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本連載の第15回(08年3月4日掲載)と16回(同18日)で、委託先工場の買い取りのケースの中でのデューデリジェンス業務について触れましたが、今回は更に詳しく説明したいと思います。

M&Aにおけるデューデリジェンスの目的

M&Aにおいては、デューデリジェンス、略してDDと呼ばれる買収監査業務は必須の過程となります。DDは会社の譲渡価格を決定するための判断材料となるだけでなく、譲渡後のリスクマネジメントのための大事な業務です。特に、日本企業が香港・中国の企業を買収する場合には、譲渡対象企業周辺の商習慣や税制などの投資制度、政策をよく知らないまま交渉を進めているケースが見受けられます。また現地の譲渡企業が譲渡価格についての要求を進めていく一方で、企業の業績や組織などについては情報を中々開示しないので、買い手にはリスク分析がしずらい、といったケースがあります。このような場合、買収目的の達成が危ぶまれます。譲渡企業の十分な理解と協力を得て、現地事情をよく知る専門家に依頼し、譲渡企業の実態と潜在リスクについて効果的な調査活動を行うことが重要です。調査活動の結果、譲渡自体の是非を問うことになる場合もあります。

調査の内容

日本企業同士の買収においては、企業価値算定を主な目的として財務DDのみに注力するかもしれませんが、香港・中国 での企業買収に際しては、対象企業が日系或いは現地企業に関わらず、目的に沿った調査の範囲を検討する必要があります。グループ企業や拠点の多い企業につ いても同様で、目的に応じてどの拠点の調査が必要かは異なります。

調査は会計士や弁護士などの専門家に依頼しますが、買い手企業は時間と費用が限られた中で、買収の目的を十分に専門家に伝え、調査範囲を決めなければなりません。

調査のステップは表の通りです。買い手企業の依頼からすぐに調査に入ることができるわけではなく、調査範囲を打ち合 わせ確定するには数日の時間を要します。調査範囲確定後、対象企業側で調査範囲の資料やデータを準備する時間が必要です。現場調査活動の前に資料がそろえ ば、調査活動がスムーズに進められます。

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情報開示と調査の難しさ

DDは秘密保持が最も重要です。譲渡双方の企業と、調査対象の情報に関わる人は秘密保持の義務を負うため、関係者間 でそれぞれ、秘密保持契約を締結します。売り手側の従業員が譲渡については知らされていない場合には、商取引上の監査活動といった名目で現場に入ることも あります。

売り手企業にとっては内部情報を探られる気分の悪さもさることながら、意図的に情報を開示したくない理由があり、 DDに非協力的なケースがよく見受けられます。このような場合には、買い手企業の方から、実態を知るために必要な調査であり心配をしないよう、説明してい ただいたり、現場調査活動に立ち会っていただいたりします。

中国・香港企業の買収DDを行う場合の専門家は現地の弁護士・会計士を起用することになります。現地弁護士・会計士 は日本企業のニーズを踏まえているとは限らず、また問題点の提起も、当然地域の投資や税制、法律などを知っている前提で報告書を作成します。記述を正確に 読み取ること自体、日本企業にとっては手間のかかる作業になります。

次回は主要な調査範囲である財務DDと法務DDで発見される問題点などについて説明します。

(以上)

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