中国 個人所得税

[全訳] 非居住者工事請負及び役務サービス提供の税収管理暫定弁法

非居住者工事請負及び役務サービス提供の税収管理暫定弁法
国家税務総局令第19号 [原文]

《非居住者工事請負及び役務サービス提供の税収管理暫定弁法》は国家税務総局第5次局務会議による審議を通過し、発表する。2009年3 月1 日から施行する。

国家税務総局局長:肖捷
2009 年1 月20日

第1章 総則

第1条
非居住者の中国国内での工事請負、役務提供の税収徴収管理の規範化のため、《中華人民共和国税収徴収管理法》(以下、税収徴収管理法とする)及び実施細則、《中華人民共和国企業所得税法》(以下、企業所得税法とする)及び実施条例、《中華人民共和国営業税暫定条例》及び実施細則、《中華人民和国増値税暫定条例》及び実施細則、中国政府が外国政府と締結した二重課税回避協定書(香港、マカオ特別行政区と締結した租税協定を含む。以下、租税協定とする)等の関係の法律法規に基づき、本弁法を制定する。

第2条
本弁法にいう非居住者企業には、非居住者企業、非居住者個人を含む。非居住者企業とは、外国(地区)の法律により設立され、且つ中国国内に実質の管理機構はなく、中国国内に機構・拠点を設けている或いは中国国内に機構・拠点を設けておらず中国国内源泉所得を有する企業をいう。非居住者個人とは、中国国内に住所がなく又は居住しない或いは住所がなく中国国内に居住した期間が1年未満の個人をいう。

第3条
本弁法に言う工事請負作業とは、中国国内で建築、据付、組立、修繕、内装外装、探鉱及びその他工事作業をいう。
本弁法にいう役務提供とは、中国国内で行う加工、修理・補修、交通運輸、倉庫ストック・リース、コンサルティング・ブローカー、設計、文化スポーツ、技術サービス、教育トレーニング、旅行、娯楽及びその他役務活動をいう。

第4条
本弁法にいう非居住者の中国国内での工事請負、役務提供の税収管理とは、非居住者の営業税、増値税及び企業所得税の納税事項の管理をいう。個人所得税、印紙税等の税収管理について、関係規定により処理する。

第2章 税源管理

第1節 登記届出管理

第5条
非居住者企業が中国国内で工事請負又は役務提供を行う場合、プロジェクト契約書又は協議書(以下、契約書とする)の締結日から30 日以内にプロジェクトの所在地の管轄税務機関に税務登記手続を行わなければならない。
法律、行政法規の規定により、源泉徴収義務を負う国内機構、個人が源泉徴収義務の発生日から30 日以内に所在地の管轄税務機関に源泉徴収登記手続を行わなければならない。
国内機構、個人が非居住者に工事作業又は役務プロジェクトを発注した場合、プロジェクト契約書の締結日から30 日以内に管轄税務機関に《国内機構、個人の工事作業又は役務プロジェクトの発注報告表》(添付資料1 を参照)を提出し、非居住者の税務登記証書、契約書、税務代理委託書のコピー又は関係事項に関する非居住者の書面説明等の資料を添付しなければならない。

第6条
非居住者企業が中国国内で工事作業請負又は役務提供を行う場合、プロジェクト完了後の15 日以内にプロジェクトの所在地の管轄税務機関にプロジェクト完了証明、検収証明等の書類のコピーを提出し、《税務登記管理弁法》の関係規定により申告手続を行い税務登記抹消しなければならない。

第7条
国内機構、個人が非居住者に発注した工事作業又は役務プロジェクトの契約に変更が発生した場合、発注者又は役務の受益者は変更日から10 日以内に所在地の管轄税務機関に《非居住者プロジェクト契約書変更状況報告表》(添付資料2 を参照)を提出しなければならない。

