シンガポールのM&A関連の取引について、税制優遇制度が設けられております。以下が、概要です。
■M&A関連の税制優遇制度の要件
シンガポールのM&A優遇制度を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります:
- 期間:
- 2010年4月1日から2030年12月31日までの期間に完了する株式取得が対象です。
■優遇内容:
- M&A控除: 取得価額の25%がM&A控除として認められ、5年間で均等に償却されます。控除額の上限は、取得価額4,000万シンガポールドルに対して1,000万シンガポールドルです。
- 取引費用の200%控除: M&Aにかかる弁護士費用、会計・税務顧問費用、評価費用などの取引費用について、1会計年度あたり10万シンガポールドルを上限として200%の税控除が適用されます。
■買収会社(Acquiring Company)の要件:
- シンガポールで設立され、シンガポールの税務居住者であること。したがって、最終親会社がシンガポール非居住法人である場合には、対象となりません。
- 株式取得日において、シンガポールで事業を営んでいること。
- 株式取得日より前の12ヶ月間、少なくとも3人の現地従業員(取締役を除く)を雇用していること。
- 株式取得日より前の少なくとも2年間、対象会社と関連がないこと。
■対象会社(Target Company)の要件:
- 株式取得日において、シンガポールまたはその他の国で事業を営んでいること。
- 株式取得日より前の12ヶ月間、少なくとも3人の従業員を雇用していること。
■株式取得の要件:
- 対象会社の普通株式を少なくとも20%(株式取得前の保有割合が20%未満の場合)、または50%超(株式取得前の保有割合が50%以下の場合)取得すること。
- 20%の株式取得のしきい値に基づきM&A控除を申請する場合、追加の適格条件(例:対象会社の取締役会に少なくとも1名の取締役を置くなど)を満たす必要があります。
■M&A控除を申請する子会社(Acquiring Subsidiary)経由の場合:
- 控除を申請しないこと。控除は親会社に付与されます。
- 株式取得日において、シンガポール内外で事業を営んでいないこと。
- 株式取得日において、買収会社によって直接かつ完全に所有されていること。