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[華南ビジネス] 広州開発区設立30年、現在の誘致奨励政策

広東省の投資環境が変わりつつある中、地域の外資誘致や経済発展を牽引してきた開発区の現在の誘致奨励政策として、広州開発区の情況を紹介したいと思います。広州開発区は国家級経済技術開発区として早くから広州市の経済発展を牽引してきた開発区の1つで、概況は以下の通りです。広州開発区の成立は、広州経済技術開発区成立の1984年であり、その後高新技術産業開発区、広州保税区、広州輸出加工区成立後、4つの区域をまとめた管理委員会が発足、行政区は羅崗区となります。2008年より、創意、バイオ、教育、IT、新エネルギーや環境、先進技術等国家の戦略性新興産業を誘致する広州科学城を開発中、その中で2010年には、知的財産管理拠点を中心とした中星合弁の広州知識城(ナレッジシティ)開発がスタートしています。30年の投資誘致実績を経て、広州開発区が今後の発展を目指して以下のような誘致奨励政策を行っています。

広州開発区の誘致奨励政策その1《電子商務産業発展サポート弁法》

中国各地でクロスボーダー電子商務関連企業の誘致や優遇政策を推進する中で、広州開発区、知識城、羅崗区における電子商務産業に対する発展支持弁法が2014年11月に発布されている。当該弁法を適用し奨励金を得ることができる企業の条件は以下の通りです。
(1)工商、国税及び地税の登記及び統計の所属が広州開発区、羅崗区内にある。
(2)健全な財務制度、独立した法人資格があり、独立採算を実行している。
(3)登録資本金が200万元以上或いは前年度の営業収入が1000万元以上である。
(4)インターネット情報サービス付加価値電信業務経営許可証を取得し、電子商務を企業の主要経営手段とし、当該企業或いはその他の企業の独立電子商務プラットフォームで1年以上サービスを運営している。
これらの条件を満たす企業への補助項目と金額は以下の通りです。

  • 国、省、市の経済貿易部門の認定する電子商務モデル企業に100万元、50万元、20万元の標準で奨励金を交付
  • 年間自社発票発行枚数が2000枚以上である電子商務企業には、発票発行申請手数料の30%且つ100万元以下の補助を交付
  • 電子商務企業が使用する区内のオフィス賃貸料のうち30%且つ12元/平米までを、営業収入2000万元未満の企業は1000平米まで、2000万元以上の企業には2000平米までを年1回補助
  • 国内外電子商務産業専門展示会への展示参加に対し事前申請を経て展示スペース使用料の50%且つ10万元以下を年1回補助
  • 区内製造企業の製造製品を調達し且つ販売する電子商務企業に対し、その年間販売額が1億元を超える場合50万元、2億元を超える場合100万元、3億元を超える場合150万元を補助
  • 区に進出する電子商務企業に対し、区内の土地や物流施設の利用、土地使用権の支払い等に対しサポート

広州開発区の誘致奨励政策その2《中新広州知識城重点産業項目発展サポート暫定弁法》

知識城(ナレッジシティ)の発展に有利な企業や個人に対し、知識城発展専門資金より奨励金を与えるもので、進出奨励金、経営貢献奨励金と高級管理人員奨励金があります。
(1) 進出奨励金
 世界500強企業の外資企業で登録資本金3000万米ドル以上の企業に200万元の奨励金
(2) 経営貢献奨励金
 1.土地使用企業で、進出翌年より5年以内に年間納税額1500万元以上
 2.土地使用しない企業で、進出翌年より5年以内に年間納税額500万元以上
 ①ハイエンド製造業(新世代情報技術、バイオ健康、新材料、新エネルギー、省エネ環境、スマート装備製造等):営業収入の0.2%        
 ②現代サービス企業(工業設計、検査検測、文化創意、電子商務、情報サービス、科学研究開発、科学技術金融、教育訓練、サービスアウトソーシング):営業収入の0.1%
 ③ハイテク企業(国のハイテク企業認定管理弁法に基づく認定企業)営業収入の0.25%
 ④総合型企業(経営戦略、行政管理、研究開発、資産管理、資金決済、仕入れ管理、販売管理等、不動産を除く総合機能を有する企業或いは企業グループ):営業収入の0.3%
 ※上記奨励金額が当該企業の経済貢献の30%以下の場合、30%に基づき、また、50%を超える場合は50%に基づき奨励金を交付する。既に羅崗区で設立されるか、区外企業に合併し、当弁法の条件を満たす場合も同様。
(3)高級管理人員奨励金
 奨励金対象の企業の高級管理人員個人に交付され、董事長、総経理、副総経理、総監で、個人所得税の年間納付実績が8万元以上の場合、申請を経て、課税所得額の8%且つ10万元を超えない金額で、企業当たり10名を上限として奨励金を交付する。