中国 粤港澳大湾区

中国・貨物輸出禁止或いは制限規定の処罰条項について

中国の華南地域には加工貿易を行ってきた製造業も多く、税関による加工貿易工場の保税品輸出入バランス検査は日常茶飯事であり、税関検査に対して重視しないか若しくは慣れっこになっていた企業もあったかもしれませんが、工場の保税現物が理論値に足りなければ密輸として、処罰の事例があったことも事実です。昨今の輸出規制においては、両用物質(デュアルユース)対象貨物の未許可輸出に対する処罰事例が報道されており、企業は輸出貨物に該当物質が含まれていないかどうかについて細心の注意を払う必要があり、担当者レベルまで税関規定を周知徹底し、対応策について社内で十分に検討する必要があります。下記に密輸の取扱と処罰条項、商務部ホームページに掲載されているFAQ等から注意点を列記して紹介します。

1.各法律規定における処罰条項

『輸出管理法』第34条の規定

輸出事業者が次のいずれかの行為を行った場合、違法行為の停止を命じ、違法所得を没収する。違法収入が50万元以上の場合は、違法収入の額5倍以上10倍以下の罰金を併科する。違法収入がないか、または違法収入額が50万元に満たない場合は、50万元以上500万元以下の罰金を併科する。情状が重い場合は、営業停止および是正を命じ、さらには当該規制物品の輸出経営資格を取り消す。

  • (一)許可を受けずに規制物品を無断で輸出すること
  • (二)輸出許可証に規定された許可範囲を超えて規制物品を輸出すること
  • (三)輸出が禁止されている規制物品を輸出すること。

『両用品目輸出管理条例』第39条

輸出者に以下のいずれかの行為がある場合、輸出管理法第34条に基づき処罰する。

  • (1) 許可を得ずに両用品目を無断で輸出した。
  • (2) 輸出許可証に明記した範囲、条件や有効期間を超えて両用品目を輸出した。
  • (3)輸出を禁止する両用品目を輸出した。
  • (4) 改造・分解して部品やアセンブリ等を経て両用品目の輸出許可を回避した。
  • (5)本条例第18条に規定する状況において、規定に違反して許可証を使用して輸出した。

『中華人民共和国刑法』

第二節「密輸罪」において、151条、152条にて指定貨物の密輸に対し懲役を科し、153条以下ではそれ以外の貨物の密輸行為に対し程度に応じて罰金や懲役を科すことが規定されている。151条では武器関連や輸出禁止金属・希少動植物が指定されている。企業が関わる場合、責任者にも適用されるとしている。

また、最高人民法院・最高人民検察院『密輸刑事事件の審理における法律の適用に関する若干問題の解釈』第二十一条の規定により、国が輸出入を制限する貨物に対する密輸罪には上記151、152条を適用することが明記されている。

(第二十一条)許可を得ずに国家が輸出入を制限する貨物・物品を輸出入し、それが犯罪を構成する場合、刑法第151条・第152条の規定に基づき、国家が輸出入を禁止する貨物・物品の密輸罪等の罪名をもって処罰するものとする。納付すべき税額を脱税し、かつ一般貨物・物品の密輸罪も構成する場合、より重い処罰規定に従って処罰する。(後略)

『税関法』(第82条)ほか

『税関法』(第82条)の規定、及び、『税関行政処罰実施条例』第7条及び第8条の規定により、国が出入管を禁止または制限した貨物、物品、あるいは、納税しなければならない貨物、物品を運送、携帯、郵送して入出国することは、密輸行為であり、犯罪を構成する場合は刑事責任を追及する。

『税関行政処罰実施条例』

  • 第9条:国が輸出入を禁止する貨物を密輸した場合、密輸貨物及び違法所得を没収し、100万元以下の罰金を科すことができる。
  • 第14条第1項:国家の輸出入管理規定に違反し、輸出入を禁止する貨物を輸出入し、輸出入貨物の荷受人、荷送り人が税関申告時に許可証明書を提出できない場合、輸出入貨物の通関を認めず、貨物価値の30%以下の罰金を科す。
  • 第15条:輸出入貨物の品名、HSコード、数量、規格、価格、貿易方式、原産地、発送地、到着地、最終目的地並びにそのほか申告すべき項目が未申告、或いは申告が事実通りではない場合、処罰を与え違法所得を没収する。

2.商務部FAQの内容から

商務部ホームページの輸出管理情報専門画面にてFAQを掲載している。「両用物質FAQの3」に記載される質問回答は以下の通り。

(1) 両用物質に該当する貨物の輸出通関申告時に許可証を提出していないが、追加手続きして提出した場合でも、「未許可の輸出」になるか?との質問に、輸出管理法第19条ほかの規定に基づき、通関申告時に許可証の提出が必要であり、問い合わせのケースでは「既に未許可輸出」であるとしている。但し、輸出通関申告前に許可証を申請し、通関申告後に取得した場合、「未許可輸出」とならないとしている。

(2) 輸出前に両用物質に該当するかどうか商務部に問い合わせし、該当しないとの回答を得た場合、直接輸出してよいか?との質問に対し、商務部の回答は、許可証無で輸出可能の認定ではないとし、故意に回答文書を許可証手続きの代替として輸出通関しようとする場合、未許可の輸出として処罰対象となる、と回答している。

(3) 税関HSコードは両用物質に該当するかどうかの判定根拠となるか?という質問に対し、両用物資のリストに該当の是非を判定する基本的な根拠が列記されているが、HSコードは判定根拠とならないとしている。リストに独立した番号で記載される2B201.b(フライス盤)、2B201.c(研削盤)には対応するHSコードが無く、9A012.a.1、9A012.a.2は異なる技術指標のドローンであるが同一のHSコードに対応するなどの情況がある。

※各地の運用状況が異なる場合があります。各所在地にて再度ご確認ください。