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オーストラリア・Director Identification Number(取締役識別番号)について

2021 年 11 月より導入が予定されているDirector Identification Number(取締役識別番号)に関してご紹介させて頂きます。

この番号制度は、豪州法人もしくは豪州法人ではなくても、会社法上豪州で登録されている外国法人の役員の方すべてに該当しますのでご注意下さい。

Director Identification Number(取締役識別番号)の背景

まずは、この番号制度導入の背景に関して簡単にご説明させて頂きます。

現在まで、オーストラリアでは役員に関する情報は豪州政府の各担当部署にて別々に管理されており、部署ごとの繋がりはあまりありませんでした。

例えば、ATOでは、会社の登記情報を個別に管理するシステムがありますが、法人の監督省に値するASICでも別の管理システムがあります。また、ATO内でもAustralian Business RegisterというAustralian Business Numberを管理するシステムがあり、そのシステムとATOのシステムとは連携が薄いなど、管理体制には不具合がありました。

これらの問題点を解消し、連邦政府で統一した管理システムを導入する目的で、2020年に発足された機関が Australian Business Registry Services(ABRS)です。

ABRSでは2024 年までに、以下を行うことを目標に掲げております。

  1. 法人登録の統括管理
  2. ビジネスネーム登録の統括管理
  3. ABN 登録の統括管理
  4. 専門職登録の統括管理

Director Identification Number(取締役識別番号)とは?

Director Identification Number とは、2021年11月より導入が予定されている会社役員の番号制度のことで、先ほど説明させて頂いた、ABRSが掲げる統括管理計画の第一弾となります。

番号は、夫々の会社役員に対して発行されます。仮に皆さんが複数の会社の役員を兼任されていても、各個人に発行される番号は一つだけです。この番号は、一旦登録が完了されると生涯にわたり変更はなく、会社役員を退任しても、居住国が変わっても変更されることはありません。

番号は、基本的に15桁で、International Standard ISO 3166におけるオーストラリアの国番号036から始まり、その後各個人に固有で与えられる12 桁が続きます。

登録が義務

次の方は登録が義務付けられます。

  • 豪州法人の役員
  • トラストのCorporate Trusteeの役員
  • a registered Australian bodyの役員
  • 豪州会社法にて登録される外国法人の役員(豪州国内で事業を行っている外国法人)

また、次の方は登録の必要はありません。

  • 会社の秘書役であるが、役員でない方
  • 会社の清算人
  • 個人事業主もしくはパートナーシップのパートナーで会社役員でない方

Director Identification Number(取締役識別番号)の登録期限

登録期限は、皆様がいつ会社役員になられたかにより、次の3つに分けられます。

  • 2021 年 10 月 30 日までに会社役員になられた方は、2022 年 11 月 30 日まで猶予を与えられております。
  • 2021 年 11 月 1 日から 2022 年 4 月 4 日までの期間に役員になられる場合には、役員就任から 28 日以内に登録を完了する必要があります。
  • 2022 年 4 月 5 日以降に役員に就任される場合には、就任前に登録を済ませる必要があります。

繰り返しになりますが、番号は各自に与えられますので、一旦番号を入手すれば、将来別の 会社役員になる場合に再登録の必要はありません。

尚、期限までに登録を完了しない場合や、虚位の報告を行った場合には、罰則の対象になり 得ますので注意が必要です。

Director Identification Number(取締役識別番号)の登録方法

登録は2021年11月1日よりオンライン、電話もしくは指定の書類を郵送で送ることにより可能となります。

オンラインでの登録にはMyGovIDが利用されるため、最低でもStandardかStrong identity strengthというバージョンのMYGovIDの登録が完了している必要があります。

これらの設定ができない方は、書面での登録を行って下さい。

弊社では豪州居住の役員の方はMYGovIDを利用して登録を完了されることをお勧めします。然しながら、豪州国外にお住いの役員の方は、MYGovIDの登録が原則できないため、書面での申請が必要です。

国外からの申請

海外在住者が国外から申請される場合、申請書以外に以下の Primary と Secondary のカテゴリーから夫々一種類の書類の提出が求められます。

Primary documents

  • 外国の出生証明書
  • 外国のパスポート

Secondary documents

  • 在住国が発行した Photo ID
  • 在住国が発行した書類(例:住民票・戸籍謄本)
  • 運転免許証
  • 婚姻証明書

尚、過去に婚姻等の理由で名字に変更がある場合には、名字変更の履歴がわかる書類(戸籍 謄本等)の提出が求められます。

また、これらの書類はオリジナルを提出するのではなく、認証済みのコピーを提出すること になります。提出済みの書類は返却されませんのでご注意ください。

提出書類が英語以外の言語で記載されている場合には、NATTI 有資格者の翻訳者による翻訳も必要となります。

今後に関して

現時点では申請受付が開始していないため、申請書の詳細を確認できておりません。11月1日以降に申請が開始し、より詳細な情報を入手出来次第皆様にご報告させて頂きます。