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[華南ビジネス] 法人化「無償提供設備の移管免税優遇期限」の意義

来料加工廠法人化に際して、無償提供設備を新法人に移管する場合、税関総署公告2009年第62号の規定では、免税の優遇期限が6月30日とされていますが、昨今、この優遇期限が延期されるかどうかが注目されています。元の62号文では、2008年12月31日及び以前に加工貿易手冊備案済みで、且つ2009年6月30及び以前に輸入申告済である、税関監督期間中である無償提供設備について、2011年6月30日までに、一括して無償提供設備の減免税審査批准手続きを行う場合、保税のまま移管することができると規定しています。現在、この優遇期限については、延長される見込みであることが伝えられています。

無償提供設備は通常、輸入後5年間は税関の保税監督管理下にあり、この期間中に移管する場合には保税の解除手続きを行った上で、移管が可能とされています。解除手続き時には、税関があらためて査定する設備価値を基礎に、保税期間である5年間(60ヶ月)のうち残存期間に対して関税と増値税がかかります。逆に、輸入日から5年経過を待って解除手続き及び移管を行うのであれば、関税・増値税はかかりません(注:譲渡に関する増値税は別途かかります)。

法人化に際して設備の関税・増値税がかかると言われると不安になってしまいますが、実在の設備を把握し、出資や譲渡対象を区別し、各税負担を把握するため、設備リストを作成し試算してみることをお勧めします。設備リストには以下の情報を盛り込みます。輸入設備の場合には、設備名称、型番、輸入時の税関(HS)コード、(現在のHSコード)、数量、輸入日、通関単番号(或は元の通関単の有無)、輸入時の通関申告金額、解除までの残存月数、関税率、税額等。 国内購入設備についても、購入日、金額、償却状況が分かるリストが管理されていれば(或はあらためて作成し)、これらの情報を合わせ、出資する予定の保税設備、出資或は譲渡する解除済み設備、譲渡する国内設備を確定していきます。

来料加工工場に比較的新しい免税設備がある場合には、免税優遇のメリットがあり、優遇期間の影響が大きいと言えます。一方、近日中に輸入後5年が経過する設備があるような場合には、5年経過を待って移管する法人化の日程計画を検討することもできます。