中国 個人所得税

[全訳] 個人所得税法の改正に関する全人代常務委員会の決定

中華人民共和国主席令
第四十八号

≪「中華人民共和国個人所得税法」の改正に関する全国人民代表大会常務委員会の決定≫は既に中華人民共和国第十一期全国人民代表大会常務委員会第二十一回会議により2011年6月30日に通過した。ここに公布し、2011年9月1日より施行する。

中華人民共和国主席  胡錦濤
2011年6月30日

「中華人民共和国個人所得税法」の改正に関する全国人民代表大会常務委員会の決定
(2011年6月30日第十一期全国人民代表大会常務委員会第二十一回会議通過)

第十一期全国人民代表大会常務委員会第二十一回会議では≪中華人民共和国個人所得税法≫に対して以下のとおり改正することを決定した。
一、第三条第一項を「賃金・給与所得は、3%から45%の超過累進税率(税率表は下部に表示)を適用する。」に改正する。
二、第六条第一款第一項を「賃金・給与所得は、毎月の収入額から費用3,500元を控除した後の残額を課税所得とする。」に改正する。
三、第九条の「7日以内」を「15日以内」に改正する。
四、個人所得税税率表一(賃金・給与所得に適用される)を以下のように改正する。

個人所得税所得速算表

五、個人所得税税率表二(個人事業主の生産・経営所得と企業事業単位への請負経営、リース借受経営所得に適用される)を以下のように改正する。

個人所得税所得速算表

本決定は2011年9月1日より施行する。
≪中華人民共和国個人所得税法≫は本決定に基づいて関連の改正を行い、改めて公布される。

中華人民共和国個人所得税法

(1980年9月10日第五期全国人民代表大会第三回会議通過
1993年10月31日第八期全国人民代表大会常務委員会第四回会議「中華人民共和国個人所得税法」の改正に関する決定に基づいて1回目の改正を行った。
1999年8月30日第九期全国人民代表大会常務委員会第十一回会議「中華人民共和国個人所得税法」の改正に関する決定に基づいて2回目の改正を行った。
2005年10月27日第十期全国人民代表大会常務委員会第十八回会議「中華人民共和国個人所得税法」の改正に関する決定に基づいて3回目の改正を行った。
2007年6月29日第十期全国人民代表大会常務委員会第二十八回会議「中華人民共和国個人所得税法」の改正に関する決定に基づいて4回目の改正を行った。
2007年12月29日第十期全国人民代表大会常務委員会第三十一回会議「中華人民共和国個人所得税法」の改正に関する決定に基づいて5回目の改正を行った。
2011年6月30日第十一期全国人民代表大会常務委員会第二十一回会議「中華人民共和国個人所得税法」の改正に関する決定に基づいて6回目の改正を行った。)

第一条 中国国内に住所を有するか、又は住所を有せず中国国内に満一年居住する個人は、中国国内と国外から取得する所得について、本法の規定に従い個人所得税を納付する。中国国内に住所を有しない且つ居住しない又は住所を有せず中国国内の居住期間が一年未満の個人は、中国国内から取得する所得について、本法の規定に従い個人所得税を納付する。

第二条 下記の各項の個人所得について、個人所得税を納付しなければならない。
 一、賃金・給与所得
 二、個人事業主の生産・経営所得
 三、企業事業単位への請負経営、リース借受経営所得
 四、役務報酬所得
 五、原稿料所得
 六、特許権使用料所得
 七、利息・株式配当・配当金所得
 八、財産賃貸所得
 九、財産譲渡所得
 十、一時所得
 十一、国務院財政部門が徴税を確定するその他所得

第三条 個人所得税の税率
 一、賃金・給与所得は、3%から45%の超過累進税率(税率表は後ろに添付する)を適用する。
 二、個人事業主の生産・経営所得と企業事業単位への請負経営、リース借受経営所得は、5%から35%の超過累進税率(税率表は後ろに添付する)を適用する。
 三、原稿料所得は、比率税率を適用する。税率は20%とし、且つ、課税額の30%を減額する。
 四、役務報酬所得は、比率税率を適用する。税率は20%とする。1回の収入が異常に高い役務報酬所得に対して、割増徴収を実施できる。具体的な方法は国務院により決定される。
 五、特許権使用料所得、利息・株式配当・配当金所得、財産賃貸所得、財産譲渡所得、一時所得とその他所得は、比率税率を適用する。税率は20%とする。

