中国

[武漢コラム] 武漢と友好都市である大分市

現在、中国の多くの都市が日本及び世界各地の都市と姉妹都市となっていますが、武漢市も多くの都市と友好関係を結んでいます。

《武漢市海外友好都市一覧》

  1. 日本:大分県大分市(1979年)
  2. アメリカ:ピッツバーグ(1982年)
  3. ドイツ:デュイスブルグ(1982年)
  4. イギリス:マンチェスター(1986年)
  5. ルーマニア:ガラツィ(1987年)
  6. ウクライナ:キエフ(1990年)
  7. スーダン:ハルツーム(1995年)
  8. ハンガリー:ジェール(1996年)
  9. フランス:ボルドー(1998年)
  10. オランダ:アーネム(1999年)
  11. 韓国:清州(2000年)

ご覧の通り各国一都市ずつなのですが、人口970万人の武漢市と、県庁所在地とはいえ人口40万人の大分市が何故友好都市なのか、しかも武漢市として最初に締結しているのかが気になり少し調べてみたところ、どうやら「鉄」繋がりということが判明しました。

武漢には、恐らく市内一広い敷地を有する武漢鋼鉄という巨大企業があり、現在も鉄鋼の街という一面があるのですが、1970年代に新日鉄大分の関係者が武漢鋼鉄に技術指導に訪れたことがきっかけとなり友好都市になったそうです。

他の友好都市を見ると、ピッツバーグもやはり鉄鋼都市ですし、デュイスブルグやマンチェスターも工業都市として、似たような面があるのだと思います。特にデュイスブルグはドイツ内陸部のライン川とルール川の合流地点にある工業都市なので、長江と漢江の合流地として栄えてきた武漢の歴史と相通ずるのかも知れません。

中国国内の他都市には、日本の複数都市と友好都市協定を締結しているところも少なくありませんが、武漢は日系企業の進出が進んでも、大分市以外との友好関係を結んでいません。古い恩人を大切にする、という一面なのでしょうか。
そんな大分市は、経済的にも武漢との繋がりを深めるべく行政が積極的に活動しています。

<参考URL>
大分市・友好都市間交流ビジネスチャンス創出事業
「大分フェアin武漢」の概要

近年は武漢に「大分市武漢事務所」を開設しています。市町村レベルで単独に現地事務所を開設するのは非常に珍しいと思われます。それだけでも力の入れ具合が分かります。

まだまだ大分から武漢に進出する企業は多くありませんが、代表的な例として「みどり牛乳」があります。大分の乳製品製造業である「九州乳業」が現在武漢で牧場を開き育てている乳牛から牛乳やヨーグルトを生産し、湖北省の富裕層向けに販売しています。厳格な管理の下、新鮮な牛乳を生産し中国人のみならず、当地の日本人にも評判です。より富裕層の多い上海でも販売すればもっと売れる、とおっしゃる方もいます。

現在、武漢は中国内陸部のなかでは急速に都市化が進み人々の生活水準も上がってきており、消費意欲も非常に旺盛になってきています。これまで当地に進出する日系企業は自動車産業を中心とした製造業がメインでしたが、中国人向けのサービス産業において、まだ先行者利益が期待できる地域であると思います。