第8条
国内機構、個人が非居住者に工事作業又は役務プロジェクトを発注し、国外からプロジェクトの代金支払に関するインボイス、その他支払証票を取得した場合、取得日から30 日以内に所在地の管轄税務機関に《非居住者プロジェクト契約代金支払状況報告表》(添付資料3 を参照)及び支払証憑のコピーを提出しなければならない。
国内機構、個人が非居住者に工事代金又は労務費を支払わない場合、プロジェクトが完了し検収証明が発行される前に、管轄税務機関に非居住者のプロジェクト所在地でのプロジェクトの進捗状況、支払者名称、支払金額、支払期日等の関係状況を報告しなければならない。

第9条
国内機構、個人が非居住者に工事作業又は役務プロジェクトを発注し、非居住者の管轄税務機関と一致しない場合、非居住者の申告期限満了日から15 日以内に国内機構、個人の管轄税務機関に非居住者の申告納税証明資料のコピーを提出しなければならない。

第2節 税源情報管理

第10条
税務機関は税源監督システムを構築し、発展改革委員会、建設、外貨管理、商務、教育、文化、スポーツ等の部門での非居住者の中国国内での工事請負作業、役務提供に関する情報を収集、利用し、必要に応じて、情報の使用状況を関係部門にフィードバックする。

第11条
非居住者又は国内機構、個人の同一税務事項が同時に国家税務局、地方税務局に関係する場合、各管轄税務機関が税務事項手続を行った後、《非居住者工事請負作業、役務提供プロジェクトの情報伝達表》(添付資料4を参照)を記入し、月毎に相手に送付し、非居住者の税収管理ファイルに保存する。

第3章 申告徴収

第1節 企業所得税

第12条
非居住者企業が中国国内で工事請負作業又は役務提供プロジェクトを行う場合、企業所得税は納税年度により計算し、四半期毎に予定納税し、年末に確定申告を行い、且つ工事プロジェクトの完了又は役務契約の履行後に税金を精算する。

第13条
非居住者企業が企業所得税の納税申告を行う際に、事実通りに納税申告表を提出し、下記の資料を添付しなければならない。
(一)工事作業(役務)決算(精算)報告書及びその他説明資料。
(二)工事作業又は役務プロジェクトに参加した外国人の姓名、国籍、入国・出国の日付、中国での勤務期間、場所、内容、報酬基準、支払方式、関係費用等の状況の書面報告書。
(三)財務会計報告書又は財務状況説明。
(四)非居住者企業が租税条約により、中国国内で恒久的施設に該当せず、租税条約を適用する場合、《非居住者企業の工事請負作業、役務提供の租税条約適用報告表》(以下、報告表とする)(添付資料5 を参照)を提出し、居民身分証明書及び税務機関が要求するその他証明資料も添付しなければならない。
非居住者企業が上記の規定に従って報告表及び関係証明資料を提出していない、又はプロジェクトの実施に変更等が発生し、租税条約を適用する条件を満たさなくなり、租税条約を適用できなくなった場合、企業所得税法の規定により、税金を納付しなければならない。

第14条
工事代金又は労務費の支払者の所在地の県(区)以上の管轄税務機関が添付資料1及び非居住者企業の納税申告証明資料又はその他の情報により、企業所得税法実施条例第106条に規定する指定源泉の三つのいずれに該当すると確定した場合、工事代金又は労務費の支払者を源泉徴収義務者に指定することができ、且つ《非居住者企業工事請負作業、役務提供の企業所得税源泉徴収義務通知書》(添付資料6 を参照)を指定者に送付する。

第15条
指定された源泉徴収義務者は申告期限内に管轄税務機関に企業所得税源泉徴収報告表及びその他関係資料を提出しなければならない。

第16条
源泉徴収義務者が源泉徴収義務を履行していない又は履行できない場合、非居住者企業がプロジェクト所在地で申告納税する。管轄税務機関は源泉徴収義務が履行されていないと確定した日から15 日以内に非居住者企業にプロジェクト所在地で申告納税することを通知する。

