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2010年2月に代表処(常駐代表機構)対する徴収管理弁法が公布されました。これは居住企業と非居住企業の中間に位置する代表処に対して、企業所得税(及び営業税・増値税)の徴収方法を明確化したものです。

今回は、この規定により変化した重要なポイントを2つ挙げてみたいと思います。


1. 課税上の位置付けの変化

第一に、中国から見たときの代表処の課税上の位置付けに変化がありました。

中国の居住地国課税に基づく企業所得税の課税権は、基本的に居住企業と、恒久的施設を有する非居住企業に及びます(図の赤線の範囲まで)。


この図において、代表処は恒久的施設(中国で課税)と非居住企業(中国で免税)の中間に位置すると理解することができます。理由としては以下のようになります。

まず、日中租税条約には以下のような恒久的施設除外の条件が規定されており(日中租税条約第5条の4)、代表処は通常これらの条件を満たすため恒久的施設には該当しません。
  • 商品の保管・展示・引渡のための施設の使用
  • 商品の保管・展示・引渡・他企業の加工のための在庫の保有
  • 商品の購入、情報収集のための場所の保有
  • 準備的・補助的な活動を行うための場所の保有
日中租税条約に従えば代表処は免税となるはずですが、これまで国内法により免税となる代表処は一部に制限されてきました。国税発[1996]165号(現在は廃止)には免税対象となる業務として以下のように規定されています。
  • 総機構(日本親会社のこと)の製品製造・自社製造製品販売のための市場調査・情報収集・連絡・準備・補助的活動
実務的には、日本親会社が製造業であることを証明できる場合、中国に設立した代表処は免税とされていました。一方で、近年免税適用のケースは地域によっては非常に少なくなり、経費に一定の比率をかけて算出したみなし利益により課税されること(経費課税)が一般的になっています。

今回の規定(国税発[2010]18号)では、国税発[1996]165号を廃止すると同時に、基本的にすべての代表処の所得に対して企業所得税を納付することを定めています(第3条)。その上で、日中租税条約を適用して免税としたい場合、国税発[2009]124号により備案手続を行わなければならなくなりました。

つまり、代表処は基本的に恒久的施設に該当し、例外的に日中租税条約に基づき非居住企業となることが定められました。国内法においても免税対象業務を明記していた以前の規定に比べ、明らかな課税強化といえます。

2. 査定利益率の変化

代表処に対する課税計算方法でもっとも一般的なのは、経費または収入に基づいて査定利益率で課税所得を計算する方法です。

実務的には、ほとんどの代表処で収入がないことから、経費課税方式が採用されてきました。

  • 収入額=当期経費支出額/(1-査定利益率-営業税税率5%)
  • 企業所得税額=収入額×査定利益率×企業所得税税率25%

このときに適用される査定利益率は、財税[1986]290号の規定により一時的に15%から10%に引き下げられていましたが、今回の規定(国税発[2010]18号)では、査定利益率が再び15%(以上)に戻されることになりました(第8条)。

尚、適用第1回目の納税は4月初旬頃となりますので、それまでに計算方法について各地国家税務局のガイドラインが出されるかと思います。ご注意下さい。

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[まとめ] 中国・代表処の課税をめぐる二大変化 from 香港・中国・東南アジア法令情報サイト NAC Global .NET