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中国企業税制入門

[中国企業税制入門] 第八回 企業所得税-その3

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今回は外資企業に対する企業所得税の優遇措置について説明します。優遇措置には各種のものがありますが、ここでは税率、税額の減免のうち主なものについてみていきたいと思います。

1.税率

基本税率は国税部分が30%、地方税部分が3%の計33%ですが、国税部分は地域・業種により15%若しくは24%の低減税率が適用され、また地方税部分は各地方政府が独自に規定し免税としている地域もあります。

以下は、国税部分で低減税率が適用される代表例です。

税率 対象地域・業種
15% ・経済特区(深セン、珠海、汕頭、厦門、海南経済特区)に設立された外商投資企業及び外国企業
・経済技術開発区(一定の沿海都市内)に設立された生産型外商投資企業
・上海浦東新区に設立された生産型外商投資企業
・沿海経済開放区及び経済特区、経済技術開発区内の旧市街区の生産型外商投資企業で、技術集約、知識集約型であるものなど。
・ハイテク産業開発区に設立されハイテク企業に認定された外商投資企業
24% ・沿海経済開発区及び経済特区、経済技術開発区内の旧市街区の生産型外商投資企業(税率15%が適用されるものを除く)

2.税額の減免

いわゆるタックスホリデー(減免税期間)で “2免3減”や“1免2減”などがありますが、ここでは対象となる企業の多い“2免3減”を取り上げます。

①対象企業:経営期間が10年以上の生産型外商投資企業

②減免内容:利益が生じた年度から2年間は免税、その後3年間は税率を半分にするというものです。このときの利益が生じた年度とは、それまでの年度の税務上の損失が失くなり(欠損金の繰越控除期間は5年間です)初めて課税所得が生じた年度のことをいいます。

③留意点:一旦適用されると途中で損失を出しても止めることはできません。例えば2年目に損失が出たとしても、最初の2年間の免税期間は消化したことになります。

④例:

<ケース1>

この場合、3年目に初めて課税所得10が発生するため、3年目から“2免3減”を適用することになります。4年目は“2免”の対象年度ですが△20の所得額のため免税の効果はなく、5年目から7年目が“3減”の対象年度となります。(5年目の課税所得は50-20=30)

年度 初年度 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目
所得額 △150 70 90 △20 50 60 70

<ケース2>

年度 初年度 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目
所得額 10 △30 △20 20 30 50 70

この場合、初年度に所得が発生しているため、初年度から“2免3減”を適用することになります。しかしその後2,3年目の損失補填後所得が発生するのは6年目であり、“2免3減”の期間は過ぎているため、“2免3減”の恩恵は殆ど受けられないことになります。

初年度は、通常開業費の発生があり、会計上開業費は開業年度に全て費用に計上するため初年度は会計上欠損になる場合がありますが、税務上開業費は5年以上の期間で償却(費用化)をするため、税務上は所得が発生し、“2免3減”が開始するというケースも考えられます。

ただし、初年度の実際の生産経営期間が6ヶ月に満たない場合、初年度に所得が発生した際には、その所得に対して企業所得税を納税し、次年度から“2免3減”の適用を受けることも申請により可能です。

⑤“2免3減”後:輸出型企業(当年度の輸出製品生産高が企業の製品生産高の70%以上)の場合、“2免3減”の期間終了後も“半減”が適用されます。但し、経済特区の企業など15%の税率が適用されている場合には半減でなく10%の税率が適用されます。

⑥その他:“2免3減”の適用を受けるためには税務局の承認が必要です。

[中国企業税制入門] 第七回 企業所得税-その2

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今回は外商投資企業が課税所得を算定する上での代表的な調整項目について説明します。課税所得は、各年度の総収入から原価、費用、損失を控除して求めます。実際に計算する際には、会計上の収入、原価、費用、損失を基に、会計上の計上額と税務上計上すべき額に差異がある場合には、差異額を調整して求めます。

