中国 社会保険

中国・社会保険の加入と納付、基数調整要求の動向について

1. 中国の社会保障と加入、納付

中国の社会保険法では企業従業員に対する社会保険(養老、医療(生育)、労災、失業)の加入を義務づけており、労働契約開始後30日以内に企業は従業員を会社の社会保険に加入し納付を開始する必要があります。

納付基数は本人給与としており、具体的には本人の前年度平均給与※1(入社時は入社当月の給与)、また基数上下限が省・市単位で設定され、毎年平均賃金の更新に伴い更新されます。

また定年再雇用従業員に対しては、労災保険の加入が可能となっています。

納付申告手続きは毎月末までに電子税務局システムにて申告納付することとされています。

個人は社会保険アプリで随時納付状況等の確認が可能です。

※1:深セン市の基数規定は前月度給与額としており、毎月更新可能。

2. 税務局による社会保険基数調整の要求

2-1. 広東省各地における税務局による納付基数調整要求

2026年において広東省では各地で税務局より次のような通知を自社の税務申告画面や担当者への携帯電話テキストメッセージで受け取る企業が多くなっています。

「貴社には満額で社会保険を納付していない疑いが存在する。規定に基づき、従業員本人の前年度平均給与、新入社員は開始当月給与額を社会保険納付基数として申告しなければならない。貴社は自己調査を行い、来る〇月度より基数を調整してください。」

このメッセージでは、個人所得税申告時の収入額と、やはり税務局画面で行う、社会保険の各社員の申告納付に入力する基数金額を、税務局より比較照合した結果差異が発生することに対し、各社に自己調査を要求し、不足がある場合に調整することを要求しています。ただ、過去遡及することは明記されていません。

日系企業各社では目下、調整したときの影響額を試算し調整策を検討していると思われます。

2-2. 《税務行政処罰裁量基準(2026年版)》公告における社保過少納付への罰則条項

税務手続きに不備があるか、納税申告に過少、未納の税金が発生し、後日の税務調査で発見されると、不備や不足税金の内容が軽微であれば滞納金等で済むが、時には罰金が発生する場合があります。その基準について、内容を9分類66項目に分け、処罰程度を3〜5段階に区別しているのが、《税務行政処罰裁量基準》です。この2026年版が発布され、第四分類第30項に次の罰則条項が明記されました。

【違法行為事項】

「雇用企業が社会保険費用を規定期限内に未納或いは過少納付の場合、税務機関が期限を切って納付を要求するが依然として追納しない場合」

【法律】

《中華人民共和国社会保険法》

(上記の場合)納付すべき額の1倍以上3倍以下の罰金に処す。

【裁量基準】

  • 一般;納付すべき額が50万元以下か、50万元以上500万元未満で社会保険費の30%以下⇒1倍
  • 比較的重い;50万元以上500万元未満で社会保険費の30%以上、若しくは500万元以上で社会保険費の30%以下⇒1倍以上2倍以下
  • 厳重;500万元以上で社会保険費の30%以上、若しくはその他の厳重な状況⇒2倍以上3倍以下

2-3. 広東省の平均賃金に伴う基数上下限更新

各都市の平均賃金は統計局より毎年6月末頃発布、これに伴い従来は7月より早速社保基数上下限通知があり即時調整という手配でしたが、ここ数年、発表の時期が第3四半期以降にずれ込む上、更新は遡って実施せよとなっているため、個人給与からの控除や会計処理上注意が必要です。

広東省政府HPでの発信は10月8日であり、今回も過去月度の遡及納付を含み、年末までに調整すれば滞納金は発生しないとしています。基数上下限更新のうち、下限は4,775元から2026年1月1日より5,510元、7月1日より5,521元への2段階で調整を実施。上限は27,549元から27,603元への調整を2026年7月1日より実施するとしています。

3. 外国人の社会保険加入に対する要求

中国で外国人を雇用する企業に対し、《中国国内で就労する外国人が参加する社会保険暫定弁法》に基づき2011年10月より社会保険への加入義務付けがあります。現状では地域によりこの実施状況には差があるようです。しかし、就労許可証が元のカードから社会保険カード(デジタル版)に統合されており、また、広東省では大湾区個人所得税還付の条件に社会保険加入が含まれるケースもあります。上記の税務局動向も踏まえ、日系企業における駐在員等の社保加入が一段と進むものと思われます。

日本は中国との間に社会保障協定を締結しており、日本の年金機構へ「適用証明書」を申請し、中国での加入時にこれを提出することにより、中国の養老年金加入を免除することが可能となっています。

深センNAC名南コンサルティング 浜田かおり
(2026年10月作成)

※各地の運用状況が異なる場合があります。各所在地にて再度ご確認ください。