マレーシア 会社登記

マレーシアでの現地法人のセットアップの流れ

一般的な現地法人の流れ

  1. 法人設立
  2. 銀行口座開設
  3. 資本金払込
  4. 増資登記
  5. オフィスの開設・電話線開設
  6. マレーシア人採用
  7. タウンカウンシル等からBusiness Premise License等の取得
  8. 業種に応じた管轄省庁からのライセンスを取得(WRTなど)
  9. 移民局のオンラインシステムへの法人登録
  10. 個人の就労ビザ申請

1. 法人設立-マレーシア現地法人か、ラブアン現地法人か

通常、現地法人を設立するケースが多く、現地法人には、大きく上記2つの選択肢があり、

  • マレーシア国内のみ、もしくは、国内外の両方に向けてサービスや商品の販売を予定している場合・・・マレーシア法人を選択
  • マレーシア国内向けの販売は考えておらず、マレーシア国外向けのみである場合・・・ラブアン法人

また、スケジュール等によって、ラブアン法人を先行して設立し、その後、マレーシア法人を設立するケースもあります。専門家等にご相談ください。

(参考)ラブアン法人

ラブアン法人とは、マレーシア国内の特別区ラブアン島にてラブアン会社法に基づいて設立された法人を指します。会社名の末尾は「Sdn. Bhd.」ではなく、英語で株式会社を意味する「Ltd.」、「Inc.」、「Limited」、「Corp.」など様々なパターンがあります。ラブアン法人は、マレーシア国内向けにビジネスを行うことに対して制限が課せられている代わりに、優遇税制や就労ビザの要件が低い等のメリットがあります。

・いわゆる個人事業はできません

外国人が、個人事業主の形態で、就労ビザ申請ができないため、この方法を取ることはできません(また、外国人は、SSMへの個人事業登録ができません)。

・支店は、特殊なケースのみ

外国法人が支店(Branch)を登記する制度もあります。

しかし、税務上の問題や許認可・ライセンスの取得が困難な場合があるため、あまり利用されていません。より特殊なケースでない限りは、現法人の設立をお勧めします。

支店は、税務上、原則として、マレーシア非居住者に分類されるため、居住者に適用される税務上の優遇措置の対象外となります。また、マレーシア国内の取引先から支店への支払に対して源泉税の問題が生じます。

・駐在事務所

市場調査のための駐在事務所は、営業活動ができません。設置にハードルは低いですが、本格的に事業を開始する際には、改めて現地法人を設立する必要があり、手間がかかります。

3. 資本金

  • 法人設立時には、RM1で設立可能で、そのようにして設立され、その後に増資することが可能です。
  • 事業ライセンス取得のため、100%外国資本の場合、一定の金額まで増資する必要があります(たとえば、WRTライセンスでは、100万RM)。
  • 現物出資も可能です。詳細は、ご相談ください。

5. オフィスの開設

  • 住宅との兼用はできませんので、オフィス用の物件の契約が必要です。
  • 単なる住所貸であるバーチャルオフィスは不可で、他の会社と机を共同で使用するホットデスクのオフィスは不可です。
  • 独自の部屋が割当られるサービスオフィスは必要です。

6. マレーシア人の採用

  • 法律上必須とされているわけではありませんが、ビザの申請上で、事実上必要といわれており、雇用していない場合、ビザの取得が困難となります。

7. タウンカウンシル等からBusiness Premise Licenset等

  • オフィス所在地を管轄する市役所等から、事業所ライセンス(Business Premise License)及び看板ライセンス(Signboard Licence)の取得が必要です。

8. 業種に応じた管轄省庁からのライセンス

  • たとえば、貿易業、小売業、卸売業、サービス業の場合、管轄するMDTCCからWRTライセンスの取得が必要です。

10. 個人の就労ビザ申請

・ビザの種類

長期滞在のためのビザには、主に以下のようなものがあります。

滞在目的 ビザの種類
起業・就労 マレーシア法人の就労ビザ(EP)
ラブアン法人の就労ビザ(EP)
市場調査 駐在員事務所の就労ビザ(EP)
短期就労 プロフェッショナルビザ(PVP)
教育 学生ビザ・保護者ビザ(Study Pass/Guardian Pass)※保護者1名分 就労ビザの扶養家族ビザ(DP) MM2H等の扶養家族ビザ(DP)
リタイアメントや投資活動、教育移住 マレーシア・マイ・セカンドホーム・プログラム(通称「MM2H」)

日系企業の駐在員の場合、通常、EPを申請します。また、日系企業の社員が、短期的にプロジェクトベースや急な対応で滞在が必要となった場合、PVPを申請することができます。

上記以外にも、レジデントパス、デジタルノマドビザ、プレミアム・ビザ・プログラム(PVIP)、テック・アントレプレナー・プログラム(MTEP)などがありますが、詳細は割愛いたします。

マレーシア法人の就労ビザ申請時の注意事項

・長期化しやすい

以下の状況から、ビザの申請から取得までの期間が長期化する可能性があります。十分に余裕を持った事業計画の策定が望まれます。

・審査の厳しさ

マレーシア法人の就労ビザは、審査が非常に厳しく、事業計画の実現可能性の証明のため、ビザ申請前に、オフィスの開設、マレーシア人スタッフの雇用、必要な許認可やライセンスを取得する必要があります。また、事業計画の詳細について具体的に説明する必要があります。

・事業内容

マレーシアでは、国内の産業や小規模ビジネス保護のため、外資系企業は、ローカルと競合しない規模で、マレーシアにない商品・サービス・技術を提供することが求められます(小規模のビジネスやマレーシア企業と競合するビジネスを行いたい場合は、マレーシア人に過半数の資本を保持してもらってローカル資本の会社としてビジネスを行う等が必要)。

・ビザ申請対象者

マレーシア人の雇用で代替できない役割に限られるため、ビザを申請するときには、対象者のマレーシア法人での職務、その職務内容にマレーシア人を採用することでは満たすことができないこと、対象者が職務内容にふさわしい人材であることを、学歴・職歴・資格・実績などを具体的に示して説明することが重要です。

・裁量が大きい

ビザ審査やライセンスの審査は、認可の明確な基準があるわけではなく、当局の担当官の裁量が大きいため、準備して申請した場合でも、審査が長期化、要件の追加、却下される場合があります。

  • ビザ申請に至るまでの工程が長期するため、ビザ申請準備を進めている間にビザ要件が変更になることがあります。
  • 新設のマレーシア法人の就労ビザの申請は、スムーズに進むケースの方が少なく、状況に合わせて柔軟に対応できるようにしておくことが重要です。

・給与

就労ビザのカテゴリ別に最低給与の定めがあります。

会社のオーナーの場合、毎月の給与の振込をしていないケースがありますが、個人所得税の源泉徴収分の納付は必要です。

就労ビザ取得初年度は、マレーシア居住者になるまでの間、非居住者としての税率で源泉徴収をして、納付し、翌年に入って当年度の確定申告の際に、居住者の税率で計算をして、納めすぎた分を還付請求することになります。

弊社では、マレーシア法人の設立プロセスから、設立後の会社運営についてサポートしております。お気軽にお問い合わせください。