1.調整項目

(1)交際費

費用として認められる交際費の限度額は次のとおりです。日本の法人税のように、資本金の額による区分はありません。

①製造業、販売業など

・年間純売上額1,500万元まで…純売上高の0.5%
・年間純売上額1,500万元超の部分…超える部分の純売上高の0.3%

②サービス業など

・年間業務収入500万元まで…業務収入の1.0%
・年間業務収入500万元超の部分…超える部分の業務収入の0.5%

(2)固定資産の減価償却

①固定資産の定義

固定資産とは、耐用年数1年以上の建物、構築物、機器、機械、運搬具及びその他の生産、経営に関連のある設備、器具、工具等をいいます。生産、経営に関連する主要な設備に属しない物品で、単価が2,000元以下或いは耐用年数が2年を超えないものは、実際の使用額を費用とすることができます。

②減価償却の方法、計算

減価償却の方法は定額法が原則です。残存価額は取得原価の10%以上で、使用を開始した翌月から減価償却の計算を始めます。

③耐用年数

減価償却の最短耐用年数は次のとおりです。

・ 建物、構築物…20年
・ 列車、船舶、機器、機械、その他の生産設備…10年
・ 電子設備、上記以外の運搬具及びその他の工具器具備品など…5年

(3)無形資産の償却

無形資産の償却は定額法によります。償却期間は、協議書又は契約書で使用期間を定めている場合にはその期間、使用期間の定めがない場合は10年以上です。

(4)開業準備費

企業の開業準備期間中に発生した費用は、生産、経営を開始した月の翌月から5年以上

の期間で毎年償却をします。会計上は、開業時に一時に費用に計上するため税務調整が必要となります。

(5)貸倒れ

融資、リース等の業務を行う企業以外は売掛金などの貸倒れに対する引当が認められていません。貸倒損失については、債務者の破産、死亡により回収不能となった場合、債務者が支払期限を過ぎても支払をせず、2年を経過してもまだ回収不能な場合は、税務機関の認可を得たうえで損失処理が可能となっています。

(6)評価損失

企業会計では債権、棚卸資産、固定資産、無形資産などに減損が生じた場合には、評価損失の計上が必要になります。しかし、税法上は評価損失の計上は認められませんので、税務調整が必要になります。

(7)欠損金の繰越控除

日本と同様、欠損金の繰越控除が認められており、その期間は5年です。

(8)その他

収入、原価、費用、損失の計上は正規の証憑に基づいていなければならず、例えば交際費の計上などはいわゆる「発票」(中国の正規の領収書)が必要となります。

[中国企業税制入門] 第六回 企業所得税-その1

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今回から数回にわたり企業所得税について説明します。企業所得税は、いわゆる外資企業に対するものと中国内資企業に対するものの2つの法律があり、どちらも所得に対して課される税金で、日本の法人税に相当するものです。現行2つに分けられている企業所得税法はいずれ統一される見込みですが、ここでは、外資企業に対する企業所得税についてみていくことにします。

1.納税義務者と課税対象

納税義務者は次の(1)及び(2)となります。

(1)中国国内において設立された独資企業、中外合資企業及び中外合作企業(外商投資企業といいます。)
(2)中国国内において設立された機構、場所において生産、経営に従事しているもの(例えば建設工事事務所、駐在員事務所など)、又は機構、場所は設立されていないが中国国内に源泉所得を有する外国企業など。(以上、外国企業といいます。)

課税対象は、(1)の外商投資企業は中国内外の源泉所得(全世界所得)で、(2)の外国企業は、中国国内源泉所得が対象となります。

2.税率

(1)外商投資企業及び中国国内において設立された機構、場所において生産、経営に従事している外国企業

原則として、国税部分が30%、地方税部分が3%の計33%です。税額の計算式は、“企業所得税額=課税所得額×33%”です。ただし、地域、経営内容等により15%或いは24%の軽減税率が適用される場合や、生産型の外商投資企業で経営期限が10年以上の場合は、「2免3減」といい、最初に課税所得を計上した年度から2年間は免税、その後3年間は半減税となる期間減免(タックスホリデー)など様々な優遇措置があります。

(2)機構、場所は設立されていないが中国国内に源泉所得を有する外国企業

利子や使用料などの中国国内源泉所得は、所得の支払者が源泉徴収を行い、源泉徴収税率は20%となっていますが、現在、日中租税条約により原則一律10%となっています。

3.申告・納付

納税年度は原則として暦年(1 月1日から12月31日)です。納税方法は四半期ごとに予定納税をし、年度終了後に確定申告をします。四半期ごとの予定納税は原則、実際の利益額に基づきますが、前年度課税所得の1/4や税務機関が認可したその他の方法によることもできます。納税期限は、予定納税は四半期終了後15日以内に四半期企業所得税申告書を提出し納税を行います。年度の確定申告は年度終了後4ヶ月以内に年度企業所得税申告書および監査報告書を提出し、年度終了後5ヶ月以内に予定納税額と確定納税額を精算し、納付または還付を受けます。

