中国 中国企業税制入門

[中国企業税制入門] 営業税の基本

こちらの記事は2014年7月に執筆したものです。現在では営業税は廃止され、増値税に統一されました。増値税の詳細はこちらをご覧下さい。

今回は営業税について説明します。営業税はサービスの提供などを行ったときに取引の種類によって3~20%の税率で課税され、娯楽業を除けば3%または5%と増値税に比べ低い税率となっていますが、同じ流通税である増値税と違い、仕入時に支払った税金は控除できないなどの特徴があります。現在中国政府はこれまで営業税の課税対象取引を増値税の課税対象とする増値税改革(営改増)を進めており、以下の内容は今後の政策によって変更となる可能性がありますのでご注意ください。

1.納税義務者

中国国内で課税役務(サービス)の提供、不動産の販売を行う組織及び個人が納税義務者となります中国国内の企業に限定されていません。

増値税改革により、運送サービスを含む一部のサービス、動産のリース等の取引は現在、営業税の課税対象ではなく、増値税の課税対象となっています。

2.課税範囲と税率

課税範囲と税率は大きく、建築業、金融保険業、郵便通信業、文化体育業、娯楽業、サービス業、無形資産譲渡、不動産販売の各税目に分けられていますが、このうち特に外資企業に関係する税目の課税範囲及び税率は次のとおりです。

  1. 建築業(建築、据付、修繕、装飾及びその他の工事作業)…3%
  2. 娯楽業(カラオケ、喫茶店、ゴルフ場、ゲームセンターなど)…5~20%
  3. サービス業(増値税の対象となる運送業や「現代サービス業(※)」等を除く)…5%
  4. 無形資産譲渡、不動産販売…5%

※現代サービス業(現代服務業)とは増値税改革に関する規定で定義された各種専門サービス業をいう。

3.税額の計算方法

営業税額は、営業額×税率で求めます。営業額とは、相手から受領する全ての代価と価格外費用の合計額で、価格外費用とは、相手から受領した手数料、代理徴収代金、立替金その他の費用のことをいい、会計処理方法に係わらず課税の対象となります。

4.源泉徴収

中国国内に機構及び場所を有していない外国企業が営業税の課税対象取引を行った場合には、納税代理人が源泉徴収を行います。納税代理人がいない場合には取引の相手(支払者)が源泉徴収を行い代理納付をします。

5.増値税との比較

増値税 営業税
課税の対象 中国国内における物品の販売又は加工、修理等の役務の提供及び物品の輸入取引 中国国内におけるサービスの提供、無形資産の譲渡及び不動産の販売
税率 17%(物品によっては13%)、輸出は0% 3~20%。主に5%又3%
納税額 売上増値税額-仕入増値税額(一般納税人の場合、仕入時の税額を控除できる。) 営業額×税率(増値税と異なり、収入に対応する費用にかかった税金は控除できない。)
海外取引 輸出取引では、仕入増値税額の還付を受けられる場合あり。 外国企業のロイヤルティー収入は原則課税だが、一部ロイヤルティー収入について免税規定あり。