中国 中国会計税務レポ

[中国会計税務レポ] 営改増全面展開後の増値税 – 発票の管理 (1)

昨年5月1日の営業税を増値税に移行する税制改革『営改増』の全面実施から1年以上が経過しました。この間に、増値税発票の管理に関しては新しい増値税発票管理システムが導入され、手続きの簡素化や違法行為の防止に関する公告などが数多く公布されています。2017年6月末までに発せられたこれらの公告や通知のうち主なものについて紹介します。

1. 発票の真偽確認に関する規定

国家税務総局は増値税発票の管理強化を図るため、増値税発票の検査システムを開発しました。2017年1月1日から納税人は、取得した発票(専用発票・普通発票・自動車販売統一発票・電子普通発票)の情報を調査し、合法的なものであるかどうかを国家税務総局のウェブサイト上にあるシステム(http://inv-veri.chinatax.gov.cn)通して確認できます。

関連規定: 国家税務総局公告2016年第87号

2. 仕入税額控除に関する規定

仕入税額控除の適用を受けるための手続きが簡素化されました。取得した増値税専用発票をスキャンして税務機関に提出する認証手続きは取消され、現在は納税人が自ら専用のシステムに登録することで仕入税額控除が可能となりました。
増値税一般納税人が取得した2017年7月1日以後に発行された増値税専用発票と自動車統一発票、税関輸入増値税専用納税書の認証期限及び照合申請期限が360日以内に改定されました。
また、近年、増値税専用発票を発行した後に失踪するという違法な行為が散見されたため、失踪(消息不明)(注1)に認定される条件を規定し、失踪企業により発行された増値税専用発票は、異常な増値税控除帳票と見做され、増値税控除又は還付処理が認められないものとされました。

関連規定:国家税務総局公告2016年第71号二、同2017年第11号十、同2016年第76号

(注1) 失踪企業(消息不明)企業(中国語表記:走逃(失聯)企業)とは、納税義務を履行せず、連絡も取れないため税務機関の管理監督から離脱している状況にある企業を指す。

3. 小規模納税人の増値税専用発票の発行に関する規定

通常、小規模納税人は自ら増値税の専用発票の発行を行うことができないため、発行が必要な場合には所轄の税務機関において代理発行手続きを行わなければなりませんでした。しかし、営改増の全面展開により、取引の相手方から増値税専用発票の発行を求められることが多くなったことから、旅館業、鑑定・コンサルティング業、建築業の小規模納税人の提供するサービス等課税行為(不動産の販売を除く)の月間売上額が3万元(四半期売上額は9万元)を超える場合には、増値税専用発票管理の新システムを導入して自ら専用発票を発行することが可能となりました。なお、発票には小規模納税人に適用される3%または5%の徴収率の区分を明示しなければなりません。

関連規定: 国家税務総局公告2016年第69号十、同2017年第4号、同第2017年11号九

4. 普通発票の記載内容に関する規定

普通発票は、主に個人消費や接待交際、職員の集団福利などに用いる飲食サービス・日常サービス・娯楽サービスなど、増値税の規定上仕入控除が認められない項目及び少額の物品購入などの場合に発行されます。普通発票を税務証票として企業が経費処理をするには、従来も発票上に購入方の企業名が正確に記載されていることが求められていましたが、2017年7月1日以降は納税者識別番号(または統一社会信用番号)の記載も必須となりました。加えて、購入側の要求により、実際とは異なる取引内容を記載した発票を発行することが横行している実態に対応し、発票に記載する項目名や金額について、実際の取引の内容に即して詳細に記載しなければならないことが改めて明確にされ、普通発票の合法性の判断がより厳格になっています。

関連規定:国家税総局公告2017年第16号、同2017年第9号、税総発[2017]31号

5. 発票の取り消しに関する公告

増値税専用発票を発行した後、返品や取消し、発票の記載内容に誤りなどが生じた場合には、赤字の専用発票(中国語表記は「紅字増値税発票」)を発行することにより、発行済みの発票の取り消しを行わなければなりません。営改増全面展開以降、発票の発行や認証に関する規定が変更されたことから、改めて新しい増値税発票管理システムを使用した増値税赤字の専用発票の発行プロセスが定められています。

関連規定:国家税務総局公告2016第47号