源泉徴収による納付の場合は、所得の支払者が源泉徴収義務者となり、支払の都度5日以内に納付し、源泉徴収企業所得税申告書を提出します。

4.税額計算例

第1四半期の課税所得50万元、上半期の累計課税所得110万元、9月末の累計課税所得180万元、12月末の累計課税所得260万元、課税所得調整後の年度の課税所得280万元で、税率は33%の場合の予定納税額及び確定納税額は次のようになります。

課税期間 課税所得 納税額
第1四半期 50万元 50×33%=16.5万元
第2四半期 110万元-50万元=60万元 60×33%=19.8万元
第3四半期 180万元-110万元=70万元 70×33%=23.1万元
第4四半期 260万元-180万元=80万元 80×33%=26.4万元
年度確定申告 280万元 280×33%-予定納税額計85.8=6.6万元

[中国企業税制入門] 第五回 営業税

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今回は、営業税について説明します。営業税はサービスの提供などを行ったときに取引の種類によって3~20%の税率で課税され、娯楽業を除けば3%または5%と増値税に比べ低い税率となっていますが、同じ流通税である増値税と違い、仕入時に支払った税金は控除できないなどの特徴があります。

1.納税義務者

中国国内で課税役務(サービス)の提供、無形資産の譲渡及び不動産の販売を行う組織及び個人が納税義務者となります。
中国国内の企業に限定されていないため、中国国内の特許権、不動産などを非居住者である外国企業間で売買する場合も課税されることになります。

2.課税範囲と税率

課税範囲と税率は大きく、交通運輸業、建築業、金融保険業、郵便通信業、文化体育業、娯楽業、サービス業、無形資産譲渡、不動産販売の各税目に分けられていますが、このうち特に外資企業に関係する税目の課税範囲及び税率は次のとおりです。

  1. 交通運輸業(陸上輸送、水上輸送、航空輸送、積卸輸送など)…3%
  2. 建築業(建築、据付、修繕、装飾及びその他の工事作業)…3%
  3. 娯楽業(カラオケ、喫茶店、ゴルフ場、ゲームセンターなど)…5~20%
  4. サービス業(代理業、飲食業、旅行業、倉庫業、広告業及びその他のサービス業)…5%
  5. 無形資産譲渡、不動産販売…5%

3.税額の計算方法

営業税額は、営業額×税率で求めます。営業額とは、相手から受領する全ての代価と価格外費用の合計額で、価格外費用とは、相手から受領した手数料、代理徴収代金、立替金その他の費用のことをいい、会計処理方法に係わらず課税の対象となります。

4.納税義務の発生時期と納税期限

納税義務の発生時期は、代金を受領または代金受取証書を受領した当日で現金主義となっています。また、納税期限は税務機関により決定されますが、5日、10日、15日或いは1ヶ月毎の納税期間があります。納税期間が1ヶ月の場合の納税期限は納税期間満了後10日以内に申告納税をし、その他の期間の場合は納税期間満了後5日以内に仮納付を行い、翌月10日以内に申告納付します。

5.源泉徴収

中国国内に機構及び場所を有していない外国企業が営業税の課税対象取引を行った場合には、納税代理人が源泉徴収を行います。納税代理人がいない場合には取引の相手(支払者)が源泉徴収を行い代理納付をします。

6.ロイヤルティー収入

中国国外の外国企業が収入する特許権、著作権、商標権等の無形資産の譲渡・貸与による収入(ロイヤルティー)に対しても原則営業税が課税されます。技術譲渡・貸与、技術開発業務及びこれらに関連する技術コンサルティング、技術サービス業務により取得するロイヤルティー収入については免税を受けることができ、免税を受けるためには省クラスの科学技術部門の認定と地方税務局の審査認可が必要となります。

7.計算事例

(1)A社は中国国内において運輸業を行っており、2005年5月の国内における運送による収入が20万元、倉庫貸付による収入が5万元あります。
5月の営業税額:20万元×3%+5万元×5%=8,500元

