1|2026年度国家予算の最新状況(総論)
予算案全体は2025年10月10日に国会で発表されており、2026年1月時点でも正式な成立・法令化を前提に各種詳細が整理されています。
予算額や基本方針は以下の通りです:
- 総予算規模:約 RM 4,210億(RM 421 Billion)
- 財政赤字目標:対GDP比 約3.5%(2025年度より改善傾向)
- 経済成長率見通し:約 4.0〜4.5%(政府予測)
- 基本方針:MADANI経済枠組みに基づく成長・包摂・持続可能性の推進
(※ MADANI:マレーシア政府が掲げる「包摂的・倫理的・革新的経済」フレームワーク)
2|最新の税制・政策アップデート(2026年1月時点)
A. 予算案内容の確定度
2025年10月の発表以降、2026年税制項目の多くは既に詳細が公開済みで、そのうち主要な改正案は既に一定の法令化プロセスを経る見込みです。
実務上は、最終的な施行法令・内国歳入庁(LHDN)の指針発表等の動きを確認する必要がある点、ご留意ください。
B. 主な新規・追加ポイント(予算案から具体的施策へ)
1) 法人・投資関連
-
国外源泉所得免税は2036年12月31日までの延長が確定しており、長期的な予見可能性が確保されています。
-
LLP(Limited Liability Partnership)利益分配超過分への2%税が導入予定。
→ LLPパートナーへの分配の扱いが、会社の配当と均衡化。Sdn Bhd(株式会社)の配当に2%課税が導入されたため、租税回避防止の観点からLLPの利益分配にも同率(RM10万超の部分に2%)が課されることになりました。
-
観光・イベント関連の税インセンティブ強化案
→ Visit Malaysia Year 2026に向け、国際会議・MICE関連の優遇措置(100%税免除等)も検討。
-
産業別・投資インセンティブの再構築
→ 例:農業向け100%免税(投資規模による)、観光インセンティブの拡大。
2) 個人・労務関連
-
雇用契約書の印紙税免除範囲の拡大
→ 現行は月額給与 RM300上限の免除が、RM3,000まで拡大。
-
教育・保育費控除等の拡充は引き続き維持される方向です。
3) 不動産・住宅関連
-
外国人・外国法人向けの住宅取得印紙税率の引上げ(4%→8%)は
2026年1月1日以降適用予定として予算案で記載されています。
4) 炭素税および環境対応
-
炭素税導入は維持予定(初期は鉄鋼・エネルギー等の重化学分野対象)。
法令・実務指針は今後公表が予定されています。
C. 追加的な政策・制度面の動き
1) AI・デジタル投資・人材支援
-
AI 国家戦略関連予算が組まれる方向
→ AI・データインフラ整備、研究開発・起業支援強化の方針が確認されています。
2) 人材・労働関連
-
Residence Pass–Talent (Fast-Track) Schemeの継続
→ 一部外国人プロフェッショナルに対してEmployment Pass(就労許可)要件免除の適用。
3|実務上の注意点(2026年1月以降)
-
税制法令の成立・施行日確認が必要
→ 予算案ベースで示された項目は、2026年以降に実際の税法・政令等として発効されます。
-
加速度減価償却等の期限
ACA(加速償却)は2026年12月31日までの取得分が対象予定で、購入タイミングが重要です。
-
LLP関連の税
- LLP配当税(分配ベース)の取り扱いは、法人税とパートナー所得税との整合性を検討する必要。
-
国内外税務環境との整合
- 国内源泉および国外源泉所得の免税措置は引き続き強化されますが、国際税制(BEPS、グローバル最低税率等)との整合性も確認が必要です。