ベトナム

[ベトナム] 企業における為替差額処理に関するガイドライン

企業における為替差額処理に関するガイドライン

財務省2009年10月15日付け通達No.201/2009/TT-BTC(原文

  • 2008年の法人所得税法準拠;
  • 法人所得税法の一部の細則および施行ガイドラインについて2008年12月11日付の政府のDecreeNo.124/2008/NĐ-CP準拠;
  • 財政省の機能・役割・権限・仕組みについて定めた2008年11月27日付の政府のDecreeNo.118/2008/NĐ-CP準拠;
  • 国営企業の財政および他企業への投資についての管理規制を定めた2009年2月5日付の政府のDecreeNo.09/2009/NĐ-CP準拠;

2009年4月9日付、Nguyen Sinh Hung副首相署名の公文No. 2225/VPCP-KTTHの為替差額の処理に関する規定実現のため、財政省は以下細則を規定する。

A章 一般規定

第1条.適用対象・範囲
本通達は法律の規定に従いベトナムにおいて設立・活動する企業に適用される。本通達は外貨両替業者には適用されない。
ベトナム社会主義共和国政府と他国政府との間で締結された各協定に基づき設立された企業は、もし協定が本通達の規定と異なる為替差額処理を定めている場合、その協定の規定に従う。

第2条.本通達における専門用語

1.”外貨”とは、企業会計で採用している通貨単位と異なる通貨単位を指す。
2. “外貨建て取引”とは、費用及び収益が外貨で表示されている取引を指す。
3. “為替レート”とは2国通貨間の交換レートである(以下、レートと略す)。
4. “為替差額”とは、1つの外貨の会計帳簿に記載された時点でのレートと再評価時点でのレート間の差異である。

第3条.外貨建て取引を有する企業は、現行の会計制度の規定に従って為替差額を記帳する。
ベトナムドンへのレートは、企業会計制度の公布に関する2006年3月20日付、財政省決定No. 15/2006/Q?-BTCの規定に従う。

第4条.ベトナム国家銀行がベトナムドンへのレートを公布していない外貨に対しては米ドルを基準に換算する。適用レートは取引発生時点または外貨建て残高を評価する期末時点において企業が口座を開設している銀行レートとする。

B章 実施規定

第5条.事業活動から生じた当期の全ての為替差額は、建設段階を含めその期の財務費用または財務収益として処理する。

第6条.為替差額の取り扱い

1.当期の外貨建て取引で発生した為替差額の処理

1.1.新設企業の建設段階
新設企業が固定資産を形成する建設段階において、外貨での支払い時点で発生した為替差額と期末評価時点の為替差額は貸借対照表において別々に計上される。
建設完了後、固定資産の使用開始に伴い、為替差額は収益・費用に按分される。

  • 為替差額により増加した場合は財務収益へと按分する。按分期間は固定資産の使用開始から5年以内とする。
  • 為替差額により減少した場合は財務費用へと按分する。按分期間は固定資産の使用開始から5年以内とする。

1.2.事業開始段階
事業開始段階で固定資産形成のための建設を含め外貨での支払いがあった場合、発生した為替差額はその会計年度の財務収益または財務費用として処理する。

a. 債権に対して

  • 為替差額により増加の場合は当期の財務収益に計上する。
  • 為替差額により減少の場合は当期の財務費用に計上する。

b. 債務に対して

  • 為替差額により減少の場合は当期の財務収益に計上する。
  • 為替差額により増加の場合は当期の財務費用に計上する。

1.3.清算段階
a. 債権に対して

  • 為替差額により増加の場合は清算法人の収益に計上する。
  • 為替差額により減少の場合は清算法人の費用に計上する。

b. 債務に対して

  • 為替差額により減少の場合は清算法人の収益に計上する。
  • 為替差額により増加の場合は清算法人の費用に計上する。

1.4.外貨の売買から発生した為替差額

  • 為替差額により増加の場合は当期の財務収益に計上する。
  • 為替差額により減少の場合は当期の財務費用に計上する。

2.期末の外貨残高への為替差額処理
企業は本通達第3条規定のレートにより期末に外貨の現金、預金、銀行送金未達額、債権、債務の残高をベトナムドンに換算しなければならない。換算したレートと簿価との差額は以下の通り処理する。

2.1.貸借対照表日に外貨の現金、預金、銀行送金未達額、短期債権・債務(1年以内)の残高を評価する際の為替差額は費用または収益には計上せず、貸借対照表に計上する。そして翌年度機首にその差額を取り消す仕分けを行い貸借対照表から取り除く。

2.2.貸借対照表日に外貨の長期債権・債務(1年以上)の残高を評価する際の為替差額は以下の通り処理する。
a.長期債権に対して
企業は外貨建て債権に対して、各外貨の年末残高を評価する際の為替差額を以下の通り処理する。

  • 為替差額により増加の場合は当年度の財務収益に計上する。
  • 為替差額により減少の場合は当年度の財務費用に計上する。

b.長期債務に対して
企業は外貨建て各外貨の年末残高を評価する際の為替差額を以下の通り処理する。

  • 為替差額により増加の場合は当年度の財務費用に計上され損金算入が認められる。その費用計上のために当期損失になる場合は、損失回避のため差額の一部を次期に繰り越すこすことができる。しかし、当年度に計上する金額は、少なくとも当年度に支払うべき債務から生じた差額とする。残額は翌年度以降の費用に繰り越されるが5年を超えてはならない。
  • 為替差額により減少の場合は当年度の財務収益に計上される。

長期債権および長期債務を清算する際に実際に支払ったレートが簿価のレートより高いまたは低い場合には発生した為替差額は本通達の第6条1.2の規定に従って処理する。

C章 効力の発効

第7条.本通達は45日後に効力を発する。国営企業における為替差額処理のガイドラインである1997年7月8日付財政省通達No.44/TC-TCDNおよび1997年7月8日付通達No.44/TC-TCDNの改正・追加についての2001年6月05日付財政省通達No. 38/2001/TT-BTCに置き換わる。