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税関の企業分類管理弁法

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「企業分類管理弁法」は1996年6月以来、企業の輸出入実績及び規定の遵守状況に基づき分類し税関の企業管理上区別する規定を実施してきましたが、今般修正発布され、08年4月1日より実施されます。

従来に比較した特長

  1. 企業分類により、法遵守の優れた企業を税関が認定し、通関手続きの便宜を図るという点で、世界税関機構(WCO)のAEO(Authorized Economic Operator)制度を国内に導入したとしています。
  2. 企業分類を適用する企業の範囲を広げ、輸出入貨物の荷受人・荷送り人に加え、通関企業にも分類が適用されることとし、また税関に登記する加工企業も荷受人・荷送り人に照らして分類管理を実施するとしています。
  3. 従来のAからD分類に加えAA類を設置するとし、前述のAEO制度と従来の(紅・黒)リストを連携させるとしています。

分類に基づき異なる管理措置

AA類及びA類企業には通関上の各種便宜が図られ、B類企業には通常通りの管理措置が、またC類とD類企業には厳格な監督管理が、《企業分類管理措置目録》の制定を通じ全国の税関にて統一・規範化され実施されていくことになります。
A類企業に対しては、「所在地で通関、輸出入港で検査・通過」を実施、生産や貨物の積卸しに応じて検査し、作業現場では優先的に貨物の通関申告、検査、通過手続きを行うとしています。また稼働時間外や祝祭日の際の特急通関を優先的に手配し、銀行保証金台帳の「空転」あるいは非実施などが規定に基づき行われます。
加工貿易備案、変更、照合手続きや、企業の通関登記/変更手続き、通関員の教育訓練・試験なども優先的に手続きされます。
AA類企業にはこれに加え、企業の通関問題解決に協力、通関単の電子データを基に直接貨物の照合・通過を行う措置や、通常は輸出入貨物の開梱検査を行わないなどの便宜を与えています。
一方C・D類企業には通関申告書の審査、現場検査、照合など通関や、加工貿易業務の過程で厳格な監督管理措置が取られます。

荷主企業の分類と申請

荷主企業における各分類の条件は次の通り。
AA類:A類1年以上、前年度輸出入総額3千万米ドル(中西部1千万米ドル)以上、「状況表」という報告書や会計監査報告書を定期的に提出していること。
A類:B類1年以上、連続1年間に密輸や知的所有権関連の違反無し、税金・罰金払い込み遅延無し、前年度の輸出入総額が50万米ドル以上で通関ミスが3%以下、会計制度・業務記録を整備しており、税関業務に協力的な上に各種政府機関での不良記録が無いこと。
分類の変更については、上級分類を申請する場合、所在地の税関に申請を提出し、所在地税関が書類完備を審査のうえ、《受理決定書》を発行、上級の税関である直属税関が審査決定するという手順で、AA申請に対し受理後6ヶ月以内、A類申請に対しては3ヶ月以内、B、C類申請に対しては1ヶ月以内に回答が行われます。それぞれ決定後、10日以内に所在地の税関が決定書を企業に送達します。
一方、C類管理の適用については、密輸行為、1年間に3回以上の税関監督管理規定への違反あるいは50万元以上の罰金、1年に2回以上知的所有権貨物の輸出入により処罰を受けている、税金・罰金納付の遅延がある等の状況が発生している場合としています。
D類管理の適用については、1年に2回以上の密輸行為があった場合、3回以上知的所有権関連での処罰、50万元以上の税金・罰金の納付遅延状況が発生する場合などとなっています。

通関企業の分類条件と申請

通関企業のAA類条件として、A類1年以上、代理申告実績が前年度2万枚(中西部は5千枚)以上、税関の検証査察を経て、税関管理・企業経営管理及び貿易安全の要求に合致している、状況報告や監査報告を定期的に送付していること。
A類企業はB類通関が1年、企業及び所属する通関士に密輸などの規定違反が無いこと、知的財産権関連で税関に没収されていない、税金や罰金納付の遅延が無い、通関申告実績が3千枚以上、通関ミス3%以下、営業記録や通関申告受託の記録、状況報告などの定期的送付、登記証など手続きの完備、各政府機関での違反記録が無いことなど。
一方C類企業の適用条件は、密輸行為があり、違反行為が1年間に3回以上、50万元以上の処罰、知的所有権関連による没収が3回以上、通関ミス率10%以上、税金・罰金納付遅延50万人民元以下 など。
D類は密輸行為2回以上、税関没収が4回以上、税金・罰金納付遅延が50万以上などとなっています。
荷主・通関企業とも、初めて登録する場合はB分類となります。また、通関企業が、貨物の荷主に代わり通関業務を行う場合、両者に対しそれぞれ分類区別されますが、2つの組織の分類が異なるために抵触する措置がある際、C類・D類の場合には低いほうの措置を適用、B類以上である場合には通関企業の分類に照らして実施されます。 また加工貿易の経営企業と加工企業の分類が異なる場合、低いほうの管理分類に照らして実施するとしています。
(以上)