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[まとめ] 深セン経済特区拡大による影響

1978年にはじまった改革開放により、1979年に中国全土で初めて指定された経済特区の一つが「深セン経済特区」です。

深セン経済特区は、羅湖区・塩田区・福田区・南山区の4区から構成されていましたが、2010年7月1日より宝安区・龍崗区の2区を加えて深セン市全市に拡大することになりました。改革開放から30年が経過し、経済特区は外資の導入という一定の役割を終え、特区内外を異なる法律で管理するメリットをデメリットが上回ってきたことが主な理由です。

今回は経済特区拡大の内容とそれによる主な影響をまとめてみます。

経済特区の拡大前後の地図

経済特区の面積は395平方kmから1,948平方kmへ、約5倍に拡大します。新たに編入される宝安区と龍崗区は旧経済特区の北部に位置しています。

【旧経済特区】

【新経済特区】

経済特区の拡大によって適用される法律

経済特区拡大前に有効であった経済特区の法律は120あります。このうち拡大後の経済特区に適用されるのは101の法律です。残り19のうち、「深セン経済特区道路交通安全違法行為処罰条例」は8月1日より適用、13は修正が必要なため適用を延期、5は経済特区の拡大と直接の関係がないため不適用となりました。

適用される101の法律をカテゴリーに分類すると以下のようになります。

  • 都市建設・管理:46
  • 経済発展:28
  • 環境保護:10
  • 労働保障:9
  • 医療:5
  • 文化教育:3

適用される101の法律のリストは下記の全訳をご参照下さい。

経済特区の拡大による影響

今のところ旧特区外の日系企業に大きな影響はないと考えられています。理由としては、特区拡大以前から特区外の企業に対しては実質的に特区内の法律が適用されることが多く、今回の拡大は実質上の法律の運用を名目上も追認するといった意味合いが強いからです。

実際に現地の報道で取り上げられている具体的な変更点を以下に挙げておきます。

【経済特区拡大前後の変更点の一例】

項目 特区拡大前 特区拡大後
排ガス規制 区内:あり
区外:なし
あり
タクシー 区内:赤色
区外:緑色
継続
信号無視 区内:500元
区外:200元
500元(8月1日~)
ハイテク企業 区内:過渡的優遇税制あり
区外:過渡的優遇税制なし
継続
一回の献血量 区内:400cc
区外:200cc
400cc