香港

[NNA Q&A] 華南と香港法人の関係

相談者: 電機(日本)

Q. 中国華南地区に工場進出を検討しています。取引先からは、あわせて香港で貿易会社を設立するように勧められていますが、香港法人設立にはどういったメリットがあるのでしょうか。

A. 日系企業が中国華南地区に生産拠点(合弁、独資、委託加工)を持つ場合に、同時に香港に製造や貿易・物流の管理会社を設立するケースが多くみられます。これは、廉価で豊富な労働力、部材調達の容易性といった華南の優位性と、香港の利点を組み合わせることで、より大きな相乗効果が期待できるためです。具体的には次のようなメリットが考えられます。

  1. 税制面の有利性
    法人税は一律16%と低い上に、香港域外源泉所得は非課税扱いとなります。特に委託加工などで生産活動が中国にある場合には、50%所得按分(すなわち実質的な税率8%)も可能です(但し、日本の合算課税に留意)。また、受取配当・利息についても非課税ですので、持株会社的に香港に利益をプールし再投資に回すことで企業グループ全体としての節税が可能となります。さらに法人だけでなく個人の所得税についても、日本、中国に比べ非常に低税率となっています。
  2. 転廠加工の活用
    華南地区で委託加工生産する場合、保税扱いで輸入した原材料は本来であれば加工後中国国外へ輸出しなければなりません。しかし、中国国内の他工場に委託生産した半製品・部品を転送する場合には、これでは大変非効率となります。そこでこの煩雑な物流・通関手続きを簡素化するために発展してきたのが「転廠」といわれるものですが、これにより保税面のメリットのみならず資金取引面においても香港企業間の取引として人民元以外の外貨建て決済が可能となり有効な利用が可能となっています(但し、制度としては流動的)。
  3. 高度なインフラの活用
    世界一のコンテナ貨物取扱高を誇る港湾設備や多種多様な航空、陸上輸送といった香港の物流拠点としての優位性を享受できます。また、国際的な金融サービスや低コストの通信サービス、整備された法制度といった点も活用できます。

この他、契約上のトラブルや訴訟がおきた場合の日本本社の直接的なリスクを回避するためのクッション機能、香港人スタッフの雇用面での利便性、取引先や業界の情報収集の容易性なども香港法人設立のメリットといえるでしょう。