香港
クロスボーダー税制
香港・居住者身分証明書(2025年11月更新)
居住者身分証明書とは、包括的二重課税防止協定または租税条約(Comprehensive Double Taxation Agreement / Arrangement、以下「DTA」)に基づく税制上の優遇措置を享受する目的で、居住資格の証明を必要とする香港居住者に対し、香港特別行政区(以下「香港」)の管轄当局によって発行される文書である。
居住者身分証明書は、香港居住者の居住資格を証明する正式かつ十分な書面となる。一般的に、オーストリア、ベルギーまたはルクセンブルクが発行するフォームを除き、香港税務局が発行したものではないDTAに関連する他国のフォームに対し、署名もしくは押印することはない。
香港の管轄当局は、香港と関連する税務管轄区域との間で署名調印されたDTAが発効した後にのみ、居住者身分証明書を発行する。通常、各DTAに対して、居住者身分証明書を各年度1部のみ発行する。香港とDTAを締結している税務管轄区域については、『Comprehensive Double Taxation Agreements concluded』を参照してください。
申請者は、居住者身分証明書の発行が、関連するDTAに基づく税務上の優遇措置の適用が認められることを保証するものではない点に留意する必要がある。当該軽減措置としての外国税額控除が認可されるか否かの決定は、最終的には相手の条約締結国・地域によって行われる。当該申請者が、関連する全ての適用条件を満たしているか否か、また、関連する税務上の優遇措置を享受できるか否かについては、相手の条約締結国・地域が判断することとなる。
香港居住者が、税務上の優遇措置を享受できると確信しているにもかかわらず、相手の条約締約国・地域から拒否されている場合、香港の管轄当局は、関連するDTAに基づく相互協議手続に従って、相手の条約締約国・地域との連携・協議を実施することも検討する。
香港の管轄当局が居住者身分証明書の発行可否を決定するため、当該証明書の取得を希望される申請者は、申請書提出時に一定の資料及び関連情報を提供する必要がある。
目次
申請資格
一般的に、下記に該当する人格が居住者身分証明書を申請することが可能である:
- 通常香港に居住している個人;
- 1年間の課税年度において180日間を超えて香港に滞在している個人、もしくは連続する2年間の課税年度(そのうち一課税年度がDTAに関連する年度であること)中に300日間を超えて香港に滞在している個人;
- 香港で設立もしくは組成された法人、パートナーシップ、信託または組合;
- 香港外で設立もしくは組成された法人、パートナーシップ、信託または組合、ただし香港内でコントロールもしくは管理されていること。
- 本拠地移転した会社
申請者は、DTAの関連条項及び議定書を参照の上、対象となるDTAの目的において、香港居住者としての資格があるか否かを自身でも確認する必要がある。
申請フォーム
適切なフォームに記入が必要である:
| 条約締約国・地域 | フォーム | |
|---|---|---|
| 法人/パートナーシップ/ 信託/組合 |
個人 | |
| 中国本土 | IR1313A (07/2025) | IR1314A (07/2025) |
| 他の関連する税務管轄区域 | IR1313B (07/2025) | IR1314B (07/2025) |
中国本土と香港との間のDTAに関する申請の場合:
- 2016年3月16日及び2016年4月15日に、中国本土と香港の間で交換された通達で合意された行政上の協定によると、特定の暦年において、申請者に発行された居住者身分証明書は通常、その暦年及びその後の連続する2暦年における当該申請者の香港居住資格の証明として使用することが可能である。当該申請者は、その後の連続する2暦年に関しては、新たに居住者身分証明書を申請する必要はない。当該申請者の状況が変化し、当該協定に基づく税務上の優遇措置を享受できる条件を満たさなくなった場合、発行された居住者身分証明書は、その状況が変化した後の当該申請者の香港居住資格の証明として使用することは不可となる。当該行政上の協定の内容詳細については、こちらをクリックしてください。
- 配当金に対する税制上の優遇措置の申請をしようとする場合で、その申請が「租税協定における“受益者”に関する問題に対する国家税務総局の公告」(国家税務総局公告2018年第9号)の第3条あるいは第4条に該当する場合、フォームIR1313Aの附録2に記入し、注釈3のガイドラインに従う必要がある。国家税務総局のウェブサイトに掲載されている国家税務総局公告2018年第9号にアクセスするには、こちらをクリックしてください(中国語版のみ)。当該通達内容に関するご質問については、中国本土の関連税務当局へお問い合わせください。
申請方法
オンライン申請:
・貴社もしくは貴社が任命したサービスプロバイダー(貴社の会社秘書役または税務代理人)は、香港政府GovHKウェブサイト(香港政府一站通)で提供されているeTAX(税務易)サービスの個人税務ポータル(Individual Tax Portal、以下「ITP」)、商業税務ポータル(Business Tax Portal、以下「BTP」)、並びに税務代理人ポータル(Tax Representative Portal、以下「TRP」)から申請書を記入し、提出することが可能である。
郵送または直接窓口での申請書の提出:
記入済みの申請フォームを次の宛先に提出して頂く必要がある:
香港九龍啟德協調道5號
税務中心17樓
税務局
税收協定組
評税主任(税收協定)
手続に要する時間
当局としては、適切に記入された申請書を受領後の21営業日以内に、居住者身分証明書の発行、または、査定官による、申請者に更なる情報の提供を求める旨もしくは申請が受理できない旨の決定通知が発行するものである。
居住者身分証明書の交付
デジタル居住者身分証明書
- 香港における管轄当局は、以下のDTAに基づく税制優遇措置の申請が承認された申請者に対し、紙の証明書ではなくデジタルの居住者身分証明書を発行する:
| DTA相手国・地域 | 発効日 |
|---|---|
| 中国本土 | 2025年11月10日 |
- 通常、デジタル居住者身分証明書(PDFファイル)は、承認された申請者のITP/BTPアカウントのメッセージ受信トレイに送信される。
- 個人以外の申請で、商業登記番号(Business Registration Number)を持っていない場合は、以下の5つの手順でBTPからデジタル形式の居住者身分証明書をダウンロードして頂く必要がある:
- BTPのログインページで「すべてのサービスを表示」タブをクリック
- 「オンラインサービス」メニューの「居住者身分証明書」タブをクリック
- 「居住者身分証明書」メニューの「アクセスコード付き居住者身分証明書のダウンロード」タブをクリック
- 申請者のファイル番号とアクセスコードを入力
- 「証明書の表示/ダウンロード」ボタンをクリック
紙形式の居住者身分証明書
- 中国本土以外の税務管轄区域に関する申請の場合、香港の管轄当局は、申請者に郵送で紙形式の居住者身分証明書を発行する。直接受け取りを希望される場合は、該当する申請書と必要書類を添えて、書面にて提出の上、申請する必要がある。
デジタル居住者身分証明書の認証
関連するDTA相手国・地域は、デジタル居住者身分証明書を「e-Proof(認證易)」ウェブサイトにアップロードし、本人確認をすることが可能である。
原文:Certificate of Resident Status、2025年11月6日更新
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