第17条
非居住者企業が期限過ぎても税金を納付していない場合、プロジェクト所在地の管轄税務機関は期限を越えた日から15 日以内に当該非居住者企業の中国国内で取得するその他収入に関する情報を収集し、収入種類、支払者名称、場所、支払金額、方式、期日等を含めて、その他収入の支払者(以下、その他支払者とする)に《非居住者企業の税金未納付追徴告知書》(添付資料7 を参照)を送付し、且つ法により税金、延滞金を追徴しなければならない。
非居住者企業の中国国内で取得するその他収入には非居住者企業のその他工事作業又は役務提供の所得、及び企業所得税法第3 条第2、3 項に規定するその他収入を含む。非居住者企業に複数のその他支払者がある場合、プロジェクト所在地の管轄税務機関は情報の正確性、収入金額、追徴コスト等の要素により追徴の順序を確定しなければならない。

第18条
その他支払者の管轄税務機関は必要な情報を提供し、プロジェクト所在地の管轄税務機関の追徴に協力しなければならない。

第2節 営業税及び増値税

第19条
非居住者が中国国内で営業税又は増値税の課税行為を行い、中国国内で経営機構を設置した場合、営業税又は増値税を自主申告しなければならない。

第20条
非居住者が中国国内で営業税又は増値税の課税行為を行い、中国国内で経営機構を設置していない場合、代理者を営業税又は増値税の源泉徴収義務者とする。代理者がいない場合、発注者、役務の受益者又は購入者を源泉徴収義務者とする。
工事作業の発注者、役務の受益者又は購入者が契約締結日から30 日以内にその所在地の管轄税務機関に下記の証明資料を提出できない場合、営業税又は増値税の源泉徴収義務を履行しなければならない。
(一)非居住納税者の国内機構、個人の工商登記、税務登記証明のコピー及び経営活動に従事する証明資料。
(二)非居住者が国内機構、個人に代理を委託する委託書及び受託者の承諾証明。

第21条
非居住者が営業税又は増値税の納税申告を行う場合、事実通りに納税申告表を提出し、下記の資料を添付しなければならない。
(一)工事(役務)決算(精算)報告書及びその他説明資料。
(二)工事又は役務作業に参加した又は加工、修理、補修を提供した外国人の姓名、国籍、入国・出国の日付、中国での勤務期間、場所、内容、報酬基準、支払方式、関係費用等の状況。
(三)管轄税務機関が法により提供を要求するその他関係資料。

第4章 追跡管理

第22条
管轄税務機関はプロジェクト毎にファイルを作り、プロジェクト毎に管理を行う原則に従い、非居住者の工事請負作業、役務提供プロジェクトの管理台帳及び納税ファイルを作成し、工事、役務提供プロジェクトの契約の実施、進行度合い、代金支払、対外送金、税金納付等の状況を適時正確に把握しなければならない。

第23条
国内機構、個人が国外から取得した支払証票について、管轄税務機関がその真実性に疑義はある場合、国外の公証機構又は公認会計士の確認証明の提供を要求することができる。税務機関の審査、承認を受けた後に、記帳の証憑とすることができる。

第24条
管轄税務機関は非居住者の租税条約の適用について事後管理を行い、提出された報告表、証明資料の真実性、正確性を審査し、恒久的施設に該当しないことを認定しなければならない。租税条約の適用条件を満たしておらず、納税義務を履行していない場合、税務機関は法によりその納付税金、延滞金、罰金を追徴しなければならない。

第25条
税務機関は国内機構、個人による非居住者へのサービス貿易代金の送金記録及び当年度の新規発注項目の支払計画等を含む外貨両替送金の情報を利用し、工事作業請負、役務提供を監督管理しなければならない。送金する前に税金未納付がある場合、納税者又は源泉徴収義務者に適時に通知し、必要な場合、送金をストップするよう、外貨管理部門又は指定外国為替支払銀行に通知する。

