから2.2ドルに調整されている。郵便料金は、香港郵便のウェブサイトでご覧頂ける。

なお、現在COVID-19はほぼ収束しているものの、復興調整期間である現況を勘案し、税務代理人によるIRDへの通知を条件として、2022/23年度の利得税申告書の各税務申告期限は下記の通りです:

  1. 2022年4~11月が決算期(N Code Cases)である企業; 2023年5月17日(2023年4月14日付の通達により、例年の4月3日から1ヶ月以内に対し、約2週間の猶予が付与されています)
  2. 2. 2022年12月が決算期(D Code Cases)である企業; 2023年8月15日(2023年6月29日付の通達により、例年の8月15日から8月29日まで、2週間の期限猶予が付与されています)
  3. 3. 2023年1~3月が決算期(M Code Cases)である企業; 2023年11月29日(2023年10月25日付の通達により、例年の11月15日から11月29日まで、2週間の期限猶予が付与されています)、並びに
  4. 2023年1~3月が決算期(M Code Loss Cases)で赤字である企業; 2024年1月31日(2023年3月20日付の通達により、例年の1月31日から変更無し)。

原文:IRD issues profits tax, property tax and employer’s returns for 2022-23(2023年4月3日更新)

原文:Inland Revenue Department issues about 2.4 million tax returns for individuals(2023年7月6日更新)

原文:Warm Reminder on Profits Tax Return Filing Requirements

2023年10月25日一部再補足。