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[華南ビジネス] 広東自由貿易試験区の金融政策について

 広東自由貿易試験区の金融政策について、12月9日付で人民銀行より《中国(広東)自由貿易試験区建設の金融支持に関わる指導意見》が発布された。これにより広東自由貿易区における金融政策が具体化・明確化されたといえる。内容には、クロスボーダー人民元業務の推進等を含む、香港・マカオ企業(非銀行を含む)との金融業務合作や、インターネット金融など新業態制度整備等に渡っている。具体的な一部項目を以下に紹介する。

■クロスボーダー人民元使用拡大

①人民元ローンを双方向で可能にする。自由貿易試験区内に設立した金融機構による国外人民元借入や、対外投資した企業向けの人民元貸付等。
②ファイナンスリース会社によるクロスボーダー人民元業務を支持。ファイナンスリース会社による双方向の人民元資金プール、人民元リース資産のクロスボーダー譲渡業務を認める。
③グループ企業のクロスボーダー人民元資金プールを支持。多国籍企業のクロスボーダー人民元資金集中運営業務を推進する。
④人民元建てクロスボーダー取引と決済を推進。区内要素市場がEC取引・決済のプラットフォームを構築することを支持する。金融機構が人民元建て要素市場取引に国外投資者を誘致し人民元口座開設、資金決済サービス等を提供することを奨励する。
⑤越境ECの人民元決済を拡大する。試験区内の金融機構と、条件を満たすオンライン決済機構の合作による経常項目下及び一部認可を経た資本項目下の越境EC人民元決済を推進する。試験区内で条件を満たすインターネット企業が経常項目下でクロスボーダー人民元の集中入出金業務を行うことを認める。
⑥個人による人民元での直接投資、証券投資、集合投資等の国外投資や、移民、寄付、遺産関連の資産移転業務を検討する。

■外貨管理制度改革

⑦貿易投資便利化促進。試験区内の貨物貿易外貨管理分類がA類の企業は、貨物貿易収入に対し核しょう待ち口座開設が不要。国外預金の比率制限を引き上げる。区内の条件を満たすファイナンスリース会社の外貨リース料取得を認める。
⑧資本項目の元転を限度内で可能とする。ネガティブリスト外の区内企業1社1年当たりの対外収入及び支出がいずれも限度額(暫定的に1,000万米ドルとし、マクロ経済と国際収支状況により調整)を超えない場合、任意に国外投融資活動を行い、限度額内で両替を実行する。条件を満たす区内企業が、試験区所在地外貨管理分局下の銀行機構で資本項目(投融資)口座を開設し、限度額内で両替可能な関連業務を行う。
⑨国内機構の外債業務を順次統一していく。区内機構の外債比率は自社管理とし、純資産の一定倍数(暫定的に1倍とし、マクロ経済と国際収支状況により調整)とし、任意に元転することを認める。
⑩地区本部の決済センターを支持。多国籍企業の資金集中運営管理参入条件を緩和する。資金プール管理を簡素化し、銀行による真実性・合法性の審査を経た電子証憑に基づき企業が集中決済・差額決済業務を行うことを認める。
⑪銀行による人民元及び外貨の金融派生商品サービスの展開を支持する。区内の銀行が規定に基づき国外企業に対し直物為替取引業務を行い、人民元と外貨の派生商品取引を行うことができるようにする。

■香港・マカオを重点対象とする区域金融合作

⑫非銀行金融機構による香港マカオ地区との間でクロスボーダー人民元業務の展開を認める。試験区内にグループ財務公司、ファイナンスリース会社、自動車金融、金融資産管理会社、証券会社、ファンド管理会社、オプション、保険等機構が規定に基づきクロスボーダーの融資や担保、資産譲渡等の業務時人民元建て・人民元決済を行うことを支持する。
⑬香港・マカオの個人による人民元業務展開を支持する。区内の個人が香港マカオ地区から人民元資金を借り入れ、区内の不動産購入等の支出に用いることを支持する。
⑭試験区と香港・マカオ間の金融機関同士の業務合作を深化させる。人民元借入業務を認めるが、有価証券への投資は暫時認めない。クロスボーダー担保業務を支持する。
⑮試験区と香港・マカオ間の金融市場連携を進める。区内外資企業の国外親会社が、規定に基づき国内インターバンク市場で人民元債券を発行することを支持、また区内記入機構と企業が香港資本市場で人民元株式と債券を発行することを支持し、誘致資金は区内へ回収し使用可能で、区内開発と生産経営を奨励する。
⑯広東・香港・マカオ合作で区内に人民元海外投融資基金を設立することを支持、国内外の人民元資金を募集し、中国企業の対外投資、買収等に投融資サービスを提供することを支持する。

※各地の運用状況が異なる場合があります。各所在地にて再度ご確認ください。