(2)日本の法人であるB社は中国国内において商標権を中国企業に貸与しており、2005年6月の貸与による収入は10万元です。
6月の営業税額:10万元×5%=5,000元

8.増値税との比較

増値税 営業税
課税の対象 中国国内における物品の販売又は加工、修理等の役務の提供及び物品の輸入取引 中国国内におけるサービスの提供、無形資産の譲渡及び不動産の販売
税率 17%(物品によっては13%)、輸出は0% 3~20%。主に5%又3%
納税額 売上増値税額-仕入増値税額(一般納税人の場合、仕入時の税額を控除できる。) 営業額×税率(増値税と異なり、収入に対応する費用にかかった税金は控除できない。)
海外取引 輸出取引では、仕入増値税額の還付を受けられる場合あり。 外国企業のロイヤルティー収入は原則課税だが、一部ロイヤルティー収入について免税規定あり。

[中国企業税制入門] 第四回 増値税-その3

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前回は一般納税人である生産型企業が輸出取引を行った場合の仕入増値税額の還付について説明しましたが、今回は増値税還付の問題点、その他増値税全般の留意点について説明したいと思います。

1.増値税還付の問題点

現在、増値税の還付に関して次のようなことが問題としてあげられます。

(1)還付税率が輸出貨物の種類ごとに0-17%の間で決められており、17%未満の場合は仕入時に17%の仕入増値税を支払ったのにもかかわらず還付される仕入増値税は17%よりも低い金額となり差額部分は企業のコストとなることです。また、この還付率はこれまで政策上度々変更されています。

(2)還付税額の計算において、まず不還付となる税額である控除不能仕入税額を求めますが、この計算において使用する価格は輸出貨物にかかる仕入価格でなく輸出FOB価格となっています。本来であれば輸出貨物にかかる原材料等の仕入価格を計算の基礎とすべきですが、売上価格である輸出FOB価格を計算の基礎としているため、実質的に付加価値部分も不還付の対象となっています。

(3)還付の申請から実際の還付までに数ヶ月から1年以上かかる地域、ケースがあります。

還付手続上、企業は外貨収入額、脱税問題を起こしていないか等によりA類からD類に分類され、A、B分類は手続きが簡略化していますが、C分類、D分類となるに従い厳格な審査を受けることになりそれだけ還付までに時間がかかります。

2.その他増値税の留意点

(1)販売とみなされる行為

物品の販売とみなされ増値税の課税対象となる行為がいくつか規定されていますが、特に特徴のあるものとして、「2ヶ所以上の機構を有し統一して会計を行っている納税人が一方の機構から他の機構に販売用物品を移送すること(当該他の機構が同一市、県内にある場合を除く)」というものがあります。これは例えば、自社製品を他の省にある販売拠点に移送する場合などですが、別の規定により当該販売拠点が“発票”を販売先に発行せず、かつ代金を受領しない場合には、移送にかかる増値税の納税義務は発生しません。

(2)混合販売行為

混合販売行為とは、設備の販売と据付サービスを1取引として行うなど、1つの販売行為が増値税の課税対象となる物品の販売等と営業税の課税対象となる役務の提供等の双方に係わる行為をいいます。この場合、物品の生産、卸売、小売を行う企業の混合販売行為は物品の販売とみなされ増値税が課税されます。その他の企業の混合販売行為は営業税が課税されます。

(3)兼営

複数の事業を行っている企業が、増値税の課税対象となる事業と営業税の課税対象となる事業を行っている場合には、それぞれの売上額を明確に区分しなければならず、区分していない、或いは正確に計算できない場合には一律に増値税が課税されます。

(4)非正常損失にかかる仕入増値税額の非控除

前々回において、固定資産購入にかかる仕入増値税額は控除できないことを述べましたが、これ以外に生産過程において発生する正常な損耗以外の著しい品質低下、過度に発生した不良品などは非正常損失として売上増値税額から控除することはできません。

[中国企業税制入門] 第三回 増値税-その2

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今回は輸出取引を行った場合の増値税の取扱いについて説明します。

