中国 中国会計税務レポ

[中国会計税務レポ] 罰則 – 税金の徴収(3)

前回に引き続き税収徴収管理法および同法実施細則の規定を紹介します。今回は納税人および源泉徴収義務者に対する罰金の徴収などの罰則規定を取り上げます。

1. 法律責任

税収徴収管理法の「第六章 法律責任」には、

  1. 納税人および源泉徴収義務者
  2. これらの者の預金口座を開設する銀行などの金融機関
  3. 税務機関およびその職員―の違法行為、その他税収徴収管理法に規定の違反する行為を行った者に対する罰則、その決定権限

などが定められています。
納税人および源泉徴収義務者に税収徴収管理法に違反する行為が生じた場合には、その違反行為の種別ごと罰金の徴収(注1)や営業許可証の取り消しなどの罰則が適用されることになります。さらに、その違反行為が犯罪を構成する場合には、刑法に基づいて刑事責任が追及されることが規定されています。

(注1)前回紹介した延滞金の追徴規定は、第六章ではなく、「第三章 税金の徴収(中国語表記では「税収征服」)」に規定されています。

2. 納税人の義務違反

納税人の義務違反に対する罰則は以下の通りです。

  1. 以下に掲げる場合には2,000元以下の罰金とし、違反が重大な場合には2,000元以上1万元以下の罰金となります。
    • 規定期限内に税務登記、変更または抹消登記を行わない場合。
    • 帳簿の設置・保管または記帳証憑や関連資料の保管を規定に従って行わない場合。
    • 財務・会計制度または財務・会計処理規定および使用する会計ソフトを税務機関に報告、登録していない場合。
    • 全ての銀行口座番号を税務機関に報告していない場合。
    • 税控装置(注2)を設置して使用していない、または当該装置を毀損もしくは勝手に改造した場合。
  2. 税務登記を行わない場合、または税務機関の改善命令に従わない場合には、営業許可証が没収されるため、営業ができなくなります。
  3. 税務登記証の不正使用、転貸、改ざん、毀損、売買、偽造を行った場合には、2,000元以上1万元以下の罰金とし、違反が重大な場合には1万元以上5万元以下の罰金となります。
  4. 期限内に納税申告を行わない場合は、2,000元以下の罰金とし、違反が重大な場合には2,000元以上5,000元以下の罰金となります。
  5. 暴力、脅迫により納税を拒否する場合は納税拒否(中国語表記は「抗税」)とみなし、税務機関はその納税拒否額と延滞金を追徴するほか、刑事責任を追及します。ただし、違反状況が軽微で犯罪を構成しない場合には、納税拒否額の1倍以上5倍以下の罰金となります。
  6. 規定の期限内に税額を納付しない、または過少納付した場合において、税務機関が指定した納付命令期限を過ぎても納税を行わないときは、税務機関が強制執行により未納または不足税額を追徴し、未納または不足税額の50%以上5倍以下の罰金を課すことができるとしています。
  7. 源泉徴収を拒否した場合、税務機関は直接納税人から税額と延滞金を追徴します。納税人が納付を拒否したときは、上記6の罰則が適用されます。

(注2)税務機関が提供する徴税のための税金統制システム機器。

3. 源泉徴収義務者の義務違反

源泉徴収義務者も規定に違反した場合には罰金が徴収されます。なお、納税人が源泉徴収を拒否した場合には、源泉徴収義務者は税務機関に報告しなければならないと規定されています。

  1. 源泉徴収納付および源泉徴収納付帳簿の設置・保管または記帳証憑や関連資料の保管を規定に従って行わない場合は、2,000元以下の罰金とし、違反が重大な場合には2,000元以上5,000元以下の罰金となります。
  2. 期限内に源泉徴収納税の報告および関連資料の提出を行わない場合は、2,000元以下の罰金とし、違反が重大な場合には2,000元以上5,000元以下の罰金となります。
  3. 期限内に納税申告を行わない場合は、2,000元以下の罰金とし、違反が重大な場合には2,000元以上5,000元以下の罰金となります。

以上