香港
国際会計税務・相続
香港における一般的な相続手続きについて
前回「1兆円超の巨額遺産相続をめぐって遺族と風水師が遺言書法廷闘争」として、香港で著名な大富豪の故ニナ・ワンさんのケースを取り上げました。
そこでは、香港の遺産相続時に引き起こされる様々な問題点が織り込まれていますが、これから数回にわたって、関連する遺産相続のおける一般的な留意事項を取り上げていきます。
香港における一般的な相続手続きの流れについて
人が死亡した場合、故人の遺産は、債務、葬儀や遺言費用を差し引いた後、故人の遺言(will)または無遺言条例(intestate law)に従って分配される。
まず、遺産の分配前に、関連する遺産についての
- 遺言がある場合:遺言の検認(Grant of probate)
- 遺言が無い場合:遺産管理状(Letter of administration)
を裁判所から入手する必要がある。
遺言の検認を入手する者を遺言執行人(Executor)という。遺言執行人は、故人により任命され、遺言書に遺産管理の責任者として述べられている者である。
また、遺産管理状を入手する者を遺産管理人(Administrator)といい、非訟遺言検認規定にて遺産管理人の必要条件が挙げられている。通常、故人の血縁関係者または配偶者が遺産管理人となる。
2006年2月11日に遺産税が廃止されたことを機に、遺言の検認及び遺産管理状の申請手続きが容易となり、遺産代理人申請を提出する前の資産税清算手続きを行う必要が無くなった。遺言執行人または遺産管理人は「故人の資産及び負債リスト」と供に、遺産代理人権所有の明細、及び/又は、遺産相続人の身分を記載した宣誓書を、裁判所へ提出すれば良いだけとなった。裁判所により宣誓書の内容が承認された場合、遺言の検認または遺産管理状が発行される。その後、遺言執行人または遺産管理人による遺産分割手続きが開始される。
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