中国 個人所得税

中国・粤港澳大湾区における外国人材の個人所得税優遇政策の再開について

中国華南地域の経済発展を牽引する枠組みとして昨今最も期待されている粤港澳大湾区(「広東・香港・マカオベイエリア」)にて、外国人材誘致の特別な措置として、納税済み税額についてその翌年に、課税所得の15%を超える部分を還付する優遇政策を2019年に発布し、施行開始していました。(《財政部 税務総局 粤港澳大湾区個人所得税優遇政策についての通知》財税[2019]31号 ) 当時この施行期間は2019年から2013年末までとされていましたが、実際には【1回目】2019年度所得の2020年度申請、及び、【2回目】2020年度所得の2021年申請と実施した後、【3回目】2021年度所得の2022年度申請についての案内はなく、昨年は実施されずじまいであったところ、6月2日付で広東省財政庁等からこの優遇政策を貫徹実施することについての通知文書が発布され、2022年に実施されなかった優遇政策が再開される見込みとなりました。通知発布に当たり、2020年付で発布されていた通知文書は廃止となります。今般通知の概要は以下の通りです。

粤港澳大湾区に勤務する国外ハイエンド人材と不足人材

珠江デルタ9市において納税済みの個人所得税額が、その課税所得額の15%を超える部分について、同9市人民政府の財政より補助金を支給し、この部分の個人所得税を免除する。当該補助金額は毎年1人当たり最高500万元を超えないものとする。

本通知文書に言う個人所得税額とは

《個人所得税法》に規定される納税済みの以下の所得に対する個人所得税を指す。

  1. 給与、賃金所得
  2. 労務報酬所得
  3. 原稿報酬
  4. 特許権使用料
  5. 経営所得
  6. 人材工程や人材項目に入選して獲得した補助性質の所得

複数に渡る所得の計算

上記項目の複数に渡る所得については合算して申請する。2. の所得を複数地域で取得した場合、所属地の原則に基づいて分担するものとする。

対象人材

粤港澳大湾区にて勤務する国体ハイエンド人材と不足人材とし、各市の制定する人材目録により範囲が確定される。

認定と受理

ハイエンド人材の認定と受理部門は各市科技部門、不足人材認定と受理部門は人力資源と社会保障部門、財政部門・人力資源・税務部門より審査及び支給業務を行うものとし、申請は申告者本人でもよく、企業でもよいが、企業からの申請を奨励する。

虚偽の申請に対して

申請資料は真実でなければならず、違法・虚偽行為があった場合、優遇取消とする。犯罪に関わる場合、法により刑事責任を追及する。

施行日

本通知は印刷発布日より施行する。

2020年通知発布時には施行期限が2023年末とされていましたが、今般の文書には施行期限の記載がありません。今後申請期限や細かい条件等について、各市からの通知文発布が待たれます。

今般の通知文書

  • 粤財税[2023]21号 広東省財政庁 広東省科学技術庁 広東省人力資源と社会保障局
  • 国家税務総局広東省税務局 粤港澳大湾区 個人所得税優遇政策を更に貫徹実施することについての通知』

廃止通知文書

  • 《広東省財政庁 広東省科学技術庁 広東省人力資源と社会保障庁 国家税務総局広東省税務局 粤港澳大湾区個人所得税優遇政策継続徹底実行についての通知》(粤財税[2020]29号)

珠江デルタ9市

広東省広州市、深セン市、珠海市、佛山市、恵州市、東がん市、中山市、江門市及び肇慶市