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 江蘇省にはあまり大きな影響はなかったG20国際会議も終了、不動産価格は継続的に上昇しているようですが、為替相場や景気指数も小康状態を保っており、表面的には落ち着いているように見受けられます。但し、米国の利上げを巡る中国からの資金流出懸念等、余談を許さない状況は続きます。今月は、現地法人の運営でも比較的重要な固定資産管理について、紹介します。

(7)固定資産管理

固定資産は保有年数も比較的長期に渡るため、継続的な維持管理を求められ、且つ金額が大きいため、管理上の問題が認識される場合には、企業損益への影響も多大になってしまうことがあり、内部統制の観点からも重要な規程となる。資産管理は、固定資産台帳に基づいて行う。当該台帳に記録する一般的な資産情報は以下のようである。

・固定資産番号
・固定資産名称
・資産取得日
・資産使用部署
・資産金額
・状況(使用中、処分済み、予備等)

① 固定資産の認識基準
会社の経理規程では、まず固定資産台帳に載せて「固定資産」として管理する資産の基準を設ける必要がある。中国の会計原則では、固定資産の定義について次のように定められている。
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 企業会計準則における売上の認識と税務実務との同異点について、今回は役務提供を例に紹介します。

1. 企業会計準則の役務提供収入

 企業会計準則では、役務提供収入の認識については、貸借対照日における役務提供取引の結果が信頼性をもって見積もることができる場合、完工百分比法(注1)を採用し役務収益を計上しなければならないとし、役務収益の計上には◇収入の金額が信頼性をもって測定できること◇関連する経済的便益が企業に流入する可能性が高いこと◇取引の完成進ちょく度(注2)が信頼をもって確定できること◇取引において発生したもしくは将来発生する原価が信頼性をもって測定できること――の4つを同時に満たすことが条件とされています。
 なお、 (1)据付費用、(2)宣伝媒介、(3)ソフトウェア開発、(4)芸術公演、(5)販売に伴う区分可能なサービス費、(6)会員費、(7)使用許諾費、(8)長期間にわたり顧客に提供する役務―の各役務提供収入については、企業会計準則-応用指南(注3)において、それぞれその認識時点を個別に示しています。
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 企業会計準則における売上の認識については、主営業務収益の項目で既に紹介していますが、税務実務との同異点を改めて確認します。今回は商品販売を例として、企業会計準則と企業所得税、及び増値税における売上の認識について確認します。

1. 企業会計準則と企業所得税の商品販売認識

 企業会計準則では、商品販売収入の認識については◇商品の所有権上の主要なリスクと経済価値が買手に移転していること◇所有権に関連する継続的な管理権を留保していないこと◇収入金額の算定に信頼性があること◇経済利益が企業に流入する可能性が高いこと◇関連する原価が信頼性をもって測定できること――の5つが条件とされています。一方、企業所得税法上の課税所得の認識は、◇商品の販売契約をすでに締結し、企業が商品の所有権に関わる主要なリスク及び経済価値を購入者に移転した◇企業が通常、すでに販売した商品の所有権に関する継続的な管理権を留保しておらず、また有効な支配を行なっていない◇収入の金額を信頼性をもって測定することができる◇すでに発生したまたは発生の見込のある販売者の原価を信頼性をもって計算することができる――の4つが挙げられています。経済的利益の流入の可能性についての判断は企業所得税では求められていませんが、両者の売上認識は基本的に一致しています。
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 2015年12月11日付で「会計档案管理弁法」(財政部・国家档案局令79号、以下「会計書類管理弁法」という。)が公布され、2016年1月から施行が開始されました。1999年1月1日に施行された「会計档案管理弁法」(財会字[1998]32号)は同時に廃止されています。

1. 会計書類管理弁法

 「会計書類管理弁法」は、会計档案を分類して保管する、すなわち会計書類のファイリングの方法を定めるもので、国家機関、社会団体、企業、事業単位は全てこの弁法に従って会計書類の保管及び廃棄を行うことが求められています。また、財政部と国家档案局が共同で全国統一の会計書類作業制度を制定し、その実行の管理監督と指導を行うものとしています。
 「档案」とは保存する文献、書類、調書などのことで、同法に定められる会計保存書類の範囲は、会計計算を実行する過程において受理または形成する単位の経済業務事項を記録、反映した保存価値がある文字、図表等の各種形式の会計資料とされ、予算、計画、制度などの文書資料には同法は適用されません。

