
香港
税務申告書
香港税務局による2024-25年度税務申告書の発行及び申告に係る各種取決め
香港税務局(Inland Revenue Department、以下「IRD」)は先日(4月1日)、2024/25年の税査定年度の利得税申告書を約230,000通、資産所得税申告書を約120,000通、並びに雇用主支払報酬申告書を約330,000通発行した。納税者及び雇用主は、関連する税務申告書の発行日から、1ヶ月以内に申告手続を完遂する必要がある。税務代理人を選任している場合、2024年4月1日から2025年3月31日の間に決算期を迎える法人の税務申告書の提出期限は、IRDのウェブサイトにアップロードされている「税務申告書の提出期限の一括延長に関する通達(Block Extension Letter)」に詳細が記載されている(※同記事の末尾参照)。続けて、2024/25年の税査定年度の個人所得税申告書約266万通が5月2日に発行されており、その申告期限は6月2日までの1ヶ月以内であるが、非法人事業の個人事業主の場合は、3ヶ月間の猶予期間が認められ、申告期限は8月1日である。また、オンラインで電子申告する場合は、さらに自動的に1ヶ月間の延長が認められる(一般納税者の場合は7月2日、個人事業主の場合は9月1日が申告期限となる)。
IRDは、税務のデジタル化の推進に尽力しており、納税者の利便性向上と税務申告書提出の効率性、信頼性、並びに正確性の向上のため、電子申告機能の強化に取り組んでいる。
IRDは、納税者に「税務易(eTAX)」を利用した税務申告書の提出を推奨している。eTAXでは、個人ユーザーが「智方便(iAM Smart)」アカウントを使用してログインし、税務申告書に署名することが可能である(署名は、デジタル署名機能を備えた「iAM Smart」アカウントの保有者のみ利用可能である)。eTAXで提供されていた既存の個人向け税務サービスは、新しいデザインと強化された機能を備えた個人向け税務ポータル(Individual Tax Portal、「ITP」)に移行され、当該ポータルのモバイルアプリケーションもリリースされる予定である。納税者は、IRDのウェブサイトにアクセスして、税務申告書の記入方法に関するよくある質問及び回答、並びに雇用主による各種申告書の電子提出に関するガイダンスを参照可能である。
法人利得税の納税者も、添付書類(財務諸表(監査報告書)及び法人利得税計算書を含む)とともに、インライン拡張可能事業報告言語(Inline eXtensible Business Reporting Language、以下「iXBRL」)形式で、税務申告書をオンラインで電子申告することが推奨されている。個人、法人並びに企業を含む納税者が、必要なiXBRLデータファイルを作成しやすくするために、IRDは、税務局タクソノミーパッケージ(以下「タクソノミー」)及び税務局iXBRLデータ準備ツール(以下「ツール」)を提供している。タクソノミー及びツールは今年さらに強化され、英語版WindowsタグツールがMicrosoft Excel形式の財務諸表のインポートに対応し、より多様な通貨建てのiXBRLデータファイルの生成が可能となっている。
納税者は、iXBRL申告要件及び当該ツールの使用方法に関する照会について、メールでixbrl_reporting@ird.gov.hkまで連絡して頂くか、IRD のウェブサイト上の 「e-アポイントメント」にアクセスして、電話での照会のため、特定の時間枠を事前に予約して頂くことが可能である。また、税務申告書の記入に係る質問がある場合、IRDのウェブサイトにアクセスして「e-セミナー」の資料を閲覧することができ、IRDは日曜と祝日を除く5月2日から6月2日まで、電話問合せホットライン187 8022に応対するスタッフを増員し、営業時間を平日は午前8時15分から午後7時まで、土曜日は午前9時から午後1時まで延長する。
IRDは、法人及び事業主が、指定された電子形式で財務諸表(監査済み)や利得税計算書などの添付書類とともに電子申告することを可能である点を再度強調した。事業向け税務ポータル(Business Tax Portal、「BTP」)及び税務代理向けポータル(Tax Representative Portal、「TRP」)は、それぞれ事業者と税務代理人が、税務と事業に関する業務を電子的に処理することを可能にする。当該利得税申告書の電子申告の詳細については、IRDのウェブサイトをご覧頂きたい。
IRDは、納税者及び雇用主に、税務申告書を郵送する際、税務申告期限を確実に遵守するために、十分な郵便料金を支払うよう改めて注意を喚起している。郵便料金が不足している郵便物については、当局では受付けられない。郵便料金表は、香港郵便のウェブサイトでご覧頂ける。
2024/25年度の予算案で提案された税制措置により、2024/25年の税査定年度から、給与所得税及びパーソナルアセスメントにおける二段階標準税率制度が導入、2023年10月25日以降に生まれた子供と同居する給与所得税及びパーソナルアセスメントによる課税の対象となる納税者に対し、住宅ローン金利または住宅家賃の所得控除上限金額が、従来の100,000ドルから120,000ドルに引上げられており、さらに、2024/25年度以降の給与所得税及びパーソナルアセスメントにおいて、生殖補助医療サービスに関連する費用の所得控除が、年間100,000ドルを上限として提供される。また、賃貸物件を原状回復するために発生した費用に対する所得控除、並びに工業用もしくは商業用建物または構築物に関する年次償却の損金算入可能な期限の撤廃など、利得税における損金算入項目の拡充を図る。
なお、IRDは香港企業や専門家が業務で正に現在直面している難局を認識し、税務代理人によるIRDへの通知を条件として、2024/25年度の利得税申告書の各税務申告期限は下記の通りとしています:
- 2024年4~11月が決算期(N Code Cases)である企業; 2025年5月2日(2025年3月19日付の通達により、例年の5月2日前後から変更はありません)
- 2024年12月が決算期(D Code Cases)である企業; 2025年8月29日(2025年7月17日付の通達により、例年の8月15日から8月29日まで、2週間の期限猶予が付与されています)
- 2025年1~3月が決算期(M Code Cases)である企業; 2025年11月17日(2025年3月19日付の通達により、例年の11月15日前後から変更はありません)、並びに
- 2025年1~3月が決算期(M Code Loss Cases)で赤字である企業; 2026年2月2日(2025年3月19日付の通達により、例年の1月31日前後からの変更はありません)。
原文
IRD issues profits tax, property tax and employer’s returns for 2024-25(2025年4月1日更新)
Inland Revenue Department issues tax returns for individuals (with photo)(2025年5月6日更新)
Inland Revenue Department launches three new tax portals under eTAX(2025年7月22日更新)
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