第四条 以下の各項の個人所得は、個人所得税を免除する。
 一、省級人民政府、国務院部委と中国人民解放軍軍以上の単位、及び外国組織、国際組織が授与する科学、教育、技術、文化、衛生、体育、環境保護等の面の奨励金
 二、国債と国家が発行する金融債券による利息
 三、国家の統一規定により支給する補助、手当
 四、福利費、弔問金、救済金
 五、保険賠償金
 六、軍人の転業費、復員費
 七、国家の統一規定により幹部、従業員に支給する支度金、退職金、退職後給与、離職後給与、離職後生活補助金
 八、我国の関連法律規定に基づいて免税される在中国の各国大使館、領事館の外交代表、領事館の役人とその他人員の所得
 九、中国政府が加盟した国際公約、締結した協議で免税が規定される所得
 十、国務院財政部門が免税を認可する所得。

第五条 以下の状況のいずれか一つに該当する場合、認可を経た後、個人所得税を減額することが可能である。
 一、身体障害者、子女のない高齢者、烈士遺族の所得
 二、甚大な自然災害により重大な損失をもたらされた場合
 三、国務院財政部門が減税を認可するその他の場合

第六条 課税所得の計算
 一、賃金・給与所得は、毎月の収入額から費用3,500元を控除した後の残高を課税所得とする。
 二、個人事業主の生産・経営所得は、一納税年度の収入総額から原価、費用及び損失を控除した後の残高を課税所得とする。
 三、企業事業単位への請負経営、リース借受経営所得は、一納税年度の収入総額から必要な費用を控除した後の残高を課税所得とする。
 四、役務報酬所得、原稿料所得、特許権使用料所得、財産賃貸所得は、毎回の収入が4,000元を超えない場合、費用800元を控除する。4,000元以上の場合、費用として20%を減額した後の残高を課税所得とする。
 五、財産譲渡所得は、財産譲渡による収入額を財産の取得価額と合理的な費用を控除した後の残高を課税所得とする。
 六、利息・株式配当・配当金所得、一時所得とその他所得は、毎回の収入額を課税所得とする。

個人がその所得を以て教育事業とその他公益事業に寄付した場合、寄付した部分は、国務院の関連規定に従い課税所得から控除する。中国国内に住所を有しないが中国国内から賃金、給与所得を取得する納税義務者及び中国国内に住所を有するが中国国外から賃金、給与所得を取得する納税義務者に対して、その平均収入レベル、生活レベル及び為替レートの変化状況に基づいて追加控除費用を確定できる。追加控除費用の適用範囲と基準は国務院に規定される。

第七条 納税義務者が中国国外から取得した所得について、その課税額から国外で納付した個人所得税額を控除することが認められる。但し、控除額は当該納税義務者の中国国外所得に係る本法規定に基づいて計算した課税額を超えてはならない。

第八条 個人所得税は、所得者を納税義務者とし、所得を支払う単位或は個人を源泉徴収義務者とする。個人所得が国務院で定められる額を超える場合、二箇所以上から賃金、給与所得を取得する又は源泉義務者がいない場合、及び国務院で定められるその他状況に該当する場合、納税義務者は国家規定に従い納税申告を行う。源泉徴収義務者は国家規定に従い全員全額源泉徴収の申告を行わなければならない。

第九条 源泉徴収義務者の月度源泉徴収税額、自己申告納税者の月度納税額は、翌月15日までに国庫へ納入し、税務機関へ納税申告表を提出しなければならない。

賃金、給与所得の課税所得は、月毎に計算し、源泉徴収義務者或は納税義務者は翌月15日までに国庫へ納入し、税務機関へ納税申告表を提出しなければならない。特定業種に係る賃金、給与所得の課税額は、年ごとに計算し、月毎に予納する形を採用できる。具体的な方法は国務院により規定される。

個人事業主の生産・経営所得の課税額は、年ごとに計算する、月ごとに予納する方式で、納税義務者は翌月15日までに予納し、年度終了後の3ヶ月以内に確定申告しなければならない。確定の納税額に応じて追納するか還付を受けることになる。

企業事業単位の請負経営、リース借受経営所得の課税額は、年ごとに計算し、納税義務者は年度終了後の30日以内に国庫へ納入し、且つ税務機関へ納税申告表を提出する。納税義務者は1年以内に何回の請負経営、リース借受経営所得を取得する場合、毎回の所得を取得した後の15日以内に予納し、年度終了後の3ヶ月以内に確定申告しなければならない。確定の納税額に応じて追納するか還付を受けることになる。

第十条 各項の所得の計算は、人民元を単位とする。所得は外国通貨である場合、国家外貨管理機関で定められる公定為替によって人民元へ換算して税金を納付する。

第十一条 源泉徴収義務者に対して、その源泉徴収した税額の2%を手数料として支払う。

第十二条 貯蓄預金の利息所得に係る個人所得税の徴収、減額徴収、徴収停止及びその具体的な方法は、国務院により規定される。

第十三条 個人所得税の徴収管理は、≪中華人民共和国租税徴収管理法≫の規定に従い執行する。

第十四条 国務院は本法に基づいて実施条例を制定する。

第十五条 本法は公布日より施行する。

個人所得税所得速算表
個人所得税所得速算表