香港 利得税

香港・ファミリー投資保有管理ビークルに対する税制上の優遇措置【2024年2月更新】

税制適格ファミリー投資保有管理ビークル及びファミリー特別目的事業体に対する利得税の優遇措置

2023年税務(改正)(ファミリー投資保有管理ビークルに対する優遇措置)条例(以下「修正条例」)が公示され、2023年5月19日に施行された。当該修正条例は、税務条例(第112章)(Inland Revenue Ordinance、以下「IRO」)を修正し、(a)香港における税制適格シングルファミリーオフィス(Single Family Offices、以下「SFO」)が経営管理する税制適格ファミリー投資保有管理ビークル(Family-owned Investment Holding Vehicles、以下「FIHV」)に対してと、(b)ファミリー特別目的事業体(Family-owned Special Purpose Entities、以下「FSPE」)に対して、利得税の優遇措置を提供する。適格取引及び付随取引から稼得されるFIHV並びにFSPEの課税所得のみが、当該利得税の優遇措置の対象となり、2022年4月1日以降に開始する税査定年度に関して適用される。

ファミリー投資保有管理ビークルの適格要件

FIHVが当該利得税の優遇措置を享受するには、次の要件を満たしている必要がある:

  • ストラクチャー: FIHVは、一般的な商業もしくは工業目的の経営・事業に従事していない(香港の内外で設立もしくは創設された)事業体でなければならない。事業体とは、個人の団体(法人もしくは非法人)または法的取決めを意味し、法人、パートナーシップ並びに信託(任意信託を含む)が含まれる;
  • 所有権: FIHVは、シングルファミリーの1人もしくは複数のメンバーに関連しており、かつ以下に示す所有権要件を満たしている必要がある;
  • 通常管理またはコントロール(Normal Management or Control、以下「NMC」): FIHV は、税査定年度の基準期間中、香港で常に管理またはコントロールされていなければならない;
  • FIHVの管理: FIHVは、税制適格SFOによって管理され、最低運用資産額のしきい値を満たしている必要がある; 並びに
  • 実質的な活動要件: FIHVは、香港で中核の収益事業(Core Income Generating Activities、以下「CIGA」)を実施しており、必要な資格を有するフルタイム従業員数及び運営費額の要件を満たさなければならない。

ファミリー投資保有管理ビークルの所有権

IRO第88条(慈善団体)に基づいて税金が免除されているチャリティーまたは公益信託が関与している場合を除き、税査定年度の基準期間中、ファミリーの1人または複数のメンバーが直接もしくは間接的に、少なくとも合計で平均95%の受益権を保有していなければならない。ファミリーのメンバーには、自然人(甲)並びに甲に関係するすべての人格(生死を問わず)が含まれる:

  • 甲の配偶者(乙);
  • 甲の直系尊属(丙);
  • 乙の直系尊属(丁);
  • 甲の直系卑属(戊);
  • 甲、乙、丙もしくは丁の兄弟姉妹(己);
  • 己の直系卑属(庚); 並びに
  • 戊、己または庚の配偶者。

2022年4月1日以降に開始する税査定年度期間中に、配偶者ではなくなった場合(死亡した場合を除く)、当該配偶者と、配偶者関係が終了する以前にファミリーとして見なされていた当該配偶者に関係する人々は、対象税査定年度及び翌年の税査定年度(合計2年間)において引続きファミリーのメンバーとして見なされる。直系卑属には、配偶者(死亡している場合を含む)または元配偶者の養子及び継子が含まれる。

税制適格シングルファミリーオフィス

FIHVは、当該FIHVが関連するファミリーの、税制適格SFOによって、香港において管理されていなければならない。あるファミリーの税制適格SFOとなるには、当該SFOは次の条件を満たす必要がある:

  • 香港で常に管理またはコントロールされている(香港内外に関わらず設立された)プライベートカンパニーであること;
  • 受益権の少なくとも95%が直接もしくは間接的に、ファミリーのメンバーによって保有されていること(慈善団体が関与している場合を除く);
  • 税査定年度の基準期間中に、ファミリーの特定の人にサービスを提供し、当該サービスに係る料金が課税対象となること; 並びに
  • 税制適格SFOの課税対象所得の少なくとも75%が、ファミリーの特定の人々に提供されるサービスから稼得されるべきと規定されるセーフ・ハーバー・ルールを満たしていること。

