中国 華南ビジネス実務

[華南ビジネス] 進料加工と来料加工

外商投資企業が加工貿易業務を申請する場合、来料加工か進料加工のいずれかを選ぶことができることとなっています。但し、華南の一部地域、特に深セン市や東がん市では、これまで来料加工廠による来料加工のみが認可されてきた経緯があるため外商投資企業の来料加工はほとんど見られませんでした。現在、東莞市においては法人化促進に伴い、来料加工企業が法人に転換した後、地元の外経弁が同意すれば市への来料加工貿易申請が可能とされています。

来料加工と進料加工の違いは先ず、来料が外国企業の原材料の無償提供を受けるのに対し、進料は有償決済、つまり自社(中国側企業)で調達する点です。来料と進料ではこのため在庫の所有者が異なり、資産や収入の規模が異なってくることとなります。

次に増値税が異なります。来料加工は現在のところ加工・輸出免税で、国内で調達した資材・消耗品や水道電気代等に支払った増値税の仕入税額の控除が認められません。設備購入(輸入を含む)時にも増値税が課税されますが、外商投資企業に国内販売が無く販売増値税が発生しない限りは、この増値税も控除することができません。

一方、進料加工の増値税は、(輸出FOB金額-免税輸入原材料)×(17%-製品の還付率)の式で求められる増値税の免除控除不可額から、仕入増値税額を差し引いて、納税或は控除・還付を行うことができます。進料加工では、製造する製品の還付率が低いほど増値税負担が増えることになります。増値税の実際支払い額と免除控除還付申請時の免除控除税額に対し、流通税の附加税である都市建設税と教育費附加が発生することにご留意ください。また、直接輸出だけでなく、転廠輸出もある場合、華南地域では転廠が免税であるため、売上比率に応じて転廠分の仕入控除が認められないこととなります。

更に、進料加工では、各地域の加工貿易の認可部門や外貨管理局より、業種に応じて定められた一定の付加価値率を下回らないことを要求される場合があります。

法人化を検討する来料加工企業において、製品価格に占める材料費の割合が大きく、材料は100%輸入であり、法人化しても顧客や親会社からの無償支給によって材料や製品に値付けがしにくいといった状況が時々見受けられます。このような来料加工企業は、法人化後も来料加工貿易を継続できれば、法人化後の運営がよりスムーズに行えることと思われます。法人化を検討する際、所在地域にて来料加工を申請できるかどうか、商流等の状況に基づき来料、進料のいずれを申請するのが好いかについても検討確認することをお薦めします。