インドネシア 税務

インドネシア・個人所得税還付請求の早期暫定還付

2023年5月9日付税務総局規則5号が施行され、個人所得税の還付請求の早期還付制度が開始されています。

これまで、個人所得税確定申告において、既払予納所得税の過払いが生じたときには申告によって還付請求となり最終的な還付決定まで6か月以上が掛かることが多くなっていました。

本法令においては、個人所得税還付にについての手法を改めています。新しい制度に置きましては、5営業日内に還付口座の確認を行い、15営業日内に暫定還付を行うとされています。

これにより実務上、長期化していた過払い予納個人所得税の還付が早期化されます。特に帰任する駐在員の過払い予納所得税の還付は大幅に短期化される可能性があります。しかしながら、暫定還付がされた後、1年以内に税務調査が行われ、その際に個人所得税に関する未納や追徴の指摘がなされた場合には本来の額の2倍(100%)を支払う必要があると規定されています。

上記暫定還付制度は、還付額が100,000,000IDRを下回る場合にのみ適用がなされます。なお、税務署からの確認の際に、書面で早期暫定還付を拒否することで、還付までの期日は延びるものの、罰則は従来通りという方法も残されております。

今後、個人所得税確定申告で過払いが生じている場合には、還付を行うか否かだけでなく、還付を行う場合、早期暫定還付を承認するか否かという点も焦点となります。また、本法令は2023年5月9日から施行されるものの、既に還付申請が行われているものに対しても効力を有します。そのため、直近の2022年度個人所得税確定申告(2023年3月末申告)で還付ポジションにあり、還付プロセス中のものにも適用されることから、税務署対応には注意が必要です。