中国 中国会計税務

[中国会計] 中国の国家統一会計制度(55)

 前回紹介した通り、中国の現行の会計基準は「企業会計準則」が原則ですが、小型企業に分類される企業については、「小企業会計準則」が適用されます。これは、小規模企業に比較的簡便な会計処理を認めるもので、基本は会計準則の規定に準じつつも、資産の市場価格による期末評価や税効果会計などが不要とされています。今回と次回で企業会計準則(新準則)と小企業会計準則との同異点を中心に紹介します。

1.会計計算の前提条件等


 企業会計原則と小企業会計原則は共に『中華人民共和国会計法』及び関連法律を基礎として制定されたもので、正常な経営活動が持続していることを前提とし、会計期間の区分や期末の財務報告書の作成要求、遵守すべき基本的な原則(注1)や、資産、負債、費用、収益等の定義、会計計算の基礎などの基本的事項に差はありません。財務諸表の報告内容に関する要求も基本的には同じですが、小企業会計は簡便な処理を目的としていますので財務諸表の形式は異なるものとなっています。
 (注1):企業会計情報の品質上、会計情報の◇(1)真実性、信頼性、完全性◇(2)意思決定への有用性◇(3)明瞭性◇(4)比較可能性◇(5)実質重視◇(6)重要性◇(7)保守性◇(8)適時性――の8つを確保することを要求しています。

2.適用範囲

 小企業会計準則は『中小型企業分類標準規定』(工信部連企業[2011] 300号)に規定された小型企業(微型企業を含む)に合致する企業に適用されますが、公開企業や金融機関、企業集団(注2)に属する企業はその規模が小型企業に属しても小企業会計準則を適用することはできません。一方、企業会計準則は小型企業でも選択して採用することができます。なお、小型企業に合致しなくなった場合には、翌年の1月1日から「企業会計準則」を使用すべきものとなっています。
 (注2):ここでいう、「企業集団」の定義は明確にありませんが、企業集団の親会社、子会社は中国で設立された法人で、外国法人を親会社とする企業集団は除外されるものと解されています。なお、中国の企業組織上、企業集団とは、一つの大型企業を核心として、主として資本を以て密接に結び付く企業により形成され、共通の規範に従い協調的な行動をとる経済組織とされ、企業集団自体に法人格はありませんが、企業集団としての工商局登記があり、親会社の登録資本は5千万元以上で5社以上の子会社を有すること、親会社と子会社の登録資本の合計は1億元以上などの規定があります。

<中小企業分類標準(抜粋)>
以下のいずれかを満たす場合には、小・微型企業に該当するものとなります。

業種(注3) 従業員数 営業収入 資産総額
工業 300人以下 2000万元以下 –
建築業 – 6000万元以下 5000万元以下
卸売業 20人以下 5000万元以下 –
小売業 50人以下 500万元以下 –
交通運輸業 300人以下 3000万元以下 –
倉庫業 100人以下 1000万元以下 –
飲食業 300人以下 100万元以下 –
ソフトウェア及び情報技術サービス業 100人以下 1000万元以下 –
不動産開発経営 – 1000万元以下 5000万元以下
リース及びビジネスサービス業 100人以下 – 8000万元以下

(注3):工業には(採鉱業、製造業、エネルギー供給業等を含み、交通運輸業からは鉄道運輸業は除かれます。