ファミリーに関係する特定の人とは、以下のことを指す:

  • 当該ファミリーが関連するFIHV;
  • FIHVが(直接もしくは間接的に)受益権を有するFSPE;
  • FIHVの中間FSPE; 並びに
  • 当該ファミリーのメンバー。

ファミリー投資保有管理ビークルもしくは税制適格シングルファミリーオフィスにおける慈善団体または投資信託の受益権

慈善団体は、FIHV及び/もしくは税制適格SFOの受益権を(直接もしくは間接的に)最大25%保有することが可能である。これには以下の条件が適用される:

  • FIHV及び/もしくは税制適格SFOの受益権合計を少なくとも75%は、ファミリーのメンバーが保有しなければならない; 並びに
  • 無関係の人がFIHV及び/もしくは税制適格SFOに対して保有する受益権の割合、または血縁関係のない人が複数存在する場合は、その受益権の合計割合が5%を超えないこと。

特定のファミリーと無関係の人とは、以下のことを指す:

  • 当該ファミリーのメンバーが(直接もしくは間接的に)受益権を有していない事業体; 或いは
  • 当該ファミリーのメンバーではない自然人。

しかしながら、慈善団体は含まれない。

税制適格シングルファミリーオフィスによるファミリー投資保有管理ビークルの管理

税制適格SFOがFIHVに対する投資活動を行っている場合、FIHVは、関連するファミリーの税制適格SFOによって管理されているとされる。当該活動には次の項目が含まれる:

  • FIHVによって実行される可能性のある投資に関して調査を実施し、アドバイスを提供する;
  • FIHVの財産を取得、保有、管理または処分する; 並びに
  • FIHVの1つ以上の基礎となる投資プロジェクトを保有及び管理するためのFSPEを設立もしくは管理する。

同一の税制適格SFOが管理するFIHVにおいて、当該利得税の優遇措置を享受できるのは50社までと上限が設定されている。

選択のメカニズム

FIHVは、選択のメカニズムを通じて当該利得税の優遇措置を選択できる。当該選択のメカニズムの主な特徴は以下の通りである:

  • 当該選択は書面で実施しなければならない;
  • 一度選択されると、以降全ての税査定年度に適用される(つまり、毎年選択する必要はない); 並びに
  • 一度選択されると、以降取消すことはできない。

最低運用資産額のしきい値

対象となるファミリーの1つ以上のFIHVに対して、その税制適格SFOによって管理されている、IRO附表第16Cによって指定されている特定資産の総額は、少なくとも2億4,000万香港ドル以上でなければならない。最低運用資産額のしきい値が満たされているか否かを判断する際には、対象となるFIHVの税査定年度の基準期間終了時点で、税制適格SFOによって管理される各関連FIHVの特定資産の純資産価値(Net Asset Value、以下「NAV」)の総額が考慮される。

対象年度のNAV総額が2億4,000万香港ドル未満である場合、以下の期間中にNAV総額が2億4,000万香港ドルに達しておれば、最低運用資産額のしきい値基準を満たしているものと見なされる:

  • 対象年度の直前の税査定年度(最初の前年度)におけるFIHVの基準期間終了時点; あるいは
  • 最初の前年度の直前の税査定年度におけるFIHVの基準期間終了時点。

当局がNAVを計算する際には、FIHVのFSPEが保有する特定資産も計算に含まれる。

税務条例附表第16Cにおける特定資産

IRO附表第16Cに基づき指定されている特定資産には、以下の項目が含まれる:

  • 有価証券;
  • プライベートカンパニーの、もしくはプライベートカンパニーが発行した株式、持分、無担保債券、貸株、ファンド、担保付社債または手形;
  • 先物契約;
  • 契約当事者が特定の日に異なる通貨を交換することに合意する外国為替契約;
  • 預金(貸金業によるものを除く);
  • 銀行(銀行業条例(第155章)の第2条(1)に定義)における預金(証券及び先物条例(第571章)の附表1第1部に定義);
  • 譲渡性預金(証券及び先物条例(第571章)の附表1第1部に定義);
  • 金融商品取引所で取引される商品;
  • 外貨;
  • OTCデリバティブ商品(証券及び先物条例(第571章)の附表1第1部に定義)。

