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[華南ビジネス] 広東省工会経費徴収暫定弁法とその後の変更通知について

中国の労働組合は「工会」と呼ばれ、「中華人民共和国工会法」第10条には25人以上の企業は工会を設立すること、第42条には工会を設置した企業の工会経費が給与総額(注1)の2%であることが規定されています。実務上は各地の総工会より指導され工会設置や工会経費納付を行なっています。

この工会経費について、7月より広東省では一定の動きがありました。

広東省総工会、広東省地方税務局と中国人民銀行広州分行が連合で「広東省工会経費徴収管理暫定弁法」を発布したのです。同弁法の内容は以下の通りです。

  • 7月1日以降、工会経費は地方税務局が代理徴収する。納付金額は、各企業の全従業員の給与総額の2%とする。
  • 広東省内で工会を設置する企業等に加え、開業或は設立後満6ヶ月で工会未設置の企業を対象とし、後者の場合「工会準備金」として前者と同様に給与総額の2%を納付する。

同時に納付と企業への還元方法について下記内容の通知が出されました。

  • 対象企業は毎月税務申告時に工会経費を申告納付し、税務局が統一的な税納付証憑を発行する。
  • 地方総工会は工会経費を受領後、納付済額の60%を企業の工会口座に還元する。
  • 工会準備金を納付する企業で、上記弁法実施(2013年7月1日)から3年以内に工会組織を設立した場合、企業分を全額還元する。3年を過ぎて工会を設置する場合、設置当年度の企業分を還元する。

同弁法の実施情況には地域差がありました。広州市等では早速8月申告より地方税務局での代理徴収が開始されましたが、東莞市で一部村による代理徴収の地税局への移管が明確でない地域もあります。また、総工会より工会未設置の企業へ納付するよう指導を受けた地域がある一方で、深セン市総工会は、工会設置企業の地税局代理徴収自体は従前からあり、今般通知も実施するとしながらも、未設置企業からの徴収は具体的に展開していません。各企業では納付の要否の判断に混乱が生じています。

結局、その後8月12日付けで、従業員数が工会設置要件の25人に満たない小規模企業に対し、工会経費の徴収を暫く見送る旨の通知(粤工弁[2013]37号)、さらに該当する企業がすでに納付を開始している場合、10月1日以降半年以内に指定様式と税務局の照合押印済みの納付証憑をもって、各地域総工会にて還付手続を行う旨の通知(粤工弁[2013]47号)が発布されました。小規模企業の納付は見送られたものの、地方税務局による代理徴収、25人以上の企業に対する工会準備金の納付については規定が継続実施されており、今後の各地域の総工会及び地税局の動向に留意する必要があります。

注1:
給与総額:国家統計局「給与総額の構成に関する規定」に基づき、給与総額とは企業が一定期間において直接支払う労働報酬の総額を指し、時間給、出来高給、ボーナス、手当・補助、残業代及び特殊状況下で支払う給与を含みます。一方、福利・労働保護の支出、出張食事補助、異動旅費・手当、1人っ子補助等は含まないものとしています。