(注1)中華人民共和国国家档案局は国務院直属の機構で、国家の政策と法規に基づき、文書管理業務の方針や政策、法規則を立案し、国家機関や地方の公文書管理を組織・指導・検査・監督するとともに、文化資料も含めた国家の重要資料の収集・整理・保管し、社会のために利用に供する役割を担っています。
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 今回は、中国における会計監査と、監査による修正が生じた場合の会計処理について紹介します。

1. 審計(会計監査)

 日本では、企業に対する法定監査は、資本金5億円以上または負債200億円以上の株式会社を対象とする会社法監査、株式を上場している会社を対象とする金融商品取引法監査など規模の大きい限られた企業が対象となりますが、中国では、外商投資企業はその企業の規模等に関わらず、全て年度財務諸表について中国の公認会計士(注册会計師)の会計監査を受けて報告書を受領し、その報告書を財政、税務機関や工商行政管理機関等に提出しなければなりません。
 この会計監査とは、簡単に言うと、企業の経営成績を表す財務諸表が会計のルールに則って作成されているかを、その企業から独立した公認会計士が調査し、出資者などの利害関係者に対し、企業の財務諸表が信頼できるものであることを保証する意見を表明することです。
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 現地法人の設立時に、就業規則や給与規定を制定することは優先的に行われますが、経理規定の制定は後回しにされ、会計担当者の判断に任せて、経理処理が進められている事例も多く見られます。このような場合、会社として経理処理内容の合法性や正確性を把握することが出来ず、且つ会計担当者の退職といった状況が発生する際の引き継ぎにも困難が生じることになります。皆様には、自社経理規定の制定状況、或いは運用状況を一度確認されることをお勧め致します。
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 今回は、会計上の利益と企業所得税の課税所得と調整について、会計上求められる手続きを紹介します。

1.企業所得税の課税所得


 企業が獲得した所得には、企業所得税が課税されます。企業所得税の課税所得は以下の通り計算されます。

課税所得=総収入-不課税収入-免税収入-各種控除-繰越欠損金
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 「会計制度+旧準則」(以下「会計制度体系」といいます。)を適用している企業は、近い将来には新準則への変更が必要とされます。今回は、企業が会計基準を変更し新準則を採用した初年度の処理などについて紹介します。

1.新準則への変更による影響


 新準則はIFRSへのコンバージェンスを念頭に置いた基準ですが、会計制度体系も、当時の国際基準に沿った内容となっています。現在、中国に進出している日系企業の多くにおいては、デリバティブ取引や金融商品など、新準則が求める複雑な会計処理が必要とされる取引が存在していないものと想定されることから、会計制度体系から新準則への移行がさほど大きな影響を与えるものではないともいえます。
 一方、会計制度体系では税効果会計(注1)が任意適用であったため、親会社との連結上の求めがない場合には、殆どの企業が税効果を採用しておらず、新たに税効果を認識しなければなりません。さらに、会計制度体系においても認められていない、売上の計上基準を発票基準(注2)により処理しているなど、税法を基準とした処理をしている場合も少なからず存在しています。新準則への変更においては、会社が実際に行っている会計処理と新準則との差異を把握した上で、新準則に合致する計処理に変更していく必要があります。
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 現在中国で適用が可能な会計基準は3つありますが、小企業会計準則を適用する企業の規模が大きくなった場合には新準則を適用しなければなりません。また、「会計制度+旧準則」を適用している企業は、近い将来には新準則への変更が必要とされます。

1.小企業会計準則から新準則への変更


 小企業会計準則を適用している企業が以下に該当することになった場合、小企業会計準則を適用し続けることはできなくなり、その翌年の1月1日から新準則に基づいて会計処理を行わなければなりません。

・会社の規模が大きくなり、売上や従業員数、総資産額といった小型企業の基準に合致しなくなった。
・上場または社債を発行することになった。
・企業集団の傘下に入ることになった。
また、小型企業であっても「企業会計準則」を適用することは可能です。例えば、日本の親会社との連結決算による求めから、自ら新準則を選択適用することなどもよく見られるケースです。
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 前回に引き続き、企業会計準則(以下、本稿では「新準則」といいます。)と小企業会計準則の相違点について、今回は小企業会計準則の規定のうち企業会計準則と異なる点を中心に紹介します。

1.会計科目の設定


 以前に紹介した通り、中国の会計科目は国家統一会計制度で規定されており、新準則と小企業会計準則のそれぞれで科目名称及びコードが規定されています。小型企業(注1)の業務は相対的に単純で取引量も限られることになり、詳細な区分による管理を必要としていないことなどから、複数の項目をまとめたり、厳密な判断を行う事を避けたりするため、小企業会計準則の総勘定元帳科目である総分類科目(一級科目)の数は、新準則よりも少なくなっているほか、科目名称が異なるものがあります。
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