実質的な活動要件【2024年2月更新】

最新の国際税務基準に従い、利得税の優遇措置の恩恵を享受するFIHVは、香港においてCIGAを行っている必要がある。FIHVは税査定年度の基準期間中、香港においてCIGAを実行するために、資格を有するフルタイム従業員を適当かつ十分な人数を雇用し、適切かつ十分な額の運営費を負担していなければならない。FIHVとしては、少なくとも以下の項目が要求される:

  • 関連する活動を実行し、そのために必要な資格を備えた、香港を拠点とするフルタイム従業員を少なくとも2名雇用し; かつ
  • 関連する活動を実行するために、香港において少なくとも200万香港ドルの運営費を拠出していること。

当該実質的な活動要件を回避する目的で使用しない限り、税制適格SFOへのCIGAのアウトソーシングが可能である。実質的な活動要件を満たすためには、FIHVによって、または香港においてCIGA がアウトソーシングされている場合には、FIHVに代わって税制適格SFOによって、資格を有するフルタイム従業員の雇用人数及び負担する運営費の額が、そのレベルに見合ったものでなければならない。

当局は、実質的な活動要件が満たされているか否かを判断する際に、資格を有するフルタイム従業員の雇用人数及び負担する運営費の額に対して、機械的な乗算や除算を適用しない。しかしながら、アウトソーシングされた事業体が、FIHVに対して実施する必要がある投資活動の範囲並びに複雑性は多岐に渡るため、実質的な活動要件を満たすのに適切と考えられる、資格を有する従業員及び運営費の額の正確な水準を設定することは現実的ではない。当局は、各案件の事実及び状況の全体像を考慮して、税制適格SFOにおいて資格を有する従業員の実際の人数と、アウトソーシングされた事業体によって実施されるCIGAを遂行する目的で香港において発生した運営費の額が、FIHVに関する要件を充足するのに適切かつ合理的に証明できるか否かを検討する。

税制適格SFOが、FIHVのCIGAを実施するために、他のアウトソーシング事業体を手配する場合、税制適格SFOは、CIGAが香港で遂行され、実質的な活動要件を満たしていることを確保する必要がある。税制適格SFOは、香港において投資活動に従事している、資格を有する従業員の人数と、投資活動を実施するために香港で発生した運営費の総額が、香港での投資活動の水準に見合ったものであることを確認するために、適切な監督を実施する必要がある。いずれの場合も、資格を有するフルタイム従業員2名以上と、運営費が200万香港ドルの最低基準を満たしているものとする。

適格取引及び付随取引

FIHVは、特定資産の取引(適格取引)及び適格取引に付随する取引(付随取引)に対して、付随取引の5%基準を満たすことを条件として、当該利得税の優遇措置を享受することが可能である。後者に関しては当該税査定年度の基準期間中、FIHVによる付随取引による事業収入が、適格取引及び付随取引に帰属する事業収入合計の5%を超えてはいけないこと示している。FIHVの適格取引は、関連するファミリーの税制適格SFOによってもしくはそれを通じて香港において実行される、または、税制適格SFOによって香港で手配される必要がある。

ファミリー特別目的事業体

FIHVが、FIHVの資産を保有及び管理するためにFSPEを設立することは、非常によく見受けられる。これに従い、当局はFSPEにおけるFIHVの受益権割合に相当する範囲で、FIHVレベル並びにFSPEレベル両方の段階において、利得税の優遇措置を提供する。

ファミリー投資保有管理ビークルもしくはファミリー特別目的事業体の損失

FIHVまたはFSPEが、税査定年度中の適格取引及び付随取引から稼得される課税対象利益に関して、利得税の納付が免除される場合、FIHVまたはFIHVに関連するFSPEが、何れかの取引によって被った損失は、当該税査定年度もしくはその後の税査定年度におけるFIHVまたはFSPEの課税対象利益と相殺されないものとする。

優遇税率

2022年4月1日以降に開始される税査定年度について、適格取引及び付随取引から稼得されたFIHVまたはFSPEの課税対象利益に対する優遇税率は0%である。

租税回避防止措置

プライベートカンパニーへの投資要件

プライベートカンパニーは、香港においてあらゆる種類の資産を保有可能である。FIHV及びFSPEによるプライベートカンパニーへの投資を通じての租税回避リスクを軽減するために、FIHV及びFSPEは、以下の3つのテストを満たしていない投資から稼得された利益に対し、課税されることとなる:

