
中国
粤港澳大湾区
中国・『2023広東投資指南』の概要
広東省商務庁は2023年9月8日に《2023広東投資指南》というパンフレット形式の広東省投資環境紹介資料を発布しています。この内容は広東省商務庁HPで常にアップデートされている情報が取りまとめられているもので、昨年は2022年5月に発布されており、外国投資者にとり広東省を一覧できる便利な資料となっています。
今年の内容には広東省の各種経済ビッグデータ、展示会情報等を含む投資機会、投資関連政策、関連のサービス、行政部門の連絡先などが含まれています。以下に一部を抜粋して紹介します。
目次
広東省2022年経済ビッグデータ
面積
17万9700㎢
人口
常住人口: 1億2656万人(2022年発布の人口は 1億2684万人)
労働者人口: 約7,000万人
広東省国内総生産
12兆9千億人民元 前期比1.9%(2022年発布は12兆元超と表示)
ハイテク技術企業
6万9千社
輸出入総額
8兆3100億人民元 (2022年発布は8兆2700億人民元)
実際利用外資
1800億人民元、新設外商投資企業は155の国・地域より13365社(2022年発布は1840億人民元、前期比13.6%、 16155社、前期比25.6%)
国際港
海岸線が4,000㎞と長いことと、香港マカオに隣接することから、国際港が56か所設置されており、その内、水路35か所、航空路 5か所、陸路 12か所、鉄道 4か所である。
発展モデル/プラットフォーム
「大湾区」経済圏構想
広東省の目下の経済発展の柱は何といっても大湾区(グレートベイエリア)経済圏構想である。
香港、マカオ、広州、深セン、東莞、恵州、佛山、中山、珠海、江門、肇慶の11市/特別行政区が含まれ、域内の交通インフラ整備、香港マカオとの経済協力、科学技術発展、一帯一路推進等を掲げ、国際都市及び生活圏建設を目指して各種の政策がすすめられている。
深セン経済特区から先行モデル区へ
深セン市は経済特区として経済活力、イノベーション、国際化等で突出した40年の発展を経て、2019年8月より先行モデル地区として、質の高い経済発展、法治、都市文明、民生幸福指標、持続可能な発展等の課題で先進地域を目指す政策が推進されている。
深セン市2022年地区総生産3億2300万人民元(前期比3.3%)、輸出入総額3億6700万人民元(前期比3.7%)、実際利用外資110億米ドル(広東省総額の39.3%)
香港・マカオとの連携協力のプラットフォームとしての政策
横琴、前海、南沙 は、自由貿易試験区があると同時に、広東省と香港・マカオとの連携協力のプラットフォームとしての政策もある。
①横琴粤澳深度合作区(珠海市)
面積:約106㎢、2021年《横琴粤澳深度合作区建設総体方案》発布。
マカオ経済促進、マカオ住民の生活・就業エリアの拡大、一国二制度モデルの充実、粤港澳大湾区建設推進 等
②前海深港現代サービス業合作区(深セン市)
面積:約120㎢、2021年《前海現代サービス業合作区改革開放方案の全面深化》発布。
深セン・香港現代サービス業の合作、粤港澳大湾区改革イノベーション試行 高水準対外開放 等
③南沙粤港澳全面合作モデル区
2022年6月国務院《広州南沙より世界に向けた粤港澳全面合作深化総体方案》発布
科学技術新産業合作基地、青年創業就業合作 高水準対外開放、両制度の連携、質の高い都市発展モデル 等
中国(広東)自由貿易試験区
中国(広東)自由貿易試験区は2014年12月31日に国務院より認可され設立し、8年が過ぎた。2021年9月22日に、広東省人民政府弁公庁より《中国(広東)自由貿易試験区発展“十四五”規格》が発布され、南沙エリア、蛇口エリア、横琴エリアにそれぞれの機能役割が設定されている。
①南沙エリア
南沙エリア総面積:60㎢(内、広州南沙保税港区7.06㎢)、港湾資源を有し、100キロ圏内に大湾区11都市、5大国際空港を有する大湾区のハブとしての地域。
②前海蛇口エリア
前海蛇口エリア規格面積は28.2㎢、香港・深圳の2大国際空港に近く、合作区+自貿区+総合保税区の3モデルに基づき、金融・財税・法律・人材・教育・医療・電信等の領域で22項目の先行試行政策が国務院より認められている。
③横琴エリア
横琴エリア総面積は28㎢、珠江河口西岸に位置し、港珠澳大橋、蓮花大橋で香港・マカオと陸路で隣接する。科学技術イノベーション、現代金融、医療健康、観光・会議・展示会、越境商務、専門サービスの六大産業を柱とする。
広東省の重点産業
先進製造業
2021年7月30日《広東省製造業高品質発展“十四五”規格》
2023年6月1日《高品質建設製造強省についての意見》 製造業高品質発展の22条項
・2027年までに、地区総生産に占める製造業比率を35%に、製造業及び生産性サービス業割合を65%に、ハイテク企業比率33%、一定規模以上の製造業での労働生産率37万人民元/人に。
・2035年までに、製造業及び生産性サービス業の付加価値比率を広東省全体の70%程度に。
現代化産業体系の基本的な建設、若干の領域でグローバルサプライチェーンの中でリーダー的な存在になり、製造業の総合実力を先進レベルに引き上げ、製造業の強省を全面的に建設する。
現代サービス業
- デジタル経済強省の建設
- サービス貿易の高品質発展
イノベーション産業
- 広東省研究開発経費: 4200億人民元
- ハイテク企業数: 6万9千社
投資政策、投資サービス
《外商投資法》《広東省ビジネス環境優良化条例》(2022年7月)、《広東省外商投資権益保護条例》(2022年3月)、《広東省知識産権保護条例》(2022年5月)等により、外資投資の促進、保護、管理を推進。外資参入規制の緩和と、知的所有権保護が重要政策として挙げられる。
《広東省人民政府 デジタル政府改革建設実施意見》(2023年6月):企業と個人にワンストップ行政手続き、証書発行不要のデジタル化が進められており、貿易通関制度、外商投資設立手続き制度の簡素化や効率化が図られている。
教育・医療
広東省には178の大学があり、その内15か所69学科が世界ランキングの1%以内である。
職業専門学校の生徒数は約224万人、毎年80万人の技術技能人材を輩出する。
2021年、30か所の既存高水準医療機構に加え、20か所が新たに建設予定で、省内21の市には全て高水準医療機構が備わり、省内の外国籍住民にも便利な医療サービスが提供される。