インドネシア

インドネシア・モスクの音量規制について(2022年)

2022年2月18日付で宗教大臣通達5号がアナウンスされ、イスラム教の祈祷を合図するモスクからながれるアザーン(祈祷の呼びかけ)等の音量について新たに規定されています。

インドネシアのモスクにおいては内部と外部にスピーカーや拡声器が設置され大音量で1日5回のアザーンが流れます。時間は月の満ち欠け具合によって異なるものの、夜明け前、昼頃、15時頃、夕方18時ごろ、夜20時ごろの5回です。イスラム教では毎週金曜を礼拝日と位置付けていることから、金曜には特に積極的に各モスクからアザーンが流れます。

これまで、モスクからの大音量でのアザーンに関しては、誰も苦情を申し立てることが出来ない状況にありました。特に近隣住人のイスラム教以外の宗教を信仰する住人にとっては、大きすぎる音量は生活に支障をきたす場合もありますが、インドネシア国民の9割近い国民がイスラム教徒であること、苦情を申し立てた者が嫌がらせに合ったり、宗教冒涜罪で実刑・収監されることがあったことから、モスクの音量には歯止めがかからず、年々大音量となる傾向にあります。

しかしながら2021年10月にフランス通信社が上記のモスクからの音量とその健康被害についての報道をインドネシア国内でも報じたことから問題視され、今回、宗教省は本件通達を各宗教団体・宗教関係者・知事・市町村宛で公布し、音量を100デジベルまで、時間帯によって5分間・10分間の利用時間の制限、また利用は夜22時までとすること、これまでなし崩し的に行われていた宗教関係以外のアナウンスでの利用制限などを規制する内容となっています。本件通達が、実施にどの程度遵守されるかは各モスク管理者の裁量も大きく定かではありません。

なお、本通達に抗議し撤回を求めるデモ活動がジャカルタ宗教省前では、たびたび行われております。