近年の経済のデジタル化から生じる税源浸食と利益移転(Base Erosion and Profit Shifting、以下「BEPS」)リスクに対処する目的で、経済協力開発機構(Organization for Economic Co-operation and Development、以下「OECD」)は昨日(7月1日)、大規模な事業を行っている多国籍企業(Multinational Enterprise Group、以下「MNEグループ」)の利益に対する課税権の公平な分配を確保し、世界的な最低税率を設定するため、国際的な税制改革(一般にBEPS2.0パッケージと呼ばれる)のフレームワークを発表した。世界中(香港を含む)の合計130の税管轄区域が、当該提案の承認を表明している。

財務司司長のポール・チャン(Paul CHAN/陳茂波)氏は、「香港は国際的な金融及び貿易センターとして、税務の透明性の向上と脱税行為との闘いにおいて、全面的に国際社会を支援し、これに対応する措置を採用してきた。私たちは、BEPS2.0パッケージの主要な原則に関して、国際社会の大部分が合意したことを歓迎する」と述べた。

チャン氏はまた、「香港の中小企業はBEPS2.0パッケージの影響を受けないだろう。このパッケージの対象となる大規模な事業を行っている多国籍企業に関し、香港政府は、香港のシンプルで透明性のある低税率の税制を維持し、企業によるコンプライアンス遵守負担を最小限に抑えられるよう、努めていく」と強調した。

BEPS2.0パッケージは、2つの柱で構成されている。第1の柱は、全世界の売上高が200億ユーロを超え、かつ収益率が10%を超える、大規模な事業を行っているMNEグループ(デジタル企業を含む)を対象とし、それら関連企業が活動する市場が該当する税管轄区域に、それら関連企業の利益のうち、特定の料率において課税権が割当てられる。第2の柱は、世界共通の最低法人税率であり、世界中の売上高合計が7億5,000万ユーロを超える大規模な事業を行っているMNEグループを対象としている。MNEグループの所在する税管轄区域の実効税率が、世界共通の最低法人税率(少なくとも15%)を下回っている場合、その親会社または子会社は、所在する税管轄区域で、その差額を追加税として納付する必要がある。OECDは、今年10月までにBEPS 2.0パッケージの技術的論点詳細を詰め、2023年に当該パッケージを実施することを目指している。

香港政府は、対策を考案するため、2020年6月に諮問委員会を設置し、BEPS 2.0パッケージが香港のビジネス環境の競争力に影響を与える可能性を検討し、その対策について提案した。財務司司長は、今年2月の発表された2021-22予算で香港政府の対策の方向性を示し、香港は国際的なコンセンサスに従ってBEPS 2.0パッケージを積極的に実施、同時に、香港の税制における簡潔性、確実性及び公平性に関して主要な利点を維持し、影響を受ける企業のコンプライアンス遵守負担を最小限に抑え、香港のビジネス環境及び競争力を継続的に改善することに努めていく。

BEPS 2.0の諮問委員会は、OECDがBEPS 2.0パッケージの技術的論点詳細を最終決定した後、可能な限り迅速に香港政府に報告書を提出する予定である。香港政府は、報告書の推奨事項を注意深く検討し、関連する立法手続きを進めるべく、具体的な対策について利害関係者と討議することとなっている。

原文:SARG welcomes consensus largely reached on BEPS 2.0 framework、2021年7月2日更新

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