  • 不動産テスト: FIHVまたはFSPEが、総資産の10%を超える香港の不動産(インフラを除く)を直接もしくは間接的に保有するプライベートカンパニーに投資している場合、FIHVまたはFSPEは、そのようなプライベートカンパニーへの投資から稼得される利益に対し課税される。
  • 保有期間テスト: 当該不動産テストを満たしているとしても、FIHVまたはFSPEによるプライベートカンパニーへの投資保有期間が2年未満である場合、FIHVまたはFSPEは、プライベートカンパニーの取引から生じる利益に対して課税される。
  • コントロールテスト及び短期資産テスト: 当該不動産テストを満たしているが、当該保有期間テストを満たしていない場合で、以下の項目に該当する場合は、利得税の優遇措置は適用されない:
    • FIHVまたはFSPEがプライベートカンパニーを支配している; 或いは
    • FIHVまたはFSPEはプライベートカンパニーを支配していないが、プライベートカンパニーは、その資産価値の50%を超える短期資産を保有している。短期資産とは、プライベートカンパニーが保有する資産で、売却等の処分日までの保有期間が3年未満の(特定資産及び香港の不動産を除く)資産を指す。

プライベートカンパニーの取引が上記のテストに合格していない場合、非適格取引から稼得された課税対象利益に対して、利得税の優遇措置は適用されない。FIHVまたはFSPEによる他の適格取引から稼得される利益については、影響を受けない。

迂回租税回避防止規定

迂回租税回避防止規定は、利得税免除の濫用を防ぐために考案された。

ファミリーオフィスの特殊な特徴とFIHVの多様な保有ストラクチャーを勘案すると、ファミリーが香港居住企業を通じて、直接もしくは間接的にFIHVを保有していることがあり、そのような会社がFIHVに関連している可能性がある。これに関連して、迂回租税回避防止規定は、以下の項目に対しては適用されない:

  • 香港居住者である個人; 並びに
  • 特定の香港居住者である個人ではない事業体(つまり、関連するファミリーの税制適格SFO及び特定事業体)。

特定事業体は、如何なる商取引や事業も行っていない受動的投資保有手段である必要があり、同時に以下の要件を満たす必要がある:

  • FIHVが関連するファミリーの少なくとも1人のメンバーは、当該事業体に対して直接もしくは間接的に受益権を保有してなければならない;
  • 当該事業体は、ファミリーメンバー及びFIHVの中間に介在している; 並びに
  • 当該事業体に対するファミリーメンバーによる受益権の程度に関係なく、FIHVの受益権の少なくとも95%以上をファミリーメンバーが保有していなければならない。

租税回避防止規定

税制上の優遇措置の濫用を防止するために、税務局局長が以下の点に納得している場合に限られる:

  • ある取決めを締結する際のFIHVもしくはFSPEの主要な目的、または主要な目的の1つが; 或いは
  • 個人の資産もしくは事業を譲渡する際のFIHVもしくはFSPEの主要な目的、または主要な目的の1つが、

税制上の優遇措置を享受することである場合、FIHV、FSPE、他の個人または事業体であっても、利得税の優遇措置は当該FIHVまたはFSPEには適用されない。

しかしながら、FIHVまたはFSPEへの資産もしくは事業を譲渡の場合、当該譲渡取引が独立企業間ベースで実施され、譲渡人が当該譲渡取引から稼得される課税対象利益に対して課税される場合、当該利得税の優遇措置は引続き適用される可能性がある。

記録保持要件

FIHVの責任者及び税制適格SFOは、FIHV及び税制適格SFOの受益権所有者の身元並びに詳細を容易に確認できるように、十分な記録を保管する必要がある。なお、FIHV及び税制適格SFOが、正当な理由なく当該記録保持要件を遵守しなかった場合、罰則が課される可能性がある。

事前裁定【2024年2月更新】

税務の明確性を確保するために、FIHV及びFSPEは、当該利得税の優遇措置の対象となるか否かの事前裁定を、税務局局長に申請することが可能である。

当局による事前裁定申請に係る審査を促進するために、申請者は以下の情報を提供することを推奨される:

FIHV及びSFOの所有権

(a) IRO附表16Eの第4(2)条 に基づく「甲」(すなわち、生死を問わず自然人)と各ファミリーメンバーとの関係を示す家系図。

(b) 各FIHVとそのSFOの名称、設立/創設の場所、並びに直接親会社、中間親会社、最終親会社とその親会社が保有する直接及び間接の受益権の詳細を示すグループ組織図。

(c) 株主名簿、パートナーシップ契約もしくは覚書、並びに定款などの受益権に関する文書。

(d) 信託が関与する場合、関連する信託証書のフルセット、受託者の選任及び解任に係る証書、信託宣言書、並びに特定の信託に基づく受託者、特定の受益者及び信託財産の詳細を示すその他の添付文書。

(e) 財団が関与する場合、関連する財団の証書または定款一式、要望書、並びに財団、特定の受益者及び財団資産の詳細を示す理事会発行のその他の確認文書。

(f) IRO第88条に基づいて税金が免除される、公共性のある慈善団体または慈善信託(「慈善事業体」)が関与する場合、当該慈善事業体が所有するFIHVまたはSFOにおける受益権(直接的もしくは間接的かを問わず)の割合を示す文書。事前裁定申請の際FIHVにおける特定の受益権が、慈善団体になることを意図しており、設立時点でIRO第88条に基づく免税ステータスの承認を申請していない事業体によって保有されることが想定されている場合、FIHVの事前裁定申請並びにIRO第88条に基づく事業体の免税ステータスの承認申請を一度に処理できるワンストップサービスが提供されている。IRO第88条に基づく免税ステータスの認可に対する申請の詳細については、ここをクリックして頂きたい。

(g) 上項(c)から(f)に列挙されている文書に関して、関連する取決めが計画段階もしくは検討中にあり、関連する文書が未だ署名されていない、並びに/或いは法的に署名されていない場合は、必要な文書の最終ドラフト。

常に管理またはコントロール

(h) 以下の活動について、どのように、誰が責任を負い、どこで実行されるのかを含め詳細を説明:

(i) 日々の事業運営の管理;

(ii) 決済及び実施;

(iii) 上級管理職による事業全体のコントロール(事業の中核方針の設定、戦略的方針の策定、事業資金の選択、業績の評価など)

実質的な活動要件

(i) 香港において実行もしくは実行を目論んでいるFIHVの投資活動の詳細。投資活動のアウトソーシングが含まれる場合、アウトソーシング先の事業体名及び事業者登録番号、アウトソーシングされる投資活動の種類並びに投資活動が実施される場所を含むアウトソーシング契約の詳細。

(j) 香港において、上項(i)に記載する投資活動を遂行するフルタイム従業員の人数、職位、従事した職務、経験並びに資格に関するリスト。

(k) 上項(i)の投資活動を実行するために香港で発生した運営費の金額と種類。

(l) FIHVとSFOとの間で締結された投資管理契約書の写し。

(m) SFOとアウトソーシング先との間で締結されたアウトソーシング契約書の写しがある場合は、その写し。

最低運用資産額のしきい値

(n) 関連する税査定年度毎に、SFOによって管理されるFIHVの附表第16C資産の種類や品目及び個々の純資産額を記載する明細を含む詳細。

セーフ・ハーバー・ルール

(o) 税査定年度中に、ファミリーの特定の人々に対し提供されたサービスから稼得されるSFOの利益の比率を表示する暫定損益計算書。

上記の参考資料としてのみの情報としており、すべてを網羅するものではない。事前裁定を申請するに当たり、申請者による提出が必要となる情報もしくは書面は、各案件の事実及び状況に応じて異なる。

事前裁定の申請に係る詳細については、税務実務解釈指針(Departmental Interpretation and Practice Notes、DIPN)第31号 – Advance Rulings(事前裁定)を参照頂きたい。

詳細情報

問い合わせ等

FIHVに対する税制上の優遇措置に関してご質問がある場合は、電話番号(852) 2594 1600 またはメール taxpf@ird.gov.hk まで問い合わせが可能である。

原文:Tax Concessions for Family-owned Investment Holding Vehicles、2023年6月19日更新