シンガポール
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シンガポールの会計制度(3) シンガポールの会計基準について
シンガポールの会計基準の構成:会計基準委員会(ASC)が公布。
- FRS(財務報告基準、Financial Reporting Standard)と財務報告基準解釈指針(Interpretation of Financial Reporting Standards:INT FRS)で構成
 - 会計基準審議会(ASC)が公表
 - IASとIFRSに準拠
 
シンガポール会計基準委員会(The Accounting Standards Committee (ASC)により設定された会計基準は、以下のとおりです。
- Singapore Financial Reporting Standards(International):SFRS(I)
 - Financial Reporting Standards:FRS
 - Singapore Financial Reporting Standard for Small Entities:SFRS(SE)
 - Charities Accounting Standard:CAS(慈善団体向け)
 
シンガポールの証券市場への上場準備を計画されていない限り、現状においては、①SFRS(I)(任意適用)、②FRS、が適用でき、事業規模等によっては、③SFRS(SE)を適用できます。
シンガポールに設立されている日系企業の非上場子会社は、一般的に、FRSを適用している場合がほとんどです。
目次
SFRS(I)
- 2018年1月1日以降適用開始
 - シンガポール上場企業・上場準備企業が対象
 - IFRSと完全一致
 - SFRS(I)準拠は無条件でIFRS準拠とみなされる
 
FRS(財務報告基準)
- 他の基準要件に該当しない、シンガポール法人・外国法人のシンガポール支店が対象
 - FRSは、国際会計基準(IFRS)をほぼそのまま導入していますが、以下の項目で差異があります。
関連会社・共同支配企業投資(適用時期と連結財務諸表免除要件の差異) - 非上場の在シンガポール日系企業は、一般的にFRSを適用しています。
 
SFRS for Small Entities(中小企業向け)
- 2011年1月1日以降適用開始
 - 小規模企業向けに簡素化された基準
 
- SFRS(SE)(小規模企業(Small Entity)向け財務報告基準)は、直前2会計期間で、以下の2つ以上を満たす企業が採用可能。※監査免除要件と類似。
- 年間総売上≤SGD1,000万
 - 総資産額≤SGD1,000万
 - 従業員数≤50人
 
 - ただし、以下は対象外:
- 国内外の上場企業・上場準備企業
 - 銀行、保険、証券会社等の金融機関
 - 会社法上のパブリックカンパニー(株式譲渡制限がない会社)
 - 慈善事業法に基づく慈善団体
 
 
会計及び監査に関わるルール
他に、会計及び監査に関わるルールとして、
- 会計士法The Accountants Act(日本の公認会計士法相当)
 - 監査基準SSA(Singapore Standards on Auditing)
 
【補足①】連結財務諸表作成義務について
連結財務諸表作成が必要な企業は、個社ではなく連結ベースで要件判定します。外資企業は連結ベースで判定するため、SFRS(SE)適用は限定的です。
【補足②】FRSとIFRSの主な差異について
主な差異は、連結財務諸表作成免除要件、持分法適用免除要件です。シンガポールの会計基準は、IFRSとほぼ一致しておりますが、シンガポールの実情に合わせて、一部異なっています。
連結財務諸表作成にかかる免除要件の差異
FRSの方が、要件の一部が緩和されています。
IFRS
最上位または中間親会社が、IFRS準拠して子会社を連結するか、または、FVTPL区分において公正価値で測定し、IFRSに準拠した財務諸表を公表しているという要件があります。
FRS
最上位または中間親会社が、子会社を連結するか、または、FVTPL区分において公正価値で測定し、財務諸表を公表しているという要件になっており、必ずしもIFRSに準拠していないことも許容されています。
関連会社または共同支配企業に対する投資への持分法の適用の免除要件の差異
連結財務諸表作成にかかる免除要件と同様、FRSの方が、要件の一部が緩和されています。
(注)上記取扱いは、出稿当時のもので、最新実務と異なる場合がありますので、ご注意ください。
お問い合わせ、ご相談は、錦戸(fm@avicnac.com)まで、ご連絡ください。
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