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[M&A] 学研、児童向け塾を本格展開:域内の有力企業と提携模索

学研ホールディングスは、東南アジア諸国連合(ASEAN)で児童向けの塾を本格展開する。海外の売上高比率を2015年に5%まで拡大する目標の達成に向け、各国で有力企業との提携を目指すほか、合併・買収(M&A)も視野に入れる。まずは、シンガポールやマレーシアで「算数教室」などを運営する。出版物の販売についても、域内の大手出版社と交渉中という。

シンガポールでは、先月に設立した駐在員事務所を1~2年で現地法人に格上げすることを目指す。日本の「算数国語教室」を算数教室として本格展開するほか、ASEANの一部ではすでに手掛けている体験型の「科学実験教室」を拡大する。フランチャイズや出資を含めた提携を検討する。
シンガポール駐在員事務所の加藤虎雄所長は、シンガポールでは日本と同水準の受講料で展開できるとの見解を示し、算数教室は1教室当たり児童5~10人、科学実験教室は10~20人を集めることを想定していると語った。マレーシアにも先月に駐在員事務所を開設しており、シンガポールやクアラルンプール、ジョホール州南部イスカンダル・マレーシア(イスカンダル開発地域=IDR)で事業を進めると明らかにした。実験教材は日本と同じものを使用する。科学実験教室は、教える側のプレゼンテーションも重要となるため、加藤所長は「先生のインストラクターを育成する組織作りが必要になるかもしれない」と語る。

■海外売上高で45億円

学研は2013年9月期の売上高予想として前期比5%増の845億円を見通している。15年9月期は売上高900億円を目標とし、海外売上高比率5%を目指している。海外の売上高は45億円となるため、各国の教室の生徒数は10万人単位とすることが求められる。インドではすでに30万人以上の生徒がいるという。

教室以外の事業では、デジタル絵本や「大人の科学マガジン」などの出版物も潜在的な需要があるとみている。デジタル絵本では、日本で222万部を販売する「ぴよちゃん」シリーズの英語版と中国語版を商品化しており、東南アジアに投入することができる。提携先については、教室を運営する企業と同じである必要はなく、現地の大手出版社を対象に交渉する方針だ。

このほかに将来的には、中間層向けの高齢者住宅事業でも東南アジアでの参入を目指す。日本では「ココファン」ブランドで、高齢者向けのサービス付き住宅を展開しており、15年9月期に日本国内で60カ所体制とする目標を掲げている。

学研の海外拠点はシンガポール、マレーシアのほか、中国に3カ所にある。北京では出版合弁会社、上海では広告受託、香港では付録の生産などを手掛けている。