香港 暗号資産税制

香港・暗号資産等報告枠組みの実施及び共通報告基準に係る改正に関するパブリックコンサルテーションの開始

香港政府は本日(12月9日)、経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD)が公布している暗号資産等報告枠組み(Crypto-Asset Reporting Framework: CARF)及び共通報告基準(Common Reporting Standard: CRS)に係る実施並びに改正に関する、香港におけるパブリックコンサルテーションを開始した。

香港は長年にわたり、税の透明性向上と国境を越えた脱税対策に向けた国際的な取り組みを支持してきた。2018年以降、香港もまたOECDが策定したCRSに基づき、パートナー国/税務管轄区域と毎年自動的に金融口座情報を交換し、関係税務当局はこれらの情報を税額査定や脱税の摘発・対策に活用できるようにしている。

近年のデジタル資産市場の急速な発展を受け、OECDは2023年にCARFを公表し、パートナー国/税務管轄区域との間で、暗号資産取引に関する税務情報を毎年自動的に交換することを規定し、また、CRSに新たなデジタル金融商品を組み込み、報告及びデューデリジェンスに関する要件を強化している。

香港財経事務及庫務局(Financial Services and the Treasury Bureau)局長のクリストファー・ホイ(Christopher HUI/許正宇)氏は、「香港は、国際的な税務協力の促進並びに国境を越えた脱税対策へのコミットメントを示すとともに、国際的な義務を果たすため、CARF及び新たに改訂されたCRSの実施に向けて、税務条例(第112章)(Inland Revenue Ordinance: IRO)を改正します。これは、香港が国際的な金融・ビジネスセンターとしての地位を維持する上でも極めて重要で不可欠です。

香港政府は、2028年から関係パートナー国/税務管轄区域との暗号資産取引に関する税務情報の自動交換を開始し、2029年からは新たに改訂されたCRSを実施することを目指し、来年中に必要な地方立法改正を完了する予定です。香港は、データの機密性とセキュリティ保護に関する基準を適切に満たすことが求められているパートナー国/税務管轄区域と、相互に税務情報の自動交換を実施します」、と述べた。

さらに、OECDは2024年から、香港におけるCRSの実施に関する行政枠組みの有効性について、第2回目の相互評価(Peer Review)を実施しており、香港政府はOECDの意見を検討した上で、金融機関の登録を義務付ける条例改正を提案している。これにより、識別機能の強化、罰則水準の引き上げ、執行メカニズムの最適化が図られ、OECD加盟国間の相互評価における高い評価を維持し、香港の国際的な金融・ビジネスセンターとしての地位を強化することを目指している。

この諮問書の内容は、香港財経事務及庫務局のウェブサイトで公開されている。当該諮問書では、OECDのCARF及び新たに改訂されたCRSの概要が示され、提案されている法案の詳細と関連する実施事項(報告手続き、記録保持要件、罰則水準、執行などを含む)が詳細に示されている。一般の方々からのご意見は、2026年2月6日までに、郵送(24/F., Central Government Offices, 2 Tim Mei Avenue, Tamar, Hong Kong/香港添馬添美道2號政府總部24樓)またはメール(carf@fstb.gov.hk)にてお寄せ頂けると幸甚である。

https://www.ird.gov.hk/eng/ppr/archives/25120901.htm(原文:Public consultation on implementation of Crypto-Asset Reporting Framework and amendments in relation to Common Reporting Standard launched、2025年12月10日更新)