シンガポール

シンガポール進出時の留意点(1) – 給与関連

1. 給与の支給

  • 外国人への給与支給(日本人含む)
    • 支給額:日本のような源泉徴収制度はなく、シンガポール人/永住権保持者でなければ、社会保険の控除もないため、SG居住者の社員に対しては、月額給与手当額を基本的にそのまま支給するだけです。
    • 社員が自己の責任で、所得税を申告・納付。
    • 源泉徴収は不要ですが、日本本社の取締役等で、SG法人のDirectorに任命されているような、SG非居住者の場合は、給与・賞与に 源泉税24%がSGにて申告納付が必要となります。
    • SG居住者の社員については、SDL(Skill Development Levy)の対象となるため、申告・納付が必要。
  • シンガポール人・永住権保持者への給与支給
    • CPF(中央積立基金)への拠出が必要。
    • 雇用主:17%、従業員:20%(55歳以下の場合)。
    • CPF拠出上限=月額給与 SGD6,000 → 2026年1月にSGD8,000まで段階的に引上げ。
    • CPF率も2024年以降順次引上げ(例:55歳以下で37%まで、雇用主17%、従業員20%)。

2. SDL(Skill Development Levy)

シンガポール人及び永住権保持者の技能開発のため、外国人社員を雇用する会社に課される拠出金です。

  • 所得税源泉徴収は不要ですが、給与の0.25%をSDLとして会社が負担。
  • 月額上限=SGD11.25/人(給与SGD4,500まで)。
  • SkillsFuture Singapore Agency(SSG)に申告・納付。
  • 少額でも未申告は指摘されやすいため注意。SSGから納付状況のステートメントが送付される場合があります。

3. FWL(Foreign Worker Levy:外国人雇用税)

  • Work PermitやS-Pass保持の外国人労働者に課される税金。
  • 金額は 雇用パスの種類・業種・熟練度・比率 により異なります。
  • 支払方法:MOM(人材庁)の管理下で銀行自動引落し(GIROといいます)、翌月17日までに納付。
  • セクター別に課金水準が異なります(建設・サービス・製造・プロセスなど)。
  • S Pass Tier1は順次引き上げ(例:2019年SGD330 → 2025年SGD650)。

4. 日本本社と現地法人の給与負担

  • 日本親会社からシンガポール子会社に従業員を出向させる場合、給与等をどちらが負担するかが重要。
  • 原則:負担した法人が費用計上 → 税務上も損金算入可能。
  • 日本本社が全額負担した場合、シンガポール子会社側で損金算入できないリスク。
  • 適切に負担割合を定める必要がある(どちらの業務活動に起因する費用かが基準)。
  • 出向者の給与負担はケースバイケースで、業務実態や格差補填給与の有無により異なる。
  • 格差補填給与(本社勤務より高額な補助)は、日本本社で費用負担する合理性あり。

5. 給与支給日とボーナス

  • 日本系企業では本社の支給日に合わせる場合や、月末支払とする場合が多い。
  • 労働法で解雇手当などは「解雇通知から7日以内」に支払う義務がある。
  • ボーナスについては日本の支給日に合わせても問題なし。