香港

香港政府が住宅家賃の税務上の所得控除に関する立法過程を開始

2022年税務(改正)(住宅家賃所得控除)条例草案は、5月6日に公告され、5月11日に立法会での審議に向けて提出される。これにより、2022-23年度予算案において提案された住宅家賃の所得控除の実施を目論む。香港政府は、当該条例法案が今年の立法会の夏季休会前に可決され、2022/23年度の課税年度から、当該措置を実施したいと考えている。

適格となる納税者は、今年6月に発行される2021/22年度の課税年度の税務申告書において、2022/23年度の課税年度に関連する予想住宅家賃の情報を提供することが可能である。当該条例草案の可決後、香港税務局は、2022/23年度の課税年度における予定給与所得税を査定する際、当該所得控除を考慮する。

香港政府のスポークスパーソンは本日(5月4日)、「当該措置は、香港内に居住用不動産を所有していない、給与所得税もしくはパーソナル・アセスメントによる所得税の納付義務がある納税者の税負担を軽減することを目的としており、約43万人の納税者に恩恵をもたらすと期待されている。これにより、政府の税収は年間で約33億ドル減少する予定である」と述べた。

当該条例草案によると、給与所得税もしくはパーソナル・アセスメントによる所得税の納付義務がある納税者は、自分自身もしくはその共同居住者である配偶者がテナントとして(または両人とも共同テナントとして)、支払った税制適格住宅家賃の所得控除を申請することが可能である。提案されている所得控除上限額は、課税年度毎に10万ドルとなっている。

税制適格に該当するには、関連する居住用不動産が納税者の主たる住居であり、関連する賃貸借契約書が印紙税納付後の押印済みである必要がある。

当該措置が最も困窮している納税者の支援に的を絞り、濫用を防止し、二重課税の防止もしくは租税回避を防ぐことを確実にするために、当該条例草案は、以下の項目を含め税務上の所得控除が適用されない特定の状況を指定している:

  • 納税者または共同居住者である配偶者が、香港内の居住用不動産の合法的かつ実質的所有者である;
  • 賃貸している居住用不動産の所有者または主たるテナントは、納税者もしくは配偶者の関連者(たとえば、所有者は納税者の配偶者、納税者あるいは配偶者の親、子、兄弟やパートナー、等)である;
  • 納税者または共同居住者である配偶者が、雇用主から社宅として提供されている;
  • 納税者または共同居住者である配偶者が、公営賃貸住宅の入居者または認可されている占有者である;
  • 居住目的で使用不可、または法律もしくは香港政府の賃貸借契約により、私的な賃貸借契約が禁止されている不動産;
  • 納税者または配偶者が、家主に関係する不動産に関する購入選択権付リース契約を締結している;
  • 住宅家賃が、税務条例の他の規定に基づいて所得控除可能である;並びに
  • 納税者または共同居住者である配偶者が、他の居住用不動産に対し、同じ期間内に支払った住宅家賃を税務上の所得控除として認められている

納税者が控除できる住宅家賃の金額は、当該課税年度の賃貸借契約に基づいて支払われた住宅家賃の金額、または所得控除限度額の何れか少ない方となる。共同テナントが複数いる場合は、その共同テナントの人数に比例して、控除額は減額される。賃貸借期間が課税年度に対し、12ヶ月未満である場合、控除限度額は対象となる課税年度に含まれる賃貸借期間に比例して減額される。

納税者による税務申告書の作成提出を円滑にすべく、香港税務局のウェブサイトで、詳細な控除規則を含め、当該条例草案で提案されている住宅家賃の税務上の所得控除の詳細に関して説明している。これら詳細については、ウェブサイトを参照して頂きたい。

原文:Government starts legislative process on tax deduction for domestic rent(2022年5月4日更新)