輸出取引も増値税の課税対象取引となっており、その税率は0%となっています。

税率0%とは非課税と違い課税の対象であるため、輸出取引にかかる仕入増値税額は 売上増値税額から控除できます。そして輸出取引が国内売上と異なる点は、国内売上の場合、仕入増値税額が売上増値税額を上回る場合には、還付ではなく次期以降に控除額として繰り越されますが、輸出取引の場合には仕入増値税額の還付が認められています。そこでこの回では、一般納税人である生産型企業が輸出取引を行った場合の仕入増値税額の還付についてみていきたいと思います。

1「免除控除還付方式」

一般納税人である生産型企業が輸出取引を行う場合、増値税は「免除控除還付方式」により計算されます。

「免除控除還付方式」とは、輸出取引にかかる売上増値税は免除とし、輸出貨物にかかる仕入増値税額は国内売上増値税額から控除し、控除しきれない場合はその仕入増値税額を還付することをいいます。

また、還付されるのは、輸出比率(輸出売上高の全売上高に占める割合)が50%以上の場合で、50%未満の場合は翌月に繰り越されることになります。

2.納税額(還付税額)の計算方法

輸出取引を行った場合の納税額の計算は次のように行います。

①控除不能仕入税額=(輸出FOB価格-免税仕入原材料価格)×(徴収税率-還付税率)
②納税額=国内売上増値税額-(仕入増値税額-①)

当期の②納税額がマイナスでかつ輸出比率が50%以上の場合に還付の適用を受けることが可能となります。ただし還付額は(輸出FOB価格-免税仕入原材料価格)×還付税率を限度とします。

3.計算事例

では、次の2つのケースについて実際に計算してみましょう。(徴収税率17%、還付税率13%)

<ケース1>国内売上がなく、原材料輸入は免税の場合

生産企業Aは、輸出100%の企業で、免税の輸入原材料4,000元及び国内調達の原材料等
(仕入増値税額500元)により製品を生産し、国外に10,000元で輸出した。

国内取引 海外取引(直接輸出)
国内仕入(原材料等)
(仕入増値税額500元)
生産企業A
輸出FOB価格 10,000元
免税輸入原材料4,000元

<ケース1>の場合の納税額(還付税額)の計算
①控除不能仕入税額=(10,000元-4,000元)×(17%-13%)=240元
②納税額=0-(500元-240元)=△260元<(10,000元-4,000元)×13%=780元   ∴△260元(還付)
この場合、控除不能仕入税額240元は製造原価に参入されることになります。

<ケース2>国内売上があり、原材料輸入は免税の場合

生産企業Bは、免税の輸入原材料4,000元、国内調達の原材料等(仕入増値税額1,700
元)により製品を生産し、国内に15,000元で販売、国外に10,000元で輸出した。

国内取引 海外取引(直接輸出)
国内売上 15,000元
国内仕入原材料等(仕入増値税額1,700元)

生産企業B
輸出FOB価格 10,000元
免税輸入原材料4,000元

<ケース2>の場合の納税額(還付税額)の計算

①控除不能仕入税額=(10,000元-4,000元)×(17%-13%)=240元
②納税額=15,000元×17%-(1,700元-240元)=1,090元(納付)

この場合、控除不能仕入税額240元は製造原価に参入されることになります。

[中国企業税制入門] 第二回 増値税-その1

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今回は、増値税について説明します。増値税は中国の税収構成の中で最も割合が高く、また中国進出企業においても基本税率が17%(穀物など対象項目によっては13%)と高いため非常に重要な税目といえます。

1.課税対象

課税対象は、国内における物品の販売又は加工、修理等の役務の提供及び物品の輸入取引です。

2.納税義務者

一般納税人と小規模納税人に区分されます。小規模納税人か否かの判定は、主として製品の生産或いは役務を提供する納税人は年間の課税売上額が100万人民元以下の場合で、物品の卸売或いは小売を行う納税人(商業企業)は年間の課税売上額が180万人民元以下の場合となります。

3.一般納税人と小規模納税人の主な違い

(1)税額の計算方法

①一般納税人:売上時の預かり税額(税率17%)-仕入時の支払税額(税率17%)

②小規模納税人:課税売上高×徴収税率(生産・役務提供企業は6%、商業企業は4%)

①、②を比べますと、①の一般納税人は売上時の預かり税額(売上増値税額)から仕入時の支払税額(仕入増値税額)が控除できるのに対して、②の小規模納税人は売上高に対する税率が低く一見有利に見えますが、仕入増値税額が控除できないため、仕入増値税額17%は原価の一部となり粗利率が低下します(図表「税額計算例」参照)。

