中国 個人所得税

[まとめ] 中国・非居住者及び住所の無い居住者の個人所得税政策についての公告

財政部・税務総局非居住者及び住所の無い居住者の個人所得税政策についての公告
(財政部 税務総局公告〔2019〕35号)

改正後の「中華人民共和国個人所得税法」と「中華人民共和国個人所得税法実施条例」実施に伴い、非居住者及び住所の無い居住者の個人所得税についての詳細な取扱いが規定された。主な内容は以下の通り。

1. 所得の源泉地

(1) 給与所得の源泉地

  • 中国国内の勤務期間に属する給与・賃金所得を、国内源泉所得とする。
  • 国内勤務期間とは、国内で仕事をした日数で計算され、実際の国内での勤務日数と国内勤務期間における公休日、個人休暇、研修を受けた日数が含まれる。
  • 国内外の企業で職務を兼任する場合、または国外の企業にのみ勤める場合、国内、国外での勤務日数が当期の暦日数に占める割合で、国内、国外源泉所得額をそれぞれ計算する。
  • 24時間未満の国内滞在日は、半日として計算する。

(2) 数ヶ月の計算期間により受け取る賞与、株式報酬の源泉地

  • 賞与や株式報酬の算定対象期間に占める国内勤務日数の割合に応じて案分して、国内、国外源泉所得額をそれぞれ計算する。

(3) 董事、監事及び高級管理職が取得する報酬所得の源泉地

  • 国内企業が支払う、または負担する董事、監事及び高級管理職が取得する職務報酬については、国内で職務を履行するかどうかに関わらず国内源泉所得とする。
  • 上級管理職には、企業の総経理、副総経理、職能別部署のチーフエンジニア、総監及びその他の企業の管理職が含まれる。

(4) 原稿料所得の源泉地

  • 国内企業、事業機関、その他の組織機関が支払いまたは負担する原稿料所得を国内源泉所得とする。

2. 住所の無い個人の国内源泉所得の計算方法と税額の計算方法

  • 住所の無い個人の給与・賃金所得の国内源泉所得の計算方法と税額の計算方法がケース別に規定された。

3. 租税条約の適用

  • 租税条約を適用する場合の詳細な取扱いが規定された。

4. 住所の無い個人に関する徴収・管理規定

(1) 住所の無い個人の見込み国内居住期間

住所の無い個人の一納税年度内での初回申告時には、一納税年度内の見込み国内居住日数により判定して、税額を計算し納付する。実際状況が見込み状況と異なる場合、状況に基づき以下のように処理する。

  1. 住所の無い個人を当初非居住者と判定し、滞在日数延長により居住者の条件に達した場合
    一納税年度内は税額の源泉徴収方法を変更せず、年度終了後に確定申告を行う。但し、当該個人が当年度内に出国し、かつ当年度内に再び入国しないことが予測される場合、出国する前に確定申告を行うことを選択することができる。
  2. 住所の無い個人を当初居住者と判定し、滞在日数短縮により居住者の条件に達しない場合
    居住者の条件に達しない日から年度終了の15日以内までに、税務機関に報告し、非居住者として納付税額をあらためて計算し、税額を追納する。この場合、滞納金が徴収されない。税額の還付を申請する必要がある場合、規定に基づいて処理する。
  3. 住所の無い個人が一納税年度内において国内居住日数が累計90日を超えないと見込んだが、実際の累計居住日数が90日を超えた、あるいは、租税条約に規定される国内滞在日数の183日を超えないと見込んだが、実際の滞在日数が183日を超えた場合
    90日または183日に達した月度の終了後15日以内に税務機関に報告し、かつ、過去月度の給与・賃金所得の納付税額をあらためて計算し、税額を追納するものとする。この場合、滞納金が徴収されない。

(2) 源泉徴収と個人による自主申告

国内源泉所得となる給与の一部または全部を国外企業が負担する場合、国内企業による源泉徴収か個人による自主申告のどちらかを選択することができる。