中国 深セン

中国・深セン市前海合作区の決済サービス国際化十か条について

中国における決済サービスの現状と国の方針

中国ではキャッシュレス決済が非常に普及しているが、その一方で現金支払いに慣れている高齢者や、クレジットカードで決済可能な場所が限られており困っている外国人旅行客や出張者も少なからず存在する。決済方法の多様化・国際化を促進する国の意見書では、国際カード決済可能なPOS機の普及や、銀行ATMを外貨両替機に改造する、店舗での釣銭準備を奨励する等の方針が示されている。

特に香港からの週末消費等で賑わう深圳市でも、2024年に決済サービスを更に最適化し市全域で決済モデル地区を建設する11領域22項目の方案を発布している。飛行場+イミグレーションを入口として消費・宿泊・交通・旅行スポットの4つの面で、多様な決済方法のニーズに対応できる場所を増やしていくというもの。

2026年11月にAPEC首脳会議の開催場所となる深圳市の金融先進エリアと言われる前海合作区において、前海合作区管理局、中国人民銀行、国家外貨管理局深圳分局等6部門より、6月4日付で《前海合作区の国際化決済サービス最適化の10条措置》が発布された。制定においては香港・シンガポール・北京・上海等の環境と比較し差異を研究したことが紹介されている。当該措置の有効期限は1年とされ、主な内容は以下の通り。

  1. 便利で国際化された決済を実現できる商業エリアの建設。前海合作区商業エリアの店舗に決済サービスの導入・宣伝の指導及び研修を行い、決済ツール表示の標準化を促進し、店舗で国外の銀行カード、現金及びモバイル決済を実施できるようにする。深圳市の決済便利エリアリストに列記される運営主体には一回限り30万元の支援金が支給される。
  2. 前海合作区の商業エリア及び商業銀行が、外国人へのサービス担当表示やガイド、緊急対応担当を設置し、専門担当者より外国人等のダウンロードやモバイル決済開通を手助けする。また、店店舗での釣銭準備を励行する。
  3. 前海合作区の大型商業エリア・観光スポット・ホテル等、外国人の密集する場所に、サービススポットを設置し、現場サービスを提供する。
  4. 外貨両替機構の最適化。商業銀行が前海合作区で人民元“小銭両替”(原文:“零銭包”)と、外貨スピード両替を提供し、APEC経済地域の通用貨幣現金に対応することを支持する。
  5. 前海合作区内の各主要地点に外貨兌換拠点を増設する。
  6. 外貨両替サービスを最適化する。人民元・外貨両替所を経営する機構には一回限り50万元の奨励金を支給する。
  7. 前海合作区の決済機構が国際決済プラットフォームと提携し、国外電子マネーによる直接国内決済を実現することを支持する。商業銀行と前海合作区の決済機構が提携業務を強化し国外電子マネーによる決済場所の範囲拡大を推進する。前海合作区の地下鉄駅で国外銀行カード、デジタル人民元によるスキャンで改札を通れるようにする。
  8. スマート決済場所の拡大。観光センター、ホテル等に掌・顔認証等のスマート決済の導入を進める。決済機構の実際投入費用の50%、1社当たり100万元までの支援を与える。
  9. 前海合作区の商業銀行各店舗に、ATMや外貨両替等サービスを図等で分かりやすく表示する。“鵬城易滙”という外貨両替ミニプログラムを推進し、訪中外国人に提供する。
  10. 空港、イミグレーション、国内ビザセンター等に外国人のための決済サービスガイドに関するビデオを放映する等宣伝を行う。金融機構と旅行社の提携を常態化し、観光ガイドに外国人決済サービスの研修を行う。