シンガポール シンガポール会計・税務・監査の基礎知識

[シンガポール会計・税務] 第3回 会計監査の要件について

会社法第205条により、シンガポールで設立された法人は、原則として会計監査人を任命し、会計監査を受けることが義務付けられています。

ただし、以下の要件を全て満たす会社は、会社法第205B条および第205C条に基づき、会計監査が免除されます。

  1. 小規模会社(Small Company)の要件を満たすこと
  2. 直近2会計年度において、以下の3つの基準のうち2つ以上を満たすこと
    • 年間売上高がS$1,000万以下
    • 総資産がS$1,000万以下
    • 従業員数が50名以下

外国会社のシンガポール支店については、会社法第373条により、シンガポール支店の年次報告書を、会計・企業監督局(ACRA)へ提出する際、監査済み財務諸表の添付が必要です。

会計監査人は、シンガポール監査基準(SSA: Singapore Standards on Auditing)に基づき監査を実施し、監査報告書を発行します。監査意見には、以下の種類があります。

1. 無限定意見(Clean Opinion)

  • 財務諸表が適正に作成されていると判断された場合

2. 限定付意見(Qualified Opinion)

  • 特定の事項を除いて適正と判断された場合

3. 不適正意見(Adverse Opinion)

  • 財務諸表が適正でないと判断された場合

4. 意見不表明(Disclaimer of Opinion)

  • 十分な監査証拠が得られず、意見表明できない場合

監査報告書には、監査がSSAに準拠して実施されたこと、財務諸表がシンガポール財務報告基準(SFRS(I)s)および会社法に準拠して作成されていること、財務諸表が真実かつ公正な概観を示していることなどが記載されます。

なお、この情報は2024年時点のものです。監査要件は定期的に更新される可能性があります。