第26条
管轄税務機関は非居住者が参加した国家、省、地方市の重点建設プロジェクト、都市インフラ建設、エネルギー建設、企業技術、設備の導入に係る工事請負作業、役務提供、及び非居住者が参加する契約金額が5000 万元以上のプロジェクトについて、重点税源監督管理を実施しなければならない。請負者と発注者の関連関係の有無、契約の実際実施状況、恒久的施設の判定、国内外の役務提供収入の区分等の事項を重点的に追跡調査し、発見した問題について、情報交換、税金回避調査又は税務調査を実施することができる。

第27条
省(自治区、直轄市、計画単列市)の税金機関は年度終了後の45 日以内に《非居住者工事請負作業、役務提供重点建設プロジェクト統計表》(添付資料8 を参照)及びプロジェクトに係る企業所得税、増値税、営業税、印紙税、個人所得税等の税収収入、税源の変動状況の分析報告書を国家税務総局(国際税務司)に提出しなければならない。

第28条
管轄税務機関は必要に応じて、非居住者工事請負作業、役務提供の納税状況について税務監査を実施し、必要な場合、監査結果を同レベルの国家税務局又は地方税務局に適時に伝えなければならない。税務監査は国家税務局、地方税務局と共同監査で行うことができる。

第29条
管轄税務機関が国内で税務情報を取得するのが困難な場合、特別情報を作成し、国家税務総局(国際税務司)を経由し、租税条約の締結相手国に特別情報請求を提出することができる。非居住者が中国国内で法により納税義務を履行していない場合、管轄税務機関は主体的又は自発的な情報を作成し、国家税務総局に提出し、関係規定により、非居住者の中国国内での税収違法行為を租税条約の締結相手国に通知する。非居住者の工事請負作業、役務提供について、国外での監査を行う必要がある場合、税収情報交換の関係規定により、国家税務総局の承認を得た上で実施する。

第30条
税金未納付の非居住者企業の法定代表者又は非居住者個人が出国する前に規定により納付税金、延滞金を精算していない、又は納税保証を提供しない場合、税務機関は出国を禁止するよう入出国管理機関に通知することができる。

第31条
非居住者の工事又は役務提供プロジェクトが完了したが、期限に税金を精算せず、既に出国した場合、管轄税務機関は《税務事項通知書》(添付資料9 を参照)を作成し、手紙、電子メールー、ファックス等で非居住者に納税義務の期限内履行を通知すると共に、国内発注者又は役務の受益者に税金追徴に協力するよう通知する。

第5章 法律責任

第32条
非居住者、源泉徴収義務者又は代理者に工事請負作業、役務提供の関係事項に税収違法行為がある場合、税務機関は税収徴収管理法及び実施細則の関係規定により処理する。

第33条
国内機構又は個人が工事作業又は役務を発注し、本弁法の第5条、第7条、第8 条、第9 条の規定により、管轄税務機関に関係事項を通知していない場合、税務機関は期限改正命令を出し、2000 元以下の罰金を科すことができる。状況が著しく深刻な場合、2000元以上、10000 元以下の罰金を科すことができる。

第6章 附則

第34条
各省、自治区、直轄市、計画単列市の国家税務総局、地方税務局は本弁法により、具体的な実施弁法を制定することができる。

添付資料:

  1. 国内機構、個人工事作業、役務プロジェクト発注報告表
  2. 非居住者プロジェクト契約書変更情報報告表
  3. 非居住者プロジェクト契約代金支払状況報告表
  4. 非居住者工事請負作業、役務提供プロジェクト情報伝達表
  5. 非居住者企業工事請負作業、役務提供の租税条約適用報告表
  6. 非居住者企業工事請負作業、役務提供の企業所得税源泉徴収義務通知書
  7. 非居住者企業税金未納付追徴告知書
  8. 非居住者工事請負作業、役務提供重点建設プロジェクト統計表
  9. 税務事項通知書