(2)増値税専用発票

一般納税人は増値税専用発票(以下「発票」)を発行することができますが、小規模納税人は原則できません。(税務局による発票の代理発行制度を利用すれば可能です。)

4.納税期限

納税期限は納税額に基づき税務機関により決定されますが、1日、3日、5日、10日、15日或いは1ヶ月毎の納税期間があり、納税期間が1ヶ月の場合の納税期限は納税期間満了後10日以内となり、その他の期間の場合は納税期間満了後5日以内に仮納付を行い、翌月10日以内に申告納付します。

5.日本の消費税との相違点

日本の消費税と大きく異なる点は、(a)固定資産購入にかかる仕入増値税額が控除できないことと、(b)仕入増値税額は発票記載の税額を控除する(つまり発票を取得、保管していないと控除できない)ことです。

【図表】税額計算例

国内売上高10,000 元(税抜き)、仕入高8,000元(発票記載の増値税額1,360元)、税率17%(小規模納税人の徴収税率4%)とした場合の一般納税人と小規模納税人とでの納付税額と損益について比較してみます。なお、小規模納税人が発票の代理発行制度を利用しない場合、販売先は発票を取得できず仕入税額控除ができないため、税込の販売額を10,000元(税引きでの売上高10,000÷(1+4%))とするよう値引きの要請があることが考えられます(③のケース)。

①一般納税人の場合 ②小規模納税人の場合 ③増値税分値引き販売した場合
売上高 10,000 10,000 9,615
仕入高 8,000 *2) 9,360 9,360
粗利益(率) 2,000 (20%) 640 (6.4%) 255 (2.7%)
納付税額*1) 340 400 384.62

*1)①10,000元×17%(=1,700元)-1,360元=340元
②10,000元×4%=400元
③9,615.38元×4%=384.62元
*2) 8,000元+発票記載の増値税額1,360元=9,360元

[中国企業税制入門] 第一回 中国税制の概要

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はじめまして、シンセンNACマイツの増田と申します。今月から数回にわたって、中国の税制についての基本的な内容についてわかりやすく解説していきたいと思いますのでよろしくお願い致します。第一回目は、中国税制の概要についてです。

1.中国の税収構成

図1は2003年度の中国の税収構成です。現在中国には約30種類の税目がありますが、その中で最も大きなウエイトを占めるのが増値税です。
また、間接税(増値税、営業税、消費税)の占める割合が高いことが日本の税収構成と異なり大きな特徴となっています。

図1 2003年税収構成 (国家税務総局の発表データにより作成)

masuda200502

2.各税目の基本事項

1のうち特に外資企業に関係する税目の基本的な内容は次のとおりです。

(1)増値税

・納税義務者:
中国国内で物品の販売又は加工、修理等の役務の提供及び物品の輸入を行う組織及び個人が納税義務者となります。
日本の消費税のうち、物品の販売、輸入、加工等の役務に限定される付加価値税に 相当すると考えると理解し易いかと思います。
また、納税義務者は一般納税人と小規模納税人に区分されます。
・税率:基本税率は17%です。
・計算方法:営業額×税率
一般納税人‥売上時の預かり税額-仕入時の支払税額
一定の小規模納税人‥課税売上高×徴収税率(6%又は4%)

(2)営業税

・納税義務者:
中国国内で課税役務の提供、無形資産の譲渡及び不動産の販売を行う組織及び個人が納税義務者となります。
・税率:課税範囲により3~20%(主は3%又は5%)
・計算方法:営業額×税率
営業額とは、課税の対象となる行為を行った場合に相手方から受領した代金等をいいます。

(3) 外国投資企業及び外国企業所得税

・納税義務者:
中国国内源泉所得又は国外源泉所得を有する外国投資企業(中国国内に設立された 独資(外国資本による出資)企業、中外合弁企業、中外合資企業)、或いは中国国内源泉所得を有する外国企業(例えば建設工事の事務所など)が納税義務者とな ります。日本の法人税に相当するものです。
・税率:
外国投資企業は原則として、国税30%、地方税3%ですが、事業内容、地域などによって各種優遇措置があります。
・計算方法:
外国投資企業は、課税所得額×税率、となります。

以上

文・増田昌弘(税理士)
